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[26023] 【お詫び】時空すら超える宝玉と魂【リリなの×犬夜叉】(主人公最強半オリキャラ)
Name: 星の弓◆ecc39788 ID:da023e67
Date: 2011/02/14 21:18
パスワードが分からなくなった…。

入力したはずのパスワードが違うのか無効になったのか。

とにかく、新しい版で投稿しなおします

申し訳ありません



[26023] プロローグ
Name: 星の弓◆ecc39788 ID:da023e67
Date: 2011/02/14 21:12
~プロローグ(改訂)~


「まったく…あのマッドめ。研究もいいが食事くらい取れというのだ」

私は今地球にすらいない。

ミッドチルダと言う世界のスーパーで、夕飯の買い物をしていた。

ちなみに金は厄介になっているドクターのものだ。

私はこの世界の金を持っていないからだ。


私こと枢木(くるるぎ)みちるが、ミッドチルダという魔法と科学が発展した世界にきて3カ月経つ。

今は24歳(見た目11歳)・独身…ほうっておけ。

どういうわけか、身体が幼児化している。

…私が先祖のウツギの術が切れて、元の時代に帰って来た時は、驚いた。

…私の知っている歴史とは大きく異なっているからだ。

帰って来てそうそう、事件に巻き込まれた。

四魂の玉がなくなっていなかったのだ。

私は再び戦う決意をした。

…それは私の想像を遥かに超える戦いの連続だった。

表社会に出ていないとはいえ、妖怪との戦いは熾烈を極めた。

その時、鉄砕牙と再開したのだ。

…それはやはり私の知っている鉄砕牙とは違っている。

金剛槍破、竜鱗の鉄砕牙、仙気、炎、冥道残月破という能力がついていた。

モノと共感する能力が異常に高くなり、刀鍛冶の技術も磨いた私は、武器達を自分用に改造する事は難しくなかった。

そのため、妖力を削除し、霊力に変換してある。

そして、天生牙、粉々になった闘鬼神、爆砕牙、五雷指、邪気を砕く飛来骨など…。

…叢雲牙という武器だけはモノに出来なかった。

仕方がないので、厳重封印をしておいた。

…これが後に、とある組織が安易な判断で回収しようとして大事件を引き起こすきっかけになるとは…。

話を戻そう。

ある妖怪との戦いで、奈落が四魂の玉の中で眠り続けている事が分かった。

そしてまたある妖怪の悪あがきが、私を平行世界に飛ばす引き金になったのだ。











そして













私もこれから新たな戦いに巻き込まれることになるとは、



まだ知らなかった。




「帰ったぞ、ジェイル」
「ああ、お帰り。そう言えばキミに会わせたい人がいるんだ」

出迎えたのはジェイル・スカリエッティ。

【アンリミテッド・デザイア】という(開発)コードネームをもつ科学者である。

ジェイルは、純粋な人間ではない。

時空管理局と言う組織のトップと、その息のかかった人間が作った人造生命体だ。

「…?まさか…完成したのか?例の戦闘機人とやらが」
「ああ、入っておいで、ウーノ」

ジェイル・スカリエッティが手招きをすると、
秘書の様な印象を受ける紫の髪に金の瞳の女性が入って来た。


「初めまして、みちるお兄様。№1のウーノです」
「あ、ああ…よろしく(どんなプレイだよ。明らかに外見年齢はウーノが上だろ)」

ジェイルの教育(?)に若干不安になるみちるだった。






そして部屋に戻り、ベッドに横になると、この世界に来た経緯、そして身体が縮んだ原因も含めて思い返していた。





~おまけ~

「ああ、そう言えば割と早くドゥーエとトーレも完成しそうなんだ」
「何人造る気だ?」
「ウーノとドゥーエとトーレを除けば、あと9人の予定だよ。
ただ、完成がいつかは分からないが、あのご老人達から急かされているんだ」
「…戦力増強か」
「だろうね」
「ところで、全部女性型か?」
「その予定だ」

即答するジェイル。

「なかなかやるな」
「まあね」

男達は意気投合した。




次回予告

「あなたって、ホントにゲームの【呪詛の仮面】に出てたみちるくん?」
「ま、変わり過ぎたかな。なのはの原作で言う、ジュエルシード事件の時間軸に入る前に4、5話位にわけて、
本来の世界と、この世界に来た経緯を話そう」
「次回、犬夜叉外伝、【まだ存在した四魂の玉】、お楽しみに!」
「犬夜叉のツボは…なしか?」



[26023] 第1話 まだ存在した四魂の玉
Name: 星の弓◆ecc39788 ID:da023e67
Date: 2011/02/14 21:13
あの戦いが終わってから早3日。

枢木みちる(中学3年)は、自宅の神社で携帯電話の写メールを見ていた。

別れ際に告白した初恋の人、日暮らしかごめだ。

だが、結局その想いは届かなかった。

しかし、後悔はしていない。

自分をもう一度見つめなおし、後悔のしない生き方をしなければ、皆に申し訳が立たない。

「さて、明日も早いし、もう寝るかな」

みちるは、部屋のベッドに入り、寝息を立て始めた。








翌日、いつものようにに学校が終わり、帰り道を歩いていた。

バスを降りて数分…

「!」

みちるは突如歩みを止めた。

「…結界?なんで!?」

みちるが驚くのも無理はない。

この結界は妖気で出来ているからだ。

「妖怪がいるのか?」

考えていても埒が明かないと判断したみちるは、調べてみる事にした。





「妖気の出所はここか…」

人気の無い森の中。

確かに妖気はこの辺りから出ている。

《知りたいか?》
「!?」

みちるは、突如聞こえてきた声に反応するが、何も見当たらない。

「誰だ!?」
《目の前だ》

みちるがよく目を凝らすと、そこには四魂の玉が完全な形で存在していた。

そして、いつの間にか真っ暗な空間の中にいた。

「!!?」

みちるの驚愕は凄まじかった。

そしてその中には…

「か…、かごめさん!?犬夜叉!?」







その2人は眠っている。



息はしていない。


《その巫女と半妖は選択を誤ったのだ》
「どういうことだ!?」
《四魂の玉とは唯一の正しい願いを選んだ時…》
「…」
《いや、話す必要はないな》
「なに!?」
《その巫女の心は、お前と半妖の間で揺れ動いていた》

その言葉を聞き、驚愕に目を見開くみちる。

《そして…、四魂の玉のかけらを全て探し集めた時、かごめを冥道の中に捉えた》
「冥道?」
《あの世への道だ。そして…、桔梗からかごめに渡った巫女の魂を取り込むため…》
「誘導した…?」
《我らの目的は生きとし全ての人間に死の祝福を与える事》
「…!!」
《人間などと言う低俗極まりないモノなど、必要ない》
「低俗だと…ッ!!」

怒りに歯ぎしりするみちる。

《覚えておけ…、小僧》
「!?」







四魂の玉は…穢れていてこそ、美しい…。






その言葉に戦慄するみちる。

《さて、清らかな心を持つ貴様には死んでもらおう》
「!?」

みちるが周りを見渡すとそこには大量の妖怪が!

《1ついい事を教えておこう》
「!?」
《人間どもの邪念が集まりし時、奈落は再び目を覚ます》
「!?!?」

その言葉を最後に声は聞こえなくなった。

大量の妖怪が、一斉にみちるに襲いかかる!

「式神!!」

みちるも応戦するが、いかんせん数が多すぎる。

「く…、情けないな」

式神で払い続けても、増えていく妖怪。

「も、もう終わりなのか…」

早くも諦めかけるみちる。

「いや…、だめだ…、少なくとも絶対に死ねない」

みちるの闘志が上がる。

「僕が…、皆を…、犬夜叉とかごめさんを助けないと…!」

みちるが傷だらけの身体を奮い立たせる。









我は人を守りし妖刀、鉄砕牙




「!?」




犬夜叉とかごめにかわり、四魂の玉を消せるのはお前だけだ。


「鉄砕牙なのか!?」


そうだ、お前はまだ未熟。
しかし、





無理にでも我を使いこなしてもらう。




「…」





さあ、我を呼べ。
死にたいか?





死ねるわけないだろう…。






「来い!!!鉄砕牙ッ!!!!!」





その名を呼び、一本の守り刀が飛来してくる!!





