2011年2月17日 2時40分 更新:2月17日 2時45分
大阪府吹田市のゲームソフト販売会社「NESTAGE(ネステージ)」の経営者らが第三者割当増資の際、現物出資として受け入れた不動産を実際より高額に評価した疑いが強まり、大阪府警捜査2課は16日、金融商品取引法違反の疑いでネ社本社など数カ所の家宅捜索を行った。ネ社は最近、この不動産について11億4900万円の評価損を計上しており、府警は債務超過の解消を装うため、水増し増資をした疑いがあるとみている。
ネ社は当時、ジャスダック市場に上場していた。府警は今後、経営者らの刑事責任を検討する。
捜査関係者などによると、ネ社は10年2月、東京のコンサルタント会社「クロスビズ」を引受先とする総額12億7500万円の第三者割当増資の実施を発表した。出資形態は現金が7500万円で、残る12億円は北海道などの保養施設3物件の現物出資だった。
3物件は▽旧「かんぽの宿層雲峡」(北海道上川町)▽旧「かんぽの宿米沢」(山形県米沢市)▽旧「ホールサムインせとうち」(岡山県倉敷市)。旧日本郵政公社などが東京の温泉施設経営会社に売り、その後、クロス社が買い取った。
しかし、ネ社が現物出資として受け入れた際の評価額は、郵政公社などの売却価格とかけ離れていた。「層雲峡」は、郵政公社の売却価格が約1億6700万円なのに5億1900万円。「米沢」は5600万円に対し4億5400万円。「せとうち」は1億2000万円に対し3億2700万円だった。
ネ社は「TVパニック」などの店舗を全国でフランチャイズ展開するが、経営不振が続いて、10年8月に上場廃止となった。現在は民事再生手続き中。
「かんぽの宿層雲峡」は、日本最大の国立公園・大雪山国立公園にある層雲峡温泉の玄関口に位置する。施設は02年、約33億円を投じて新装開業した。しかし赤字経営が続き、旧日本郵政公社が07年、郵政民営化に伴い、約1億6700万円で東京の温泉施設経営会社に売却した。
しかし、売却後も営業が再開されることはなかった。その後、建物は放置され、両側の壁に巨大な穴が開くなど廃虚の様相も呈している。壁の穴は、業者が建物の評価を下げて固定資産税を免れるために、わざと開けたものとみられる。