2011年1月12日 20時0分 更新:1月12日 22時56分
日本経団連は12日、大学新卒者の就職活動が早期・長期化している問題で、会社説明会など採用に関する「広報活動」の開始時期を「3年生(大学院生は修士1年)の12月1日以降」とする指針を正式に発表した。対象となるのは国内の大学や大学院に在籍する13年春入社予定の学生(現在の大学2年生)で、会員企業に順守を求める。一方、企業の採用活動との違いが必ずしも明確でなかったインターンシップ(就業体験)については、採用活動と明確に切り離すことを検討する。
会社説明会は従来、3年生の10月ごろ始まっており、経団連の新指針でこれを2カ月遅らせることになる。同日、会見した米倉弘昌会長は「就職活動の早期・長期化により学業に支障が出ていた。将来の職業や人生を見据え、さまざま経験を積んで自分を磨いてほしい」と2カ月遅らせる狙いを説明した。
商社の業界団体である日本貿易会は、4カ月遅らせて「3年生の2月」とすることを提案していたが、学生の業界・企業研究には一定期間が必要であることや、「冬休みをうまく活用してほしい」との理由から、12月が最適と判断したという。
一方、面接や試験など実際の内定につながる「選考活動」の開始時期は従来通り「4年生の4月以降」とした。米倉会長は「中小企業を含め業界や企業規模によって採用事情が異なり、多くの企業に開始日を順守させるのは難しい」ためと説明した。
一方で経団連によると、インターンシップについては大学3年の6月ごろに説明会、その後夏場に実際の体験が実施されるケースが一般的で、その後始まる採用活動との違いを明確にしない企業も多いことから、「多くの学生の感覚では、6月の時点で就職活動はスタートしている」(労働政策本部)という。
経団連はこうした実態を踏まえ、会員企業に対しては、12月以前には説明会への参加登録を求めるなど学生から個人情報を取得するような活動は自粛し、インターネットなどを通じ、説明会日程など不特定多数向けの情報だけを発信するよう求める。大学が行うセミナーなどへの参加も控えるよう求める。
一方でインターンシップについては、採用選考活動とは関係のない活動に限り認める方向で検討する。留学などで選考活動に参加できない学生には、多様な採用機会の提供に努めるよう3月末までにまとめる倫理憲章に盛り込む。【宮崎泰宏】