その刀はそのままでは使えない。



特別に霊力に変換してやろう…


「?」




我がお前と話ができるのはこれきりだ…、あとは自分で何とかしろ。




「わかったよ…」


そしてみちるが霊力を込めると鉄砕牙は、錆刀から、牙の剣へと姿を変える!!

みちるは眼前の妖怪たちへ視線を向ける。

自分が去った後に付与されたらしい能力もすぐに読み取れた。






「金剛…槍破ーーーーーーーーッ!!!!」









無数に舞う金剛石の槍が、妖怪の群れを一瞬で消し飛ばした。




「…終わったのか」


いつの間にか現実空間に戻っていたらしい。



「犬夜叉の刀の方がまだまだ強いんだな。
それでもこれは、僕を主とした…。
事態はそれほど深刻なのか…」


そして、みちるは立ち上がる。

「ひとまず帰るか…」








そして夕食が終わり、部屋に閉じこもったみちるは…


泣いていた。

かごめと犬夜叉のあんな姿を見てしまったから。



救えないのか?

いや、救って見せる。

でも…



みちるの心は、複雑に揺れ動いていた。









《その巫女の心は、お前と半妖の間で揺れ動いていた》


この言葉が罠になると知るのは…

もっと先の話。

この時は微塵も考えていなかった。





~次回予告~

「ユーノです!」
「出番ないかもしれないのに、でしゃばるな、淫獣」
「…もうファンの共通認識ですか?っていうか出番欲しいよ!!!」
「次回、犬夜叉外伝、【修行、そして集結する武器】」
「あの、無視しないで…」








[26023] 第2話 修行!そして集結する武器
Name: 星の弓◆ecc39788 ID:da023e67
Date: 2011/02/14 21:14
「ふん!!」

みちるは右手の拳で雑魚妖怪を砕いた。

まるで勝負になっていない。

「…もう大百足や鬼程度じゃ手ごたえがないな」

みちるは拳を見つめながらそう呟く。

あの運命の事件から既に1年経っている。

「おっと…、明日は早いし、早めに帰るか」

そう言って帰路に就いたみちる。



1年前に戻そう。


枢木みちるは、あの事件から何処かへ消えた四魂の玉の手掛かりを求めようとしたが、
聞き込み調査などをするわけにもいかず、まずは修業をすることにした。

とは言っても、これまでは仲間がいるから安心して式神を使う事が出来た。

犬夜叉や珊瑚が前衛で自分が後衛。前衛組が式神を行使する時間を稼いでくれた事など何度もある。

しかし、これからは自分一人で戦わなくてはならない。

…以前には、一人で妖怪を退治しようとして死にかけたところを、犬夜叉達に助けてもらったのだ。

同じような事はない。

今度は誰も助けてくれない。



しかし、修業の前に母の説得があった。

これは非常識な問題だし、危ない事は許してはくれないだろうと思っていたが、
案外あっさり了承を貰ったのだ。

「な…!一瞬くらい躊躇っても良かったんじゃないか?」
「実はね…、お父さんも昔は妖怪退治をしていたのよ」
「…は?そんなこと一言も…」
「…血は争えないわね~」
「…もしも~し…?」

まるで、どこぞのジャム好きの不思議主婦のような早さで了承されてしまった。

父は既に亡くしていたが、妖怪退治の時に死んだのか?

そう聞いてみたら

「ううん。病気よ」
「…さいですか」

~みちる視点~



これ程あっさりしているとは思わなかったが、とにかく方針を決めるため、庭に出た。

まずは体を鍛えることから始める。

鉄砕牙が、何故妖刀から霊刀に変換されたかは不明だが、霊力は人間であれば扱えるはず。

体中に霊力を通して肉体強化を図るのが目的だ。

かごめさんや桔梗の扱う力も霊力だが、あれは細かく言えば、【神通力】に分類される。

先天的に持つ霊力の事らしい。

とは言っても、霊力の細かい定義は曖昧なので、やりながら体で覚えるしかない。

そう、感覚だ。

とは言え、旅をしていてそれだけでも体力はだいぶ付いているので、【重り】をつけて修業を始めた。

まずは手首足首に3(×4)キロの重りをつけて10キロのランニングから。




30分後



「し…、死ぬ…!!」

なんとか完走したものの、やっぱり甘かった…。

こればかりは時間をかけるしかないか。

霊力を扱うために、精神修行も並行して行うことにした。

息を整えたら、さっそく座禅を組んでみる。

意識を体の内側に向けるようにしてみる。

以前、覚樹ばあちゃんから教えてもらった式神の使い方を基礎から鍛えなおす修業。

さらに、弥勒さまと一緒に法力や、破魔札を扱う訓練。

1つ1つ思い出しながらやってみる。



2週間後

大分慣れてきた。

この日から体術の訓練を始める。

剣技の他には徒手空拳による格闘技にも手を染めた。

武器は、いつでも都合よく仕えるとは限らないからだ。

そうなれば身1つで何とかするしかない。

主に空手や中国拳法をしようと思ったのだが、これがなかなか難しい。

…まあ、時間をかけるしかないな。





3ヶ月後

妖怪退治を始めながら修業も並行している。

無論、学校生活もサボってはいない。

ますます動きが良くなってきた。

重りは今は合計20キロだ。

霊力による肉体強化も様になってきた。

そのおかげで、走るスピードはかごめさんをおぶって走る犬夜叉くらいになった。

1つ気になったのは、妖怪達は、表の社会には出てきていない。

妖怪の被害にあった人間達は、神隠し扱いされてる。

人間社会には出てこれない理由があるのだろうか。

と、とある森の奥で、1人の鬼とであった。

「妖怪!?だが、邪気は感じない?…なんだ?」
「我が名は宝仙鬼」
「な!?…この鉄砕牙は宝仙鬼から金剛槍破をくれた…」
「うむ。それは初代のじゃな。わしは3代目じゃ」
「…3代目?」
「うむ。3代目じゃ」







「ま、お茶でもいかがかな?」
「これ…、何茶?」

人間の飲み物ではないお(自主規制)が出てきたような気がする。

すると、僕は宝仙鬼以外にも人がいたのをみた…。

「と…、刀々斎さまっ!!?」
「ああ、おめぇがみちるか。先代から聞いてるぞ」
「え?先代?」
「うむ」
「どっからどうみてもそっくりだね…」
「あれ?そうじゃっけ?」

妖怪は長生きだなぁ…。

もう突っ込まない…。


「実はよぉ。来るべき日のためにこの刀をとっといてあったんだよ」
「それ…、天生牙と…知らない刀だ…」
「これか?こいつは爆砕牙だ」

聞けば、殺生丸の体の中に封印されていた刀らしい。

「おめぇ、使えるか?」
「いいんですか?タダで…?」
「なぁに、鉄砕牙に認められてんだからよぉ。
それに、四魂の玉を消せる可能性があんのは、おめぇしかいねぇからよ…」

これには正直驚いた。
今直接、鉄砕牙から経緯を読み取ったらしい。

「…よろしいんですね?」
「ああ」

そう言うと、2代目の刀々斎さまは、体が痒いからと言って、風呂に入ろうとするが…

「あの、お願いがあります」
「ん?」
「僕に…、刀鍛冶の技術を教えてください!」

と、土下座した。

断られると思ったが、案外あっさり受け入れてくれた。

それどころか褒められた。

『犬夜叉や殺生丸はそっちには興味なしだったからなぁと、先代が言ってたぜ』

だそうだ。

そうだよな。

珊瑚さんはともかく、犬夜叉や殺生丸って、刀をうつなんてやらなさそうだしな…。

刀々斎さまが入浴中の間、宝仙鬼さんに聞いてみる。

四魂の玉に封印された2人の事を。

「残念ながら、目覚めるのはほぼあり得ないな」
「…そんな」

僕はショックな事を聞かされた。

が、落ち込む暇はない。

「だがな、かごめはともかく、犬夜叉は本来過去の人間…いや、半妖だな。
本来出会うはずのない時代の者達が交わる事はないんじゃが…」
「それを可能にしたのが四魂の玉?」
「…推測でしかないが、その可能性は高い」
「桔梗が玉を抱えて死んで、かごめさんが再び戦国に持ってきてしまった…」
「そうじゃったな」
「でも、それ以前に、翠子と数多の妖怪の魂が四魂の玉になったって聞いたんですが…」
「もしかすると、問題はその翠子にあるかもしれん。
…確証はないが、覚えておけよ」
「…はい」














