ピッチングマシンと、火事が起きたときの消火活動。
全く関連がないようですがいま、ピッチングマシンの原理を応用して、世界初の消火機器の開発が進んでいます。
開発に取り組んでいるのは、福岡県大野城市の社員4人の町工場、一体どんな装置なんでしょうか?
去年オープンした王貞治ベースボールミュージアム。
目玉の一つとなっているのが、馬原投手や杉内投手の球を体感できるコーナーです。
●西口リポーター
「プロの球ってすごい威力!これだけスピードがあるってことなんですね。こうした剛速球や変化球を投げ分けているのが、ピッチングマシンです」
ボールを空気圧で押し出す、エアー式ピッチングマシンです。
バネで飛ばすアーム式や挟んで飛ばすローター式に比べ、一定の空気圧で正確に押し出すため、制球力の高さが魅力です。
●王貞治ベースボールミュージアム・岩男文博次長
「ほぼ、ストライクゾーンには間違いなく行きます。コースの投げわけぐらいまでは十分いけると思います」
このピッチングマシンを製造・販売しているのは、福岡県大野城市の共和技研。
空気圧で動く産業用機械の設計や組み立てが本業で、従業員は社長も含めわずか4人という小さな町工場です。
●共和技研・田中完二社長
「お客さんとの雑談の中で、ボールを空気で投げれないかなという話があって、そんなの簡単だよっていって作ってみた。そしたら結構速い球が出るんですよ。それで、商品化できないかなんていって、じゃあ何を作ろうかと」
3年にわたる試行錯誤の末、時速320キロも可能というエアー式ピッチングマシンの開発に成功したのです。
そんな共和技研が現在取り組んでいるのは、ある公的機関から依頼されている新たな消火機器の開発です。
●田中社長
「ピッチングマシンのノウハウがそのまま使えるんで、これに消火弾を入れて、ヘリコプターから火災現場で消火弾を発射して消すという、世界初のものなんですけど」
はしご車が届かないような高層ビルでの火災を想定し、ピッチングマシーンの要領でヘリコプターから消火剤をビルに向けて発射し、火を消そうというのです。
野球のボールくらいの塩化ビニール製の玉の中に水を入れて行った実験は、見事に成功しました。
●共和技研・田中社長
「去年、テスト機を入れたんですが、(公的機関で)1メートル角の火を燃やして、何発で消せるか実験をやったみたい。(中が水でも)これで50発くらいで消えたということですから、(消火剤なら)効果は予想以上にあるんじゃないかなと」
現在は、ヘリコプターの狭い機内でもスムーズに弾の打ち出しができるよう、機器の最終調整が進められています。
3月には、実際の消火活動に使われるヘリコプターに搭載される予定で、世界初の消火機器の完成は目前に迫っています。
●田中社長
「中国だとか韓国だとかが、かなり興味をしめしてるみたい。うちみたいな所が、世界に発信できれば楽しいなと思いますね」
●従業員全員
「空気(エアー)の技術でがんばります!」