専門学校:大卒者の入学増加 「新卒」扱いで就職有利?

2010年12月18日 10時52分 更新:12月18日 13時51分

専門学校の入学者に占める大卒者の割合の移り変わり ※文部科学省の学校基本調査に基づいて作成
専門学校の入学者に占める大卒者の割合の移り変わり ※文部科学省の学校基本調査に基づいて作成

 就職活動で企業の内定を得られなかった大学生が卒業後、専門学校で「就活」に再挑戦するケースが増えている。文部科学省の調査では今年度、大学卒業後に専門学校に入学した学生は約2万人で、前年度に比べ4000人近く増加した。専門学校に進むことで、「既卒」ではなく「新卒」扱いとなり、有利に働くのではとの思惑も背景にあるという。“超氷河期”の中で就職先を探す大卒者らを対象に、新コースを設ける専門学校も出てきた。【遠藤拓】

 学校法人「大原学園」(東京都千代田区)は今年度から、大原簿記学校東京水道橋校(同)で、1年制の「ビジネス専攻コース」を設置した。対象は大学、短大などで就職が決まらなかった学生。再チャレンジを支援しながら、内定後を見据えて、職種別に専門知識やスキルを磨く内容だ。個人面談を重ね、エントリーシート(応募書類)の書き方指導や自己分析、面接練習を繰り返す。

 この数年、就活に失敗した学生が専門学校に入学するケースが増えてきたため、開設に踏み切った。17日現在、37人中35人が内定を得たという。

 今春に早稲田大を卒業後入学し、貿易関連の会社に内定した女子学生(22)は「就活の個別指導が手厚く、役立った。大学ももっと充実した指導をしてほしい」と話す。

 同学園によると今年度、首都圏で運営している専門学校17校には大学・短大の卒業生や中退者計1662人が入学(ビジネス専攻コース含む)。14校だった06年度(792人)の2倍を超えた。

 堤敦・広報営業本部長は「『大学の後になぜ?』という声もあるだろうが、学生の評判は良く『手に職を』という専門学校本来の役割に期待が高まった結果だと思う」という。

 マスコミやペットビジネス志望者らが集う専門学校「東京スクール・オブ・ビジネス」(東京都渋谷区)でも、今年度の新入生約600人のうち41人が大卒者だった。「例年は20人前後で、就職難の影響だろう。この傾向が続けば、コース新設も検討したい」(事務局)という。

 文科省の学校基本調査(速報値)によると今年度、専門学校入学者は26万7077人。うち大卒者は1万9503人で全体の7・3%を占めた。01~08年度は5%台で推移しており、増加傾向を示している。

 全国専修学校各種学校総連合会(事務局・東京都)の菊田薫事務局長は「厳しい雇用情勢が続けば、今後も更に増えるだろう」と話している。

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