男児(06年12月死亡)が仮死状態で生まれて脳性まひの後遺症が出たとして、大阪府摂津市の両親が、「月寒グロリアクリニック」(札幌市豊平区)を運営する医療法人「グロリア会」と医師に計約8900万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が16日、札幌地裁であった。古久保正人裁判長は両親側の訴えを一部認め、計約5800万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
判決によると、医師は04年4月、男児の出産の際、胎児の心音などを測る分娩(ぶんべん)監視装置を途中で取り外し、出産直前まで再装着せず、陣痛促進剤を投与した。
グロリア会側は「脳性まひは分娩時に起因しない」と反論していたが、古久保裁判長は「陣痛促進剤を使用しており、胎児の健康確認のためにもっと早く再装着すべき義務があった」として過失を認定。「分娩監視装置に胎児が仮死状態の所見が現れるはずで、直ちに陣痛促進剤の投与を中止すれば脳性まひが生じなかったはずだ」とした。【久野華代】
毎日新聞 2011年2月17日 地方版