足利事件:再審無罪の菅家さんに刑事補償 宇都宮地裁決定

2011年1月13日 10時56分 更新:1月13日 12時19分

刑事補償決定書の交付を受けた後、記者の質問に応じる菅家利和さん=宇都宮市の宇都宮地裁で2011年1月13日午前10時33分、三浦博之撮影
刑事補償決定書の交付を受けた後、記者の質問に応じる菅家利和さん=宇都宮市の宇都宮地裁で2011年1月13日午前10時33分、三浦博之撮影

 栃木県足利市で90年に4歳女児が殺害された「足利事件」で再審無罪が確定した菅家利和さん(64)に対し、宇都宮地裁(佐藤正信裁判長)は13日、請求通り法定上限額となる計約8000万円の刑事補償を支払う決定を出した。国賠訴訟を起こす予定はなく、足利事件を巡る司法手続きは終結する見通しだ。

 決定を受け菅家さんは「妥当な決定。17年半は長かった。一区切りはついたと思う。ただ、自分を苦しめた検事や刑事、裁判官は謝っていない。納得はいかない」と硬い表情で語った。

 決定は「(逮捕や服役など身柄の)拘束の種類や期間の長さ、精神上の苦痛などを考慮すると、刑事補償法が定める上限が相当」と指摘。逮捕された91年12月2日から釈放された09年6月4日までの6395日分について、上限額の1日当たり1万2500円を認めた。また、無期懲役だった1審から再審公判までの弁護報酬などの訴訟費用約1200万円の補償も認めた。その際、「再審請求段階で弁護団が行ったDNA型鑑定が重要な契機となり再審に至った」として、本来は補償対象外の弁護側の鑑定費用も考慮した。菅家さんは「冤罪(えんざい)に苦しむ人の弁護に役立ててほしい」として刑事補償の一部を日弁連に寄付する意向だ。

 菅家さんは昨年3月、同地裁(佐藤裁判長)の再審公判で無罪判決を受け確定した。無実の罪で不当な拘束を受けたとして同9月、刑事補償などを請求。地裁に意見を求められた宇都宮地検も反論はしていなかった。

 上限額を求めた理由を弁護側は「虚偽自白を強いられて犯人とされ、刑務所でつらい生活を送った。両親の最期をみとることもできなかった。精神的・肉体的苦痛は想像を絶する」と説明していた。【吉村周平、岩壁峻、松本晃】

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