社会人力:測定します…「就職力」アップに 河合塾が開発

2010年12月20日 10時55分 更新:12月20日 11時27分

 社会人に求められる基本的な能力を測定する「基礎力測定テスト」を大手予備校「河合塾」(名古屋市)が作成している。「問題や課題を解決できる力」につながる情報分析力や課題発見力などを判定する。不足している能力の育成を支援する内容で、ターゲットは大学生。“就活”に苦戦する学生が多い中、企業が求める能力の開発に役立つと期待され、関係者は「大学教育の中で、学生の就職力アップに活用してほしい」と話している。【澤圭一郎】

 ◇知識と行動問う

 河合塾とキャリア教育や就職支援プログラムを手がける「リアセック」(東京都港区)が共同でテストの開発に取り組んでいる。

 知識を活用して問題を解決する力を見る「リテラシー(知識活用力)テスト」と、実際に部下を指導する「できる社会人」の行動を調べて作成した「コンピテンシー(判断・行動の基準)テスト」の2種類を作成。リテラシーテストは情報収集力や分析力など、コンピテンシーテストはコミュニケーション力やマネジメント力、自己管理力なども判定する内容だ。両方で計300問以上の試験になり、子細に力量を測ることができるという。

 試験結果は▽情報分析力▽課題発見力▽構想力▽実行力▽統率力--など数種類の分野に再編し直して5段階で評価する。評価の低い分野について、それを補う指導が大学のゼミなどでできるようにアドバイスする。

 既に試行版テストは作成し、大学生を対象に実施した。得られたデータを基に改良し、来年に本試験を作ることにしている。

 河合塾教育研究部の朝岡三博チーフは「学生が社会人になるときに求められる能力を客観的に示し、その力を大学在学中につけさせるために効果があると思う。学生の就職力のアップに役立つはず」と話している。

 ◇リテラシーテストの例◇<情報収集力>

 A群のア~オについて調べたいとき、B群のA~Eのなかから最初にどれを用いて調べるのが最も適当か。

《A群》ア:「拘泥」の意味

    イ:「晦渋」の読み

    ウ:「TLO」とは

    エ:「オリンピック」の歴史

    オ:「A」社の株価

《B群》A:国語辞典

    B:百科事典

    C:新聞

    D:漢和辞典

    E:現代用語辞典

<解答>ア=A イ=D ウ=E

    エ=B オ=C

……………………………………………

 ◇コンピテンシーテストの例◇

 あなたはある企業の営業部門で働いています。営業部門では例年部員全員での旅行を実施しており、あなたは今年の幹事を任されました。先輩の社員に聞いたところ、昨年の旅行は幹事の段取り不足で不満の多い結果だったようです。

 あなたなら、このときどのように行動しますか。次のAからEの中からあなたの考えに一番近いもの、2番目に近いものをそれぞれ選びなさい。

A:みんながどんな旅行を期待しているのか、調べてみる

B:1人では難しいので、先輩社員に幹事を手伝ってもらう

C:昨年の旅行に関する情報を収集し、具体的に何が問題だったのか整理してみる

D:自分には荷が重いので、誰か得意そうな人を探して幹事を代わってもらう

E:どんなに頑張っても不満はでるものなので、できる範囲で取り組む

<分析の例>

A:少しでも多くの人が満足するよう行動し、親和力が高い

B:結果を大事に考えるので、主体性が高い

C:失敗原因を分析するところからスタートし、旅行を成功させるための課題発見力が高い

D:結果を大事に考えるので、主体性が高い

E:基礎力が欠如している

※「できる」社会人はCを最も多く選択した。

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