修業開始から1年後

もう殆ど雑魚妖怪なら素手で十分になった。

刀鍛冶の腕も見る見る上がっている。

学校の成績が落ちていないのが不思議だが。

と、

「なんだこれ?」

僕は青い宝石が落ちていたので拾った。

「妙な力はあるが、霊気や妖気は感じないな…。
まあ、厳重封印しておくのがベストか…」

そう言って、僕は誰にも触れられないように、家の倉庫の深いところに破魔札をかけて封印した。




その夜。




家の庭に超巨大なゴキブリが現れた。

「な!なに!?」

母さんが悲鳴をあげる。

「あの青い宝石がゴキブリの頭についている!
あの破魔札は妖怪にしか効果がないんだった!!
ゴキブリホイ○イでも仕掛けておくんだったッ!!!」

嘆きつつも、爆砕牙の試し切りに付き合ってもらうことにした。

ゴキブリにこの刀を使うのは、殺生丸に申し訳ない気がしたが、

あの宝石は何となくわかる。

強い力でないと破壊できないと

そう直感で悟った。

哀れゴキよ…。

刀を袈裟がけに振りおろし、宝石ごとゴキブリを斬る。

「ーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!」

宝石は破壊のエネルギーで発生した稲妻のような衝撃波とともに砕け散った。

爆砕牙…。

斬った対象を半永久的に攻撃し続け、さらにそれを吸収しようとすれば、触れたやつも破壊のエネルギーに巻き込まれる。

格下相手にまず使えないなこりゃ…。











その頃。

「おい、ジュエルシードは?」
「1つは次元のはざまに落ちた。見つけるのは不可能に近い」
「そうか…。残っているものだけでも回収しろ」
「はい。あの97管理外世界の八神家はどうします?」
「闇の書がある場所か。もう少し様子を見るんだ。今親を殺せば怪しまれる」
「は」

2人の男が会話をしていたが、1人が退室した。

「そうだ、お前にも仕事をやろう」

男が見えもしない誰かに向かって話しかける。

「このレリックを持ってきてほしいのだ」
「フン…。わしにやらせるか。まあ、いいだろう」

そういって、ヒヒの皮を被った1人の男が姿を現した。

男の名は

「奈落…といったな。我々に協力する目的はなんだ?金か?名声か?」

奈落はその質問に口の端を釣り上げて応えた。

「人間の欲望だ」
「?」
「今は分からずともよい」

そう言って奈落は退室した。

奈落が外を移動していると、1人の男が現れる。

「欲望って言うと、四魂の玉かい?」
「白夜か」

奈落の前に現れたのは彼の分身、通り名を【夢幻の白夜】。

ミッドチルダではまずお目にかかれない着物に、尖った耳で整った容姿である。

「まあ、間違いではない」
「その先にある者…か?」
「そう。犬夜叉とかごめが封印され、桔梗も死んだ…。
偶然見つけたとはいえ、このジュエルシードとやらはわしに力を与えたようだ」
「けどさ、おれ達の次元には、みちるってやつはいなかったよな?」
「世界と言うのは可能性、選択肢の数だけ存在する。無数にな」

白夜は、そんなもんかといった具合に、首をかしげる。

「殺生丸の邪魔もない。あの妖力は吸収したかったが、まあいい。
管理局という連中は利用させてもらおう」
「で、いらなくなったらポイか」
「わしにとっては駒でしかない」

そう言うと、奈落はレリック探しに向かった。

奈落が自ら動くのは、探索も兼ねているからだ。

「やれやれ、おれも気をつけないと、神無みたいになっちまうな」

白夜は、溜息をついた。










~おまけ~

もんもんもんもん…

さっきからみちるがもんもんしているのは、道端で女性とぶつかったときに、偶然にも胸に触れてしまったことだ。

15歳の少年には刺激的すぎる。

女性は事故という事で気にしてはいなかった。

思春期の心にスイッチが入った瞬間だった。



~次回予告~

「なんだ貴様」
「この妖怪…なんて邪気だ!!」
「それは鉄砕牙が?なる程、斬る冥道か」
「冥道残月破を知っている!?」
「元々わしの技だ」
「次回、犬夜叉外伝。次元超えた!?死神鬼との死闘!
やっぱりまだまだ自分が甘いのか…!!」





[26023] 第3話 次元超えた!?死神鬼との死闘!
Name: 星の弓◆ecc39788 ID:da023e67
Date: 2011/02/14 21:15
~第3視点~

そんなこんなで早10年近く経った。

既に24歳になったみちるは、ある人物の依頼を受けて人気のない山まで来ていた。

この10年の間に色々あった。

武器に関しては、退治屋の里だった場所にあった飛来骨や鎖鎌等や、ある山に折れた闘鬼神があったりした。

無論、武器は全部鍛えなおした。

そして、妖力が必要なものは霊力に変換してある。

ちなみに、一人では時間が足りないために、2代目の刀々斎に手伝ってもらったりもした。

妖狼族の聖域にも行ったが、酷く悲惨な状態になっていた。

聖域は死体の山で、誰一人として生き残っていなかった。

それでも生き残りがいないかと探していたが、聖域の奥の地面に五雷指が埋められていたのを見つけた。

無論、それも回収した。

五雷指から、鋼牙の記憶が見えたが、得体の知れない【何か】に僅かに残った妖狼族が全滅させられていた。

「どうにも歴史が狂っているな…」

何者かが【時空】に介入している。

10年経った今でもそれくらいしかわかっていない。

有力な手掛かりが何1つないのだ。

修行の方は血反吐を吐くくらいの厳しさを、常に自らに課していた。

身体に取りつけた重り既に合計200キロ近くになっている。

霊力による肉体強化に頼らずとも、殺生丸の縮地に近いレベルの動きも出来るようになった。

みちる本人は気付いていないが、既にその強さは犬夜叉や殺生丸を凌駕している。

にも関わらず、みちるは2人を目標にして鍛えている。

人間は妖怪に比べて寿命が短い。

それ故に成長も早い。

…それが正しいかは不明だが。

無論、本来の力である式神の訓練も怠ってはいない。

そのレベルはウツギを上回っている。

数々の戦いも経験した。

死にかけた事も1度や2度ではないが、それでも彼は生き残った。

何故現代日本に妖怪が出てくるのか?

それを考える暇はない。


「…あれか。退治の依頼が出ているターゲットは」

そう考えているうちに、目的地に着いたようだ。

と、


「くっ!!?」

何かが飛来してきて、咄嗟にそれを避けた。

「冥道!?」






「ほう…、鉄砕牙と天生牙か。雰囲気が変わっているが間違いない」



そこには、半分近く顔が無い男がいた。

「我は死神鬼」
「冥道残月破の本来の使い手…」
「そうだ」

死神鬼は右目でみちるを見る。

「四魂の玉は消えておらず、歴史に狂いが出ているか」
「…」
「まあいい。わしには関係ない。
あるとすれば、冥道残月破の使い手は二人もいらぬ!!」

そういって、死神鬼は、新円の冥道を6発纏めて打ち出した。

「く!!」

冥道残月破は、あの世への道を切り開く技。

ある意味次元を切り裂いているに等しい。

冥道からは避けるしか術がない!

