2011年1月12日 20時5分 更新:1月12日 22時29分
【北京・浦松丈二】ゲーツ米国防長官は12日、北京の中国軍戦略ミサイル部隊司令部を視察し、訪中日程を終了した。一方、中国国防省は次世代ステルス戦闘機「殲20(J20)」の試験飛行を確認。胡錦濤国家主席の訪米(18~21日)を前に軍の近代化を誇示した形だ。
米国防長官が中国戦略ミサイル部隊を視察するのは、05年10月にラムズフェルド前長官が訪中して以来。
ゲーツ長官は12日、部隊トップの靖志遠・第2砲兵司令員(大将)から中国の核戦略について説明を受けた。長官は靖司令員を核戦略を担う米戦略軍司令部に招待、司令員は受け入れた。
ゲーツ長官は10日の国防相会談や11日の胡主席との会談で、核戦力や弾道ミサイル防衛(MD)などを話し合う戦略対話設置を呼びかけていた。中国側は「研究中」(梁光烈国防相)と保留しているが、戦略ミサイル部隊の視察を受け入れたことで前向きな姿勢を示したとみられる。
一方、中国四川省成都で11日に実施された「殲20」の試験飛行について、中国国防省の関友飛外事弁公室副主任は「いかなる国や特定の目標に向けたものでもない」と述べ、試験飛行の実施を確認した。
試験飛行は長官訪中に合わせたものとの観測が流れているが、ゲーツ長官は同行記者団との会見で「胡主席は私の訪中と試験飛行は無関係であり、事前に計画されていたと説明した」と述べた。
一方、AP通信によると、米国防総省高官は「胡主席を含む文民高官全員が(当初、試験飛行について)明らかに知らされていなかった」と語った。米メディアは一斉に、中国の文民指導者が軍部を完全に掌握しているのか、と疑問視する記事を報じている。