2011年2月17日11時51分
【ワシントン=勝田敏彦】本100万冊分の知識を持ち、人間の言語を理解する米IBM製の人工知能「ワトソン」と、米国の人気クイズ番組「ジョパディ!」の王者2人の対戦の最終結果が16日夜に放送された。結果はワトソンの圧勝。1997年にチェスの王者を破ったスーパーコンピューターが、大幅に進化したうえで新たな「偉業」を成し遂げた。
対戦は、同番組で連勝と獲得賞金でそれぞれ記録を持つ王者との間で2試合に分けて行われた。14、15日に放送された第1試合では、前半ではビートルズに関する問題に続々、正答。後半戦では冒頭7問に連続正解して猛ダッシュした。最後の問題で空港名の由来から米国の都市名を問われた質問で、ワトソンが、正解はシカゴなのに、カナダの「トロント」と答えるミスを犯したものの、王者2人を圧倒した。
16日放送の第2試合も、前半は王者2人相手に苦戦したものの後半で盛り返し、終わってみれば、順位を決める賞金額で2人に5万ドル以上の差を付けた。74連勝の記録を持つケン・ジェニングズさんは最後の問題に解答するとき「結果を尊重します」というメッセージを添え、2人はワトソンに拍手をした。
ワトソンを開発したIBMが受け取る賞金100万ドル(約8400万円)は、全額が慈善事業に寄付される。
4年がかりで開発されたスーパーコンピューターのワトソンは、本や映画の脚本、百科事典などから知識を読み込ませてある。司会者の問題の読み上げと同時に送信される問題テキストを受けて、解答を考え、合成音声で答える。あいまいさを含む問題文や文脈を理解し、人間に負けない速さでボタンを押すことが求められるため、2880個の中央演算処理装置(CPU)を同時に動かしている。
最近のコンピューターの能力向上はめざましく、将棋や囲碁でも人間の能力に迫っている。