前述していなかったが、みちるは飛行が可能になっている。

式神や霊術よりも、空を飛ぶ技術が習得に苦労した(ちなみに、思いつきから習得まで半年かかった)。

(高校時代の友達風に言えば、オレTUEEEEE的な存在とか、チートとか言われても反論できんな)

半ばメタな思考をしながら、死神鬼の冥道を避けていく。

「どうした!?逃げるだけかっ!?」
「ならば」

みちるは鉄砕牙を抜き、黒い刃に変える。

「!?」
「冥道残月破!!」

無数の冥道の刃が死神鬼を襲う。

が、

避けられてしまう。

みちるは避けられる事は予想しなかったわけではないが、焦っていた。

(ち、やっぱり冥道残月破を使った時だけ腕が痺れるな)

まだ気にする程ではないが、腕のしびれを我慢するみちる。

本来、冥道の邪気は人間が扱うものではない。

霊力と邪気。妖気以上に邪気は霊力と反発しあう。

そもそも邪気は妖気以上に毒性が強いのだ。

殺生丸クラスなら平気かも知れないが、犬夜叉では簡単に妖怪化するほどの邪気が冥道には満ちている。

犬夜叉は、自分の妖穴を斬ってこの弱点を克服したが、みちるでは完全には扱えない。

使いこなすには彼自身がもっと強くならなければ。

みちるは冥道の変化を解き、金剛石に変える。

「ふっ、1発撃っただけで、腕が痺れたのか」

そう言い放つ死神鬼。

(気付いている…)

だてに長く生きた妖怪ではないな、と考える。

しかし、死神鬼は殺生丸の冥道に吸い込まれたはずだが、何故現世にいるのか?

それを知りたいが、またもや冥道が飛んできた。

どうやら考えさせてはくれないようだ。

「く!」

みちるは避けながら鉄砕牙を鞘に納め、式神を取りだした。

「!?」

死神鬼は自らの足元を見る。

「ち!」

その場からバックステップでかわす死神鬼。

その足元から焔の柱が大地を砕いた。

”焔の怒り”

みちるが最初に覚えた式神の必殺技である。

「お前も避けるだけだな。2次性徴を迎えて緊張してるのか?」
「それは思春期だ。間違えるな小僧!!」

怒った死神鬼は、新円の冥道を固めうちする。

冥道を避けたみちるは死神鬼に急速接近し、素手で死神鬼の腹に手の平を向けた。

「がはっ!?」

腹を押さえて苦しむ死神鬼。

”八卦掌”。中国拳法でも難易度の極めて高い武術。

掌を用いるモノだ。

「ち、わしを挑発しての作戦か」
「…」

死神鬼は怒りに顔を歪めると半径100メートル球の冥道を作り出した。

「な!なに!?」

驚愕に目を見開くみちる。

死神鬼の胸には赤き結晶体があった。

「【れりっく】とかいったか。この力はわしを強くする。
最も…、四魂の玉に似たようなものであるが」
「…その力の波動…、微妙に違う…赤い結晶体みたいなものがレリックとやらか?」
「そう…。何故これがわしの胸にあったかは知らぬ。
だが、これで貴様はおわ…」

死神鬼が言い終わる前に異変が起きた。

「!?」
「な、なに…!?」

死神鬼も予想外だったらしく、自分が作り出した冥道を見る。





ごおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!

「な、」
「す、すいこまれる!?」









こうして、この地球から1人と1匹が消失した。








「行ったか…」

冥道が発生した場所に1人の男がいた。

折り鶴に乗って飛行する男。

「奈落、これでよかったのかい?」
《ああ。これからが楽しみだ》



夢幻の白夜は、そう言って次元移動装置のスイッチを押し、この世界から消えた。

奈落が巧みな話術で管理局員を協力させるように誘導し、作らせたものだ。












「ここは!?」

みちるが目覚めたのは簡素な部屋だった。

武器が無いと思ったが、部屋の隅に立てかけてある。奪われてはいない。

最も、普段使わない武器は、【消している】のだが。

使っていた鉄砕牙はすぐに消す暇はなかったのだ。

傷は浅く、明日には治るレベルだ。

身体を改造された形跡もない…と言いたい所だが、身体が縮んでいる。

「な、なに…!?」

あまりに予想外の事実に目を点にする。



「やあ、目覚めたかい?」

と、紫の髪に金色の瞳の白衣を着た男が入室してきた。




これが、ジェイル・スカリエッティという魔法と科学の世界のドクターとの出会いだった。







~おまけ~

「これって、裸の女を培養液に…」
「ああ、彼女は戦闘機z」
「どっから攫ってきたんだ?」
「え?」
「特にこの10歳くらいにしか見えない銀髪ロリッ娘はッ!!!!?」
「ま、待て!!?」




コブラツイストオオオオオォォォォッ!!!!!




ぎゃあああああああああああああああっ!!!


「え?じゃあ、作ったの?」
「ああ、そうだよ」
「なんだ…自首した方がいいのかと思った」
「…キミは今でもそう思っているだろ…」







~次回予告~

「さあさあ、始まりました異世界編!」
「あのカガクシャとやら、気に食わんな…。わが毒爪のえじk…」
「ちょっ、殺生丸様!!話が進まなくなります!!」
「でも邪見さま、中の人同じだよね?」
「ああ、りんちゃん!!いっちゃだめぇっ!!『バキィッ!!』あんっ!!」
「次回、犬夜叉外伝。そして新しい日常」
「ヘンな声出さないでよ邪見さま~」
「中の人間が同じだから気に食わぬ」








[26023] 第4話 そして新しい日常
Name: 星の弓◆ecc39788 ID:da023e67
Date: 2011/02/14 21:16
久しぶりの更新です。

なお、主人公及び、多くのキャラは、作者の独自解釈のせいでオリキャラに近くなっています。

また、主人公のみちるが、妖刀の類が使えるのかとかも8割以上がご都合です。

まあ、設定はありますが念のため、

戦国の正義サイドキャラは、かごめ以外には1人出る予定です。




~第3視点~

みちるは今、ある1人の男と対峙している。

対峙と言う割には、のんきにお茶を飲んでいるが。

「私はジェイル・スカリエッティだ」
「枢木みちる」

互いに自己紹介を済ませる。

「ふむ…、免許証も見せてもらったが、キミは地球人だね?
…そして、キミの体は随分縮んでいる」
「…まるでここが地球じゃない言い方だな?
…それと、体は好きで縮んだわけじゃない」

みちるは比較的冷静に対応する。

「ああ、ここはミッドチルダと呼ばれる世界。
…しかし、キミは地球人ではあるが、97管理外世界ににはキミの存在は確認できなかった」
「…なに?」

と、言ってみちるは疑問に盛ったが、すぐに思い至った。

「パラレルワールド…」
「ふむ?対して驚いてないみたいだね?」
「似たような経験はあったからな」

かつて、自分の先祖である人が奈落の力を借りて、自分を戦国時代に呼び出したように…。

「しかし、パラレルワールドは、我々にとっても未知の領域。
キミを元の世界に返すのはほぼ不可能だろうね」
「…で?」
「我々のことが外部に漏れるのはまずいから、キミにはここにいてもらうことになる」

