肢体不自由児養護施設を運営する学校法人「ねむの木学園」(静岡県掛川市)理事長で女優の宮城まり子さん(83)=本名・本目真理子=の銀行口座から無断で現金を引き出したとして、警視庁捜査2課は17日、掛川市の無職、近藤由美子(56)と東京都港区の音楽家、広沢憲行(57)の両容疑者を詐欺容疑で逮捕した。
逮捕容疑は、近藤容疑者は09年8月下旬、東京都世田谷区の銀行で、宮城さんから払い戻し請求と振り込み依頼を受けているように行員に書類を見せ、宮城さんの口座から広沢容疑者の銀行口座に約1500万円を振り込んでだまし取ったとしている。
捜査2課によると、2人は同学園元職員で、近藤容疑者は当時、宮城さんから銀行預金の入出金手続きを委託されていた。広沢容疑者は朝比奈圭という名前で活動していた。
ねむの木学園は68年、全国初の肢体不自由児養護施設として、宮城さんが静岡県浜岡町(現御前崎市)に設立。97年に掛川市に移転し、養護施設のほか美術館や文学館などを建設、総合施設「ねむの木村」に発展した。
宮城さんは55年に「ガード下の靴みがき」で歌手デビュー。女優としても舞台やテレビで活躍し、74年には子供たちの記録映画「ねむの木の詩」を監督し、国際赤十字映画祭で銀メダルを受賞している。【川崎桂吾、前谷宏】
毎日新聞 2011年2月17日 21時27分(最終更新 2月17日 21時37分)