2011年1月12日 21時40分 更新:1月13日 0時3分
民主党が12日、相次いで開いた両院議員総会と全国幹事長会議では、選挙基盤の弱い新人議員や党組織が盤石ではない地方県連から党執行部に対する批判が噴出した。今年4月の統一地方選を控え、菅内閣の支持率低迷や消費税引き上げ論争を背景に危機感が露呈した形だ。菅直人首相は態勢立て直しに向けた内閣改造・党役員人事の最終調整に入ったが、小沢一郎元代表の「政治とカネ」問題をめぐり「脱小沢」路線を進める執行部の手法に異論も飛び出し、党内の亀裂が一段と際立つ場となった。【大場伸也、朝日弘行、横田愛】
午後2時から国会近くの憲政記念館で開かれた両院議員総会。「私には内紛という認識は全くない」という岡田克也幹事長の発言に会場は騒然となり「バカ言ってるんじゃないよ」など激しいヤジが飛んだ。「小沢切り」を仕掛けたのは岡田氏だとみる小沢氏系議員の不満が爆発した。
発言した国会議員20人のうち新人は14人。選挙基盤の強化には地方議員を増やすことが必要だが、若手の危機感は強い。首相は「(昨年9月の代表選で公約した)『クリーンでオープンな政治を目指したい』という方向で進むことが私の責任だ」と述べ、「脱小沢」路線堅持の姿勢を強調したが、党代表選でも首相を支持した徳永エリ参院議員が「パンフを破られ、ものをぶつけられる地方議員の思いが分かっているか」と訴えると会場には沈鬱な雰囲気が漂った。
ただ、小沢氏側も過激な攻撃は避けた。党内混乱を引き起こせば執行部に「小沢切り」の口実を与えるとして「組織的に発言はしない」とすり合わせて臨んだ。内閣改造を控えたことも影響したようだ。
総会後、鳩山由紀夫前首相は記者団に「首相は党内のあらゆる方々を適材適所で配する政治に変えていくのではないか」と小沢氏系の重用に期待をにじませた。
両院議員総会後、千葉市内のホテルに移って開催された全国幹事長会議は25県連が発言し、予定の2時間を1時間もオーバー。幹事長会議後の懇親会だけに出席する予定だった菅首相も急きょ顔を出して興奮気味にあいさつした。
「元気がないわけではなかったんです。まじめに国会対応していた。それに集中しすぎたというのが私の反省だ」。政策PRに自ら取り組む考えを強調したが、脱線気味に語ったため苦笑する党幹部の姿もあった。
話題は統一地方選に集中した。岡田氏は「(11年度)予算案を早く通し(政策を)実現することで、民主党政権への理解と信頼が深まってくる」と語ったが、地方基盤の強化に向けた統一地方選の候補擁立は遅れ気味だ。
「候補者がなかなか手を挙げてくれない」「公認決定した人が二の足を踏んでいる」と、菅内閣や党の支持率低迷を受けた地方の悲痛な声が相次いだ。複数候補擁立区についても「情勢は厳しい。現職が落選しないか心配だ」との声も出た。
岡田氏は地方交付税を増額した11年度予算案について「地方重視の政策にかなり力を入れた」と強調したが、地方側は「国会議員がもっと地元に帰って発信するようにしてほしい」との注文。小沢氏の衆院政治倫理審査会への出席問題では「内輪もめはいいかげんにしてほしい」など批判的な意見も相次いだ。
一方、焦点の小沢氏。両院議員総会に姿を見せ、目をつぶって首相のあいさつや議論にじっくり耳を傾けた様子だった。その夜、東京都内の焼き肉店で側近議員らと会食し、こう漏らした。「統一選は大変だなあ」