2011年1月13日 13時5分
北沢俊美防衛相は13日午前、来日中のゲーツ米国防長官と防衛省で会談した。日米両国で共同開発しているミサイル防衛(MD)の海上配備型迎撃ミサイル(SM3ブロック2A)の第三国への供与について、調整を加速する方針で一致した。北沢氏は会談で「本年中をめどに結論を出す」と伝えた。しかし、武器輸出三原則のなし崩しにつながるとの批判もあり、論議を呼びそうだ。
日本政府は武器輸出三原則で、武器や生産技術などの輸出を原則禁じているが、04年の官房長官談話でMDについて、日米の共同開発、生産は例外との見解を示したうえで、日本の事前同意のない目的外利用や第三国への移転を禁止するなどの「厳格な管理」を行うとしている。
一方、米国は欧州でのMD網強化をはかるため、同ミサイルの欧州への配備を日本側に提案。日本側は「厳格な管理」について、明確な基準を設けたうえで認める方向を打ち出すことを検討している。
ゲーツ長官はこれに先立ち、外務省で前原誠司外相と会談した。前原氏は「東アジアの安全保障環境の評価に関する対話を行い、共通戦略目標を見直していきたい」と述べ、ゲーツ氏は「日本の防衛や周辺地域における事態に対応するための協力も進めたい」と応じた。米軍普天間飛行場の移設問題では、前原氏が沖縄県名護市辺野古沖を移設先とする日米合意の実施とともに、沖縄の基地負担軽減への協力を要請。ゲーツ氏は「代替施設の進展に従って実施していきたい」と語った。
ゲーツ氏はこの後、首相官邸で菅直人首相を表敬訪問した。【坂口裕彦、西田進一郎】