と、みちるに対しそういうスカリエッティ。

「…いいだろう」
「…随分あっさりしているね」

と、スカリエッティは、肩すかしをくらった気分になった。

(微かだが、奈落の邪気がある…。奈落本人か…、分身か。
それを確かめるまでは、帰る手段はあっても帰れんな)
「色々確かめたいことがあるしな」

ということで、さほどもみ合いにもならずみちるがスカリエッティのアジトに住むことが決まった。

その後、みちるは色々教えてもらう。

さまざまな世界を管理する時空管理局。

警察と裁判所が1つになったような組織。

それは表向きで、裏では非合法研究も数多くやっていること。

ジェイル本人も、管理局のトップ、最高評議会に【作られた】こと。

その命令に従って、様々な違法研究を行なっていること。

「頭の悪い組織のだな。
で?最高評議会が100年以上、1度も代替わりしていないことに誰も突っ込まないのか?」
「みんな管理局が絶対正義だと信じて疑わないからね」

みちるは頭を抱えた。

その後は、多少世間話をしてお開きになった。




それからしばらくして。

「みちるくん!できたんだよ!!!!」

と、気色悪い笑顔で近づいてきたジェイル。

「何が?」

と、冷たいみちる。

「ウーノ、入っておいで」
「…?あ、例の戦闘機人か?」

思い出しように頷く。

評議会の命令で作っていたことは聞いていた。

なお、その事を話している時、みちるの魔法とは違う霊力やその他にも興味を抱いていたが、今は戦闘機人の開発を急かされて

いるので、後回しにしたのだ。

そして、秘書のような雰囲気の女性が入ってくる。

「はじめましてみちるお兄様。
ウーノと申します」

その言葉を聞いた瞬間、みちるは飲んでいた緑茶を噴出した。

「【お兄様】って…何のプレイだ?」
「?」
「はっはっはっは!気に入ってくれたかい?」

悪びれもせず笑うジェイル。

ウーノは分からないといった風に首をかしげる。

「それからあと数日もすれば、ドゥーエとトーレも完成する。
まあ、楽しみにしてくれたまえ」
「なあ…」
「?」

ふと、みちるは思っていたことを言ってみる。

「残りの戦闘機人も全員女?」
「正解!」
「即答かよ…」

いい趣味しているな、と思うみちる。

某法師の悪癖が移りそうだ。






さらに数日後

「2人とも、入っておいで!」

ジェイルが、完成した戦闘機人に入室を促す。

1人は妖艶な雰囲気を持った、ブロンドの髪の女性。

1人は体育会系の、女性にしては長身の人。

「はじめまして~、みちる【お兄様】。ドゥーエです」
「ぶふうっ!!?」

またしても緑茶を噴き出すみちる。

ドゥーエは、「キャッ///」とか楽しそうに言ってるし。

「ト…、トーレです…」

体育会系のトーレは、コミュニケーションが苦手なのか、たどたどしく挨拶する。

「まあ、トーレの挨拶が普通だな?」

まあ、ウーノは比較的常識人だし、ジェイルの(色々な意味での)暴走の歯止めにはなるだろうし。

と、考えたみちるだった。

そんなこんなで、本日もみちるの手料理で、ドゥーエとトーレの誕生パーティをやることになった。

みちるは、和食は得意なのだが、洋食は一般家庭レベル。

なので、ケーキはさすがに買ってきた。








某無人世界。

「ぐぎゃああああああっ!!!」

断末魔をあげる1匹の竜。

そしてそれを吸収するのは…奈落。

白夜はそれを遠くから見守るのみ。

「しっかし、魔法生物だっけ?そんなのも吸収できるようになっちまうんだもんなぁ」
「無論、わしとて最初は吸収しようなどと考えてはいなかった」
「そりゃまたなんで?」

白夜の問いをスルーする奈落。

白夜はたいして気にしていないようだ。

(この世界の生物の体のつくりには面白いものがある。
犬夜叉や桔梗がいないこの世界において、わしが思い通りにするのも…わるくない)

奈落は、顔を歪ませると無人世界を離れ、アジトに戻っていった。

ちなみに2人は、10年も前に【こちら側】に来ているし、

とある人間を吸収して【知識】も得た。

無論、その人間は知識を搾り取られた後、無残に捨てられて骨になった。







~次回予告~

「おいおい、おめぇ違う世界に行ったんだな?」
「なかなか羨ましい環境ですねぇ」
「ほ・う・し・さ・ま~?」
「あほじゃ…」
「次回、犬夜叉外伝、「続く日常」、次回も見てやってくれ!」
「その言い方は微妙に気になるな…」




[26023] 第5話 続く日常(ネタ?あり)
Name: 星の弓◆ecc39788 ID:da023e67
Date: 2011/02/14 21:17
新暦65年。


~みちる視点~

この世界に来て何年か経った?

疑問形なのは、私の肉体年齢が10歳程度で固定されているからだ。

つまり、全然成長していない。

何故?

考えてもわからん。

推測でしかないが…

「あの時、私と死神鬼を飲み込んだ冥道のせいか?」

恐らくそれしか考えられない。

原理なぞ分からんから、途中から思考を放棄した。

そうそう、現在ではナンバーズは4番クアットロと、5番のチンクも完成している。

クアットロは一言で言えばメガネッ娘。

チンクは銀髪ロリッ娘。

合計7人の生活だがなかなか悪くない。

そろそろドゥーエが任務のために時空管理局に忍び込むそうだ。

ドゥーエは何かエロい。

私が入浴していると分かっていながら浴室に入ってくるし、クアットロも最近ドゥーエを真似するようになった。

イロイロ複雑な思いをしているがとりあえず生活は楽しい。

無論、修業も怠ってはいない。

特にトーレとチンクが修行には積極的に参加してくる。

最近は模擬戦中心のメニューになったが、私が負けた事は1度もない。

経験の差があるからだ。

さらに言えばスペックも私の方が高い。

戦国時代に引きずり込まれた頃ならいざ知らず、今では滅多なことでは負けん。

しかし、未だに克服できていない問題が1つ。

冥道残月破だ。

かつて犬夜叉が竜燐の鉄砕牙(鉄砕牙の記憶を読んだ)で妖気を吸収しようとした際に起きた現象。

手の火傷。

冥道残月破を撃つ度にその現象が起きてしまう。

したがって多用出来る技ではない。

まあ、それ以外はほぼ問題は無い。

強いて言うなら、浄化の力、結界の力は巫女には及ばない。

それと、琥珀の命を霊力だけで繋ぎ止めたようなまねはさすがの私でも出来ない。

私とて相応の触媒がないと出来ないのだ。

そう考えると桔梗の力はもはや神がかってる。

「にしても、私がたどってきた歴史とは随分違う動きをしているな」

自分がたどってきた未来ではない。

ウツギの最期を看取ったのは奈落が死んだ後だったし、犬夜叉の刀にも知らない能力が張り付いていた。

それに、自分と犬夜叉やかごめさんと出会ってすらいないのだ。

『みちるくん?広間に来てほしいんだが』
「分かった、すぐ行く」

ジェイルからもらった端末に通信が入り、私は部屋を後にした。

ちなみに、私は魔法とやらを扱うための器官、リンカーコアがないらしい。

まあ、使えなくても構わんが。












現在7人全員揃っている広間。

ジェイルの研究室では狭いので、こうして広間に集まる事になった。


というか、高級マンションと変わらないリビングと化している。

ただの研究所では味気ないので、私が改装した。(トーレ達やガジェットの試作品とかいうロボにも手伝わせた)

「で?呼び出した用事はなんだ?」
「これを見て欲しい。」

大きなスクリーンに映し出されたのは、1人の妙齢の黒髪の女性と1人の金髪の少女。

で、女性が大事そうに抱えているのは生態ポッド。

『フェイト…、今更あなたを娘と思えと?』
『母さんが望むなら…』

そして、緊迫した空気を壊すように地震が発生。

女性の方がアルハザードとか言っていたが、映像の向こうの振動が酷くて、あまり会話は聞き取れなかった。

「この2人は?」
「黒髪の女性の方が、プレシア・テスタロッサ。小さい子の方がフェイト・テスタロッサ」

私の疑問に答えるジェイル。

要約すると、26年ほど前にプレシアの方は大型魔力駆動炉の設計主任に抜擢された。

しかし、途中からの引き継ぎでトラブルも多く、無茶苦茶な命令や理不尽なスケジュールの密度の濃さにプレシアを始めとする

研究員たちは疲弊していく。

「ヒュウドラ事件」と呼ばれる事故でプレシアは1人娘を無くしている。

原因は安全設計を無視した無茶な設定のせいで駆動炉が暴走した事。

プレシアはこの責任を無理やり取らされている。

その後姿を消し、この事件まで表立って出てくる事は無かった。

そして、プレシアの周りの宝玉には見覚えがある。

「あれは…!!」
「ジュエルシードを知っているのかい?」

そう、もう20年近くも前になるが、爆砕牙で試し切りをした青い石。

ゴキブリの巨大化には驚かされたが、自分が元いた世界にも出てきていたのだ。

「なるほどね。しかし、何故…?」

ジェイルも考えるが、手がかりもないのに分かるはずはない。

それは置いといて、そのジュエルシードで死者をも蘇らせる魔法が眠る約束の地【アルハザード】ととかいう世界に行こうとし

たらしい。

そのために駒として作ったのが…

「フェイトか」
「同情はするけど、やり方には賛成できないわね。
虐待もしているそうじゃない」

ドゥーエがウンウンと唸る。

と、みちるが何かに気付いた。

「ジェイル!!ここを拡大しろ!!」

みちるの迫力に驚かされながらも、言われたとおりにするジェイル。

映像に映っていたのは。









「一緒に行こう…アリシア…」









「おっと、まだ死ぬには早いぜ?」






折り鶴に乗った和服の男がいた。

一見すると女にも見えるが。



『そうだ。白夜よ、その女をあの小僧の目の突きやすい場所に置いておけ』
「へいへい」





「間違いない…、一瞬だったけど、映っていたのは奈落の分身…夢幻の白夜」













~おまけ~

そう言えば日常を書くはずが、すっごいシリアスになったんだけど?

