日本相撲協会の公益財団法人化について改革案を話し合う「ガバナンスの整備に関する独立委員会」(座長=奥島孝康・日本高野連会長)が17日に答申する協会改革案に、八百長問題についての内容がまったく含まれないことが16日、分かった。昨年7月に発足した当初は八百長問題にも着手する意見が出ていただけに、間の悪い時期に最終答申をすることになった。
◇ ◇
独立委は守備範囲から八百長問題を外した。答申案をまとめた1月21日の会合では八百長問題は発覚していなかった。「協会全体の改革」をうたう外部委員会なだけに、八百長問題にも触れる可能性も考えられたが、答申に盛り込むことは見送られた。
本来は相撲界全体の改革を目的としていたところへ、今月に入り八百長疑惑が社会問題化。ある委員によると、「八百長問題も取り扱った方がいいのでは」という意見も複数あったが、最終的には奥島座長が「八百長問題は関係ないのでは」と議論をまとめたという。
ただ、ここに至るまでには皮肉な議論の流れがあった。力士らによる野球賭博問題を受けて昨年7月に独立委が発足した当初は、八百長と同一視される「故意による無気力相撲」についても取り扱うべきだとする意見があった。しかし、協会側から“待った”をかけられたというのだ。
前出の委員は「協会は八百長などないのだから、(議題に)入れないでくれと言われた。もう、今さら『(八百長は)ない』とは言えないでしょう」と振り返る。結局、年寄名跡が高額で売買されている現状や相撲部屋の数や運営の見直し、協会全体の組織再編成が答申の主な内容となる。
協会から独立委に、あらためて意見を求める可能性について、放駒理事長(元大関魁傑)は「答申が出てからです。いろいろな考えがある。実際に出てくるまでは何も言えません」と明言を避けた。胸を張って「八百長はない」と言えるようになるために、協会は八百長問題の解決を急ぐ。
八百長“タレコミ窓口”3月15日まで/野球賭博事件、元力士ら4人を起訴/NHK・放送総局長が八百長問題でコメント/野球賭博で十両・城ノ龍ら9人書類送検/八百長問題でも第2新弟子検査9人受検へ
ソーシャルブックマーク・RSS・twitter・Facebook