捏造:消防本部が調書を 「火災、私の誤りで」奈良・桜井

2010年12月18日 2時30分 更新:12月18日 12時36分

 奈良県桜井市消防本部が07年に起きた木材加工工場の火災に絡み、工場内でダクト工事をしていた男性から聞き取ったとする「質問調書」を捏造(ねつぞう)した疑いがあることが関係者への取材で分かった。調書は原因について男性が過失を全面的に認めたなどとする内容。男性は「虚偽の調書で精神的苦痛を受けた」として同市に165万円の損害賠償を求める訴訟を奈良地裁五條支部に起こしている。

 男性は同県吉野町の設備工事業者、新澤明夫さん(63)。訴状などによると、火災は07年6月23日発生。鉄筋2階建て延べ962平方メートルのうち86平方メートルを焼いた。当時、新澤さんは出火場所近くで溶接作業をしていた。消防署員から事情聴取されたが、質問調書を閲覧したり、署名、押印をしたことはなかった。

 毎日新聞が入手した質問調書によると、新澤さんは「私の誤りで起こしたものです」などと話したことになっていた。最後に作成者が「被質問者の署名は行える状況でなかったため、口頭による供述内容を質問調書として記録するものとする」とし、火災発生日と消防署員の署名、押印がある。しかし、新澤さんは、「(調書にある)そんな発言はしていない」と否定。火災の調査書類一式は07年12月8日に完成したが、新澤さんの調書はなかったという。【高島博之】

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