じゃあ、



最近ジェイルが運動不足なので、ボーリング場をラボに作ってしまったのだった。

もちろん全員参加で、商品をつけた大会だ。

みちる、平均250点。

ジェイル、平均90点。

ウーノ、平均120点。

トーレ、平均190点。

クアットロ、オールストライク。

チンク…累計17点。(3ゲームで)

「ド、ドンマイッ!!?」
「慰めないでください!!!」

チンクの苦悩は続くのだ。

クアットロにはイカサマ疑惑があったのだが、実力でオールストライクを取ってしまっていた。

商品をつけたせいで、みちるはクアットロの相手をさせられる羽目になった。
(何のとは突っ込んではいけない、みちるの外見は子供)


さらに余談だが、クアットロは地球の漫画のツナギ着たイイ男にはまってしまったらしい。






次回予告

「あ、どうも。琥珀です。
おまけのシーンで思い出しましたが、蛇骨ははっきり言って理解できない人でした。
犬夜叉様って可愛いんでしょうか?

次回、犬夜叉外伝【親子救済】です。
奈落…、何を企んでいるんだ?」



[26023] 第6話 親子救済
Name: 星の弓◆ecc39788 ID:da023e67
Date: 2011/02/14 21:46
第6話

親子救済



今私は、トレーニングルームでトーレを相手に模擬戦をしている。

チンクと今はする事がないクアットロ、ドゥーエ、それから最近生まれたセイン、ノーヴェ、ウェンディ、ディエチが見ている。



セッテ、オットー。ディードは、まだ調整に時間がかかるらしく、目覚めていない。

…何故皆が生まれるのが原作より早いかって?

しかもスバルとギンガが生まれてもいないのに。

私ことみちるには原作知識がないのに、原作ネタを言わせるつもりか?

ご都合主義と思ってくれ。

捕捉するなら、私の魔法とも違う力に興味を示したジェイルが何かが刺激されたのか、研究に熱が入ったのだそうだ。

私の考案した「霊力を持つ戦闘機人」の計画のプロトタイプなのだ。

最も、霊力については評議会には内緒だし、戦闘機人の計画を進めないで評議会の機嫌を損ねると、無関係な犠牲者がより増え

てしまう。

と、とにかく!電波は放っておいて、生命操作を無理矢理研究する等私とて心苦しいが、組織の力は大きい。

故に、今は評議会の機嫌をとりつつ気を窺い、戦力を蓄える。

手を汚すのは私達だけで十分だ。

ちなみにドゥーエはそろそろ聖王教会に潜入して聖王の遺伝子を手に入れる任務があるので、暫く会えなくなる。

話を模擬戦に戻そう。

トーレは初めこそスペック頼みの戦い方で、魔導師基準でSランクはあるらしいが、それだけ。

力任せの戦いなど私には通用しない。

スペックは私の方が上だが。

ジェイル曰く、私は鍛え上げられた肉体と霊力の相乗効果で、下手なバリアジャケットよりも肉体そのものの強度が高いのだそ

うだ。

簡単に言えば、私は下手な拳銃程度では傷1つつかない肉体だ。

バリアジャケットとは魔導師が纏う防護服。

大抵の魔導師は、デバイスという魔導師の武器、或いは魔力の増幅器に展開させている。

まあ、時としてデバイスなしで展開できる奴もいるらしいが。

しかし、魔法と言うのはリンカーコアと呼ばれる器官がないと使えないらしいので、拳銃などの武器を禁止している(自分達は

条件付きで使っている)管理局が人手不足を補うために、ジェイルに人造魔導師や、戦闘機人の研究を進めさせていたそうだ。

魔力は空気中にある魔力素をリンカーコアにため込んで、使用時に放出するらしい。

霊力や妖力は生命エネルギーそのものに近い力だ。

体内エネルギーに訴える行使方法である以上、霊力を扱うためには体は鍛えた方がよい。

それも魔導師以上に。

しかし、鍛え上げれば魔導師の魔法にも負けはしない。

まあ、霊力や妖力に非殺傷設定は無いのだが。

魔導師の魔法には非殺傷設定と言うのがあるらしいが、痛覚はあるし、1度わざと喰らってみた事はあったが、ショック死まで

は防げないようだ。私に言わせればあまり意味は無いと思う。

私個人の見解なので、何とも言えないが。

まあ、確かに肉体や内臓破損で死ぬことはないだろうが。

そんなわけで、トーレ達との模擬戦では最初は刀を使わなくても十分だったのだが、トーレとチンクは、最近では闘鬼神を持ち

出すことが増えてきた。

ノーヴェ、ウェンディ達はまだまだ素手で十分だが。

武器は魂レベルに分解して私の体に取り込み、必要に応じて再構築させているので、必要になったら武器を召喚している。

まあ、新しい霊術も20年近くもあればいくつも習得している。

正確には18年か?

「雷撃弾!!」

私はサッカーボールサイズの雷の弾を作りだし、トーレに向けて放つ。

鉄砕牙の記憶から読み取った冥王獣の雷鳴砲を疑似的に真似た技だ。

これは武器なしでもできる。

単発で撃ったので案の定跳躍で交わされたが。

今度は左手12発生成し、雷激を放つ!!

「ライドインパルス!!」

トーレの高速移動で全て交わされた。

だが、それも計算済みだ。

トーレは背後からインパルスブレードで攻撃するつもりらしいが、私はそれを読んでいたので剣で受け流し、トーレの腹に回し

蹴りを放つ。

「がっ!!!」

トーレは、強烈なな1撃に吹っ飛び背中をトレーニングルームの壁に叩きつけられてしまう。

私は右手で持った闘鬼神(私は右利き)で、トーレの喉元に切っ先を突き付ける。

「参りました…」

トーレから降参宣言が出る。

それを見ていたナンバーズの先輩組は特に驚きはしなかったが、後輩組は感嘆の声を挙げている。

特に、私をアニキと呼ぶノーヴェは、私に強い憧れを抱いているらしい。

…私の外見年齢はチンクと同じ10歳前後。

私は10歳にしては大きい方だが。

それ以外のナンバーズは、皆20歳前後だと言うのに…。

「やっぱみち兄はすごいっすねぇ~っ!!」

ウェンディが私を賞賛する。

「いつかはあのレベルになりたいぜ」

これはノーヴェ。

「まじめに修行していればなれる」

と、私はそれだけ言い、闘鬼神を消す。

「兄上は妖怪を殲滅するプロの戦闘者…、語弊はあるがそんな感じだ。
私達とはキャリアが違う」

チンクが正論を言う。

「ところで…、プレシアはまだ目覚めないか?」
「リニスさんとアリシアは懸命に看病してるっすが、まだ時間かかるっすね」

ウェンディが私の質問に答えた。

プレシアの病は簡単に治るものではないが、ジェイルが何とかしてくれた。

あの映像を見る限りでは、
プレシアは、アリシアの遺体が入ったポッドと一緒に虚数空間に落ちたはずだが、何故かここに流れてきた。

プレシアの使い魔のリニスと言うおまけまでついてきた。

リニスはプレシアの病の治療が終わると同時に覚醒したが、彼女が弱っているため、日常生活程度しかできない。

プレシア、アリシア、リニス…。

この3人の救出の話を…。









当時の状況を話そう。


彼女達が虚数空間に落ちて行った時に見た映像に確かに白夜がいた。

その時、プレシア達が落ちて行った先に冥道が開いたのだ!!

「あ、あれは…」
「冥道…!?何故白夜が!?」

そう言えば白夜も使えた…。

白夜の刀は相手の妖気をコピーできるのだ。

しかし、1回しか使えないはずでは…?

細かいことは後回しにして、とりあえず彼女達を救出しよう。

「冥道残月破ッ!!!」

じりっ!

