国際【主張】国後島の中露合弁 「暴挙」をなぜ止められぬ2011.2.17 02:53

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【主張】
国後島の中露合弁 「暴挙」をなぜ止められぬ

2011.2.17 02:53

 ロシアと中国の水産会社が北方領土の国後島でナマコ養殖の合弁事業を行うことで合意した。

 合弁事業が始まれば、中国企業がロシアの査証(ビザ)を得て国後島へ入ることになる。中露両国が「主権や領土保全にかかわる核心的利益」での協力関係を強調した昨年9月の共同声明を実行に移したことをも意味する。

 日本固有の領土である北方領土で、このような無法な取り決めは到底許されない。

 菅直人首相は「そういうことがあるとすれば、わが国の姿勢とは相いれない」と不快感を示し、前原誠司外相も「全く受け入れられない」と述べた。政府は中露両国に対し、厳重に抗議すべきだ。

 ロシアは平成5(1993)年の東京宣言で、北方四島が係争地であることを公式に認め、「法と正義の原則により解決する」と約束した。中露合弁事業はこの約束にも反し、国際法的に認められないことを広く世界にアピールすることも必要である。

 菅首相は今月7日の北方領土返還要求全国大会で、昨年11月のメドベージェフ・ロシア大統領の国後島訪問を「許し難い暴挙だ」と強く批判した。

 大統領訪問後も、ロシアは第1副首相や国防相ら政府要人を次々と北方領土へ派遣する一方、北方領土の軍備強化を指示した。いずれも、不法占拠の固定化を狙った暴挙である。菅首相は返還要求全国大会で述べた発言を具体的な行動で示すべきだ。

 先の日露外相会談後、ロシアのラブロフ外相は北方領土の開発に「中国や韓国など(第三国)の投資を歓迎する」とも述べた。日本領土である竹島の不法占拠を続ける韓国も巻き込もうという狙いが透けて見える。16日の日韓外相会談で、前原氏が日本の立場を強調し、中露に同調しないよう韓国側に働きかけたのは当然である。

 ラブロフ外相は訪問先のロンドンで「日本が第二次世界大戦の結果を承認する以外の方途はない」と述べた。日本に「北方領土はソ連に不法占拠された」という主張を撤回するよう求める狙いだが、北方領土は日本が降伏したポツダム宣言受諾後、旧ソ連が奪い取ったものである。歴史を歪曲(わいきょく)する発言にも断固抗議すべきだ。

 不法占拠を既成事実化させないためには、細心かつ粘り強い外交努力が必要である。

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