手に火傷を負ったが気にしない。

「なっ…!?まるで宇宙みたいな空間だね?」

真円の冥道にジェイルは驚くが、冥道の中にプレシア達2人がいないか確認する。

ちなみに、斬る冥道との使い分けも可能だ。

次元断層とかの反応が管理局に気付かれないか心配だが、結界を張ったりして可能な限り隠蔽を施した。

どこまで通用するかはわからんが。

「…気配を感じる…1つ多いが…」
「助けるのかね?」
「…30分だけだ。冥界の邪気は強力だから、私の邪気の浄化能力でもそれが限界だ。
ウーノ」
「はい」

私は天生牙を取り出し、ウーノに手渡す。

「私が戻ってくる時に、それを目印に冥道を開くから、持っていてくれ」
「分かりました」

渡すのは爆砕牙でもいいのだが、冥道残月破は、天生牙もかつて纏っていた。

犬夜叉と殺生丸が冥界から脱出する時も、天生牙の導きがあったからこそなので、こっちの方がいいと思ったのだ。

こうして私は冥界に入った。




瘴気の中を進むこと暫く。

「さすがにきついな…いた!」

私は、黒く巨大な鬼のような冥界の主に掴まれているプレシアとアリシア、そして1匹の猫を見つける。

「ゴホッゴホッ!!…あと10分が限界か…」
「お兄さん!!無理しないで!!!」

私が苦しんでいると、1人の少女から声をかけられる。

「お前が…アリシアテスタロッサか」
「そうだけど…何で知ってるの?」
「わけはあとで話す…!」

今は救出が優先だ。

「そこに飲み込まれたら、生まれ変わることも出来なくなる…!!待っていろ!!」

私はアリシア達にそう言う。

しかしそうは言っても、冥界に吸い込まれてしまう感覚がある。

赤黒い深淵(真円)。

あれに飲み込まれたら2度とは戻ってこれない。

「ごおおおおおおっ!!」

冥界の主がアリシア達をつかんでいない右手で殴ってくるが、私はそれをたやすくかわす。

「くそう…。どうする!?冥道残月破で斬るのか!?」

私がそう思案していると、鉄砕牙が、突如変化を始めた。

緑色の竜の鱗へと。

「竜鱗の鉄砕牙!?」

どういうことだ!?

何かの妖穴を斬るのか!?

冥道は妖怪じゃない…。

が、

冥界の主に妖気の渦が見える…。

「そこだ!!!」

考えても仕方ない!!

鉄砕牙は、本来の担い手ではない私を使い手と認めてくれた。

ならば…、犬夜叉が鉄砕牙を信じたように…、私も信じるのみ!!

「ぐぎゃああああああっ!!!!」

妖穴を斬られた冥界の主は、消滅し、私は2人と猫を抱えて地に降りる。

「んっ!!?」

鉄砕牙の霊力が私の中を駆け巡る!!?

その現象は数秒で収まり、私は膝をつく。

かなり苦しい…。

「あ、お兄さん…」
「話はあとだ…。冥界の邪気でどうして2人と1匹とも生きているのかは知らないが…、後1分もない…」

私は顔を青くしながら…、鉄砕牙に力を込め…、

「天生牙よ…、共鳴しろ…」

外界のウーノに預けた天生牙に呼び掛ける。

すると、目の前に小さな光が!!

「天生牙導いてくれ……行くぞ冥道残月破ッ!!!」

私は光に向けて冥道残月破を放ち、そこに飛び込んで4人とも脱出した。

「みちるくん!!」
「兄さまっ!!!」

皆が冥道から出てきた瞬間倒れた私を心配して駆け寄る。

…冥道残月破を使ったのに邪気が逆流しなかった…!?






~次回予告~

「桔梗だ。
次回はみちるが地球に向かうらしいな。
そこではう”ぉるけんりったーと名乗る連中が魔力とやらの収集をしているらしいが、
今のみちるなら問題は無いだろう。
頼りなかった少年が…逞しくなった。

次回、地球へ

奈落…私の手で浄化してやりたかった…」



~あとがき~

すっごい久しぶりですね…。

カメ更新で申し訳ありません。



[26023] 第7話 地球へ
Name: 星の弓◆ecc39788 ID:da023e67
Date: 2011/02/16 23:36
何か白い霧がかかっている。

これは…。

ああ、あの映像で見た…テスタロッサ親子が冥道に飲み込まれて…、

彼女達を救出しあと…、私自身も冥界の邪気を浄化しきれずに気絶したのだったな。

…今は現実の私はジェイルのアジトの医務室辺りだろう…。

白い霧がやがて晴れてくるとそこには…、もう会えないはずの犬夜叉とかごめさんが骨喰いの井戸で手を取りあっている。

かごめさんの体は中学生ではなく、高校生くらいに大きくなっていた…。

犬夜叉は変わらないな…。

弥勒さまと珊瑚さん…、七宝…雲母…。

弥勒さまと珊瑚さんが抱えているのは…3人の子供…?

…そうか、これは1つの可能性の未来…。

私がいた捻じれた未来ではない1つの結末…。







ドクンッ!!




その時…私の感情は揺れ動いた。

…私は…かごめさんが好きだった…。

最後にそう告白したのだったな。

ウツギが死んで私が消える前に…。

しかし、あれは別の未来…。

もう叶わぬ夢…。

こっちのかごめさんは冥道を通じて、四魂の玉に吸収されている。

もう…戻れない…。

そう思っていると…。





「よう、生きてるようだな」






聞きなれない男の声が聞こえた。







「会うのは初めてだな…。
っつてもここは夢の中。おれは夢幻の白夜」
「奈落の分身…!?」

着物を着た整った容姿の男。

女と見間違えそうだが、声で男と分かる。

私は目を細める。

「そう殺気立つなよ。今は戦うつもりはない」

しかし、白夜は私の殺気をスルーした。

「…そうだな。鉄砕牙の記憶を見る限り、お前は直接戦闘にはひどく消極的だった。
諜報活動が主だったな」
「おやおや…知ってるのかい」

白夜は面白そうに笑うと、私に背を向けて語りだす。

「奈落の思惑通り、お前はあの親子を救ったな」
「!?」

奈落がいるのか!?

この次元世界に!?

「20年くらい前からかな。お前より12年早く来ている。
最初は戸惑ったが、今はこっちの世界の常識も一通り覚えた」

私が驚きの表情をすると、それだけで私の思考を呼んだのか、律義に答えた。

「思惑と言うのは…?」
「管理局っていう連中は邪魔なんだよねぇ…。
それだけじゃないが、奈落は管理局にロストロギアとして保管されている【あるもの】を奪うために暗躍している」
「…あるもの?」
「そいつは企業秘密だ」

こいつが企業秘密なんて言葉を口にするとは思わなかった。

「そこで、管理局を快く思ってない連中を少しでも増やして、そいつらに管理局を討たせるつもりだ」

…なるほどな。管理局は表向きは管理世界の公的機関だが、裏では異常なほど執拗なロストロギアの回収と、魔力の高い子どもを誘拐。

で、現在ジェイルにやらせている人造魔導師と戦闘機人計画。

「私達に管理局を倒させて、最後は美味しいとこ取りか?」
「ま、そうなるな。例の物が保管されてる場所は、いかに奈落でも手出しができない場所だからな」
「…」

私は奈落の手のひらだったという事に歯ぎしりをする。

「おっと、そろそろお前の体が目覚めるな…。
最後に1つ教えるが、この次元の地球に曲霊(まがつひ)が現れた」
「なっ!!?」
「そして…、闇の書っていうロストロギアに取りついた…。
闇の書がどんなもんかについては、後でお前の仲間に教えてもらえ。
ちなみに主は、年端もいかない小娘だ。しかも車椅子のな」

…何をするつもりだ…!

「…曲霊はお前らの味方…」
「味方じゃないさ。鉄砕牙の記憶からどう解釈したかは知らないが、単に利害の一致だ。
曲霊をどうするかはお前の自由だ」





そこまで言って白夜は消える。

「まてっ!!!」



しかし、私の意識はそこで目覚めた。

やはりラボの医務室だ。

隣のベッドにはプレシア・テスタロッサが眠っている。

「みちる兄さまぁ、大丈夫ですか?」
「クアットロ…?」

そこには心配そうに私を見るクアットロがいた。

「私はどれくらい寝てた?」
「丁度30時間ですわ」

…なるほど、点滴がうたれているのも納得。

「プレシアは?」
「まだ目覚める気配がありませんわぁ。
でも、アリシアちゃんと、リニスちゃんは目覚めているようですわ」
「…なに?」

クアットロの言葉に目を見開く私。

「リニスちゃんは、プレシア女史からの魔力供給が少ないので、日常生活程度しか出来ません。
ですが、アリシアちゃんはピンピンしてますわぁ」
「天生牙の必要もなかったか…」



その後、私は2日で全快したが、プレシアの意識は戻らず、リニスへの魔力供給は最低限の状態が続いたが。

ジェイルは、プレシアの病気を治せると言っていたので、彼に治療を任せた。

私も全快してからは、霊術で冥界の邪気を払おうとしたが、何故かその必要はなかった。

どうやら、ジュエルシードから抽出された魔力がプレシアの体に入るはずの邪気を防いでいたようだ。

1週間後、プレシアがついに目覚めた。




~第3視点~

「ママッ!!」
「あ、アリシア…!!?」

目覚めたプレシアの目にアリシアが入ってきたので、プレシアは驚愕していた。

アリシアは【左手】でプレシアの頬に触る。

それを感じたプレシアはまたも驚愕に目を見開き、

「アリシア…なの!?」
「そうだよ!!」

しゃべり方。フェイトの【右利き】とは違う聞き手。

「アリ…」

プレシアは、自分の娘の復活に涙を流そうとしたが…。

「ママ酷いよ!!どうしてフェイトをいじめてたの!!?ずっと見てたんだよ!!
私が死んでから26年も!!」
「…!!」

プレシアは、三度驚き、アリシアを見る。

アリシアは目に涙をためて叫びだした。

「見て…いた?」
「うん!!ママが私の体と一緒に虚数空間に落ちてから1週間経っているんだよ!」
「1週間…!?でも、虚数空間に落ちて生きていられるはずが…?」
「でも、正確には虚数空間じゃなくてめいどうって所に落ちたんだって。私達」

アリシアは涙をふき、答える。

「めいどう?」

プレシアは、アリシアの言葉に疑問を持つ。

「そう、冥道だ。ある妖怪の茶々でな」

そういって医務室に入ったのは人型のリニスを連れたみちるだった。

「り、リニス…!?」
「はい。私がなぜここにいるのかは分かりませんが、事情は全て聞いています。
そして、貴女とアリシアを救ったのは彼です」

リニスは、手のひらでみちるを示し、紹介する。

「霊能力者、枢木みちるだ。
今はまだ寝るといい。動けるようになったら事情を説明する。
ここはジェイル・スカリエッティのアジトだ。
あなたもジェイルは知っていよう?」
「…広域次元犯罪者の」

プレシアはため息を吐いて答えた。

「そう。しかし、それは全て最高評議会が仕組んでいることだ…。
今のうちに言っておくことは、評議会が人造魔導師の経過うを急げとのことで、参考のためにプレジェクトFの監視のために、
フェイトを私の霊術で、魔導師に気づかれないように魔法のサーチャーを消してフェイトを監視していた。
お宅の娘さんを監視したことは、まずはジェイルに代わり、謝罪しよう」

そういってみちるは頭を下げる。

監視用の式神を、サーチャーに纏わせていたのだ。

このSSを見ていると忘れそうになるが、みちるの本職は【式神使い】。

この程度はお手の物だ。

プレシアは無表情のまま続きを促す。

「時の庭園で貴女方が落ちた時、冥道と言うあの世とこの世をつなぐ空間が現れ、そこに飲みこまれた。
それを見た私は冥道に飛び込み、貴女方を拾った。
私には、限定的とはいえ、冥道を操る手段がある。
通常、冥道の空間は生身の人間が生きていられる環境ではない。
邪気をある程度浄化出来る私と、元々霊体のアリシアはともかく、貴女では1分もしないうちに呼吸が停止する」
「ならばなぜ…」

プレシアは今の説明を聞いて、寒気がした。

「フェイトに感謝するんだな。
ジュエルシードの魔力が貴女の体を保護していたそうだ。どういう理屈かまでは分からんが、
それを使ってアルハザードとやらに行こうとした時に、貴女に魔力が流れたらしい」

プレシアはそれを聞いて驚愕する。

今日は驚いてばかりだ。

「…これ以上はあなたの体に触る。
今は休みなさい」

みちるはそう言って退室した。

リニスは残ったが。

「フェイト…ごめんなさい…」

プレシアは俯いて小声で呟いた。

アリシアは泣きそうになったが、

「ママ、フェイトに会えるかわからないけど、反省してるなら、私は許すよ」
「ありがとう…アリシア」

リニスは、2人の様子を見て、もう大丈夫と思ったようだ。











~みちる視点~

2週間後。

私はリビングに全員を集める。

「白夜と言う妖怪が私の意識に現れた夢の話はしたな?
闇の書がどういうものかもう1度要点だけ教えろ」

私はジェイルにそう言う。

「元々【夜天の魔導書】と呼ばれる収集型のストレージデバイスだったんだ。
だあ、誰かが書のプログラムを改変、旅の機能が無限再生機能になり、他のプログラムも改悪された。
そのせいで魔力を集めなければ、主が死んで転生する。
魔力を集めきると暴走し、暴走が終わったり破壊するとと白紙に戻り、また転生する。
だから破壊不可能のロストロギアと呼ばれるんだ。
そのせいで多くの人間が犠牲になっている」
「なるほどな。それだけの負の感情と恨みの力があれば、曲霊が入り込むには充分というわけか」

たしかに、四魂の玉の負のエネルギーから生まれた曲霊は、邪気や悪の感情を好む。
そしてそれをエネルギーに出来る。

「管理世界の魔導師達は、みちるくんの言う【魂魄】の重みは分からないだろうからね。
みちるくんが地球に行きたいと言うので、今打ち合わせているんだよ」


「地球に…?」

プレシアは言った。

あそこにはフェイトと争った白い魔導師がいると。

「止むを得んだろう。あの辺りに闇の書に選ばれた子どもがいるんだ。
私が行くしかないだろう…。問題は今の私の外見年齢が10歳程度なので、小学校に通わなければならず、保護者も必要だ」
「誰を保護者役にするんだい?」


本来はドゥーエが適任だが、彼女は聖王の器を盗み出す任務のため、不在だ。

最低でもあと数ヶ月は戻れない。

生まれて日が浅いナンバーズも却下。

社会経験が浅すぎる。

ウーノとクアットロは、ジェイルをサポートすることが必要。

テスタロッサ一家も却下。プレシアは病気が治ってないし、アリシアは論外。

リニスもプレシアの看病が必要だ。

見た目が子供のチンクもダメ。

となると…。

「残りはトーレしかいないな」

















「わ、わたしですかーーーーーーーーーーーーーーっっっっ!!!!!!!!!!」


武人肌のトーレにこういう事は向いていない。

しかし、消去法でこれしかないのだ。

トーレの怒号にほぼ全員が目を回した。

「ねえみちる兄ぃ、あたし達も行きたいっすよ」
「…私も」
「あ、アタシだって!!修行の相手が…」
「…わたしもいきたいなぁ」

ウェンディ、ディエチ、ノーヴェ、セインが口々にそういう。

「どうするんだ?ジェイル」

私はジェイルに聞く。

「いいんじゃないかい?
彼女達に経験を社会経験を積ませることも必要だよ」
「あ、兄上!私も行きたい!!」
「チンクまで…」





結局、地球にはみちる、トーレ、チンク、セイン、ノーヴェ、ディエチ、ウェンディが行くことになった。














~???視点~



「そんならな、今日はサッカー見に行こうか」

地球の某所にいる車椅子の少女、八神はやては、同居している…本来の歴史にはあり得ない同居者に声をかける。

「近所でやってる蹴鞠みたいなもんかい?」

20歳前後の【洋服】を着た女性が逆に問いかける。

女性は尖った耳が出ないように髪は降ろしている。

「そうや。どうや?」

はやてはもう1人の10くらいの白い少女に話しかける。

この少女も【洋服】を着ている。

「…かまわない」
「ほんならいこか」







あり得ない歴史が動き出している。






~次回予告~

「冥加です。
犬夜叉様もいない物語も不思議なもんじゃな。
わし、危ないから行きたくない!この国に!!
次回、犬夜叉外伝、【邂逅】
どうなるかのう…?」


~あとがき~


はやてと一緒にいる2人、

感のいい人なら分かりますよね?


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