チラシの裏SS投稿掲示板




感想掲示板 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[26055] Muv-Luv BEYOND THE TIME(武ちゃん3週目&アムロ、シャア)
Name: ウサ耳娘◆4441b99c ID:b23d1c5f
Date: 2011/02/16 17:17
以前マブラヴの別SSを投稿していた者ですが、データを誤って消してしまったりPCが壊れたりとモチベーションが駄々下がりしてしまったため、気分転換にこのSSを始めることにしました。
以前のSSを楽しみにしていてくれた方たちには申し訳ありませんが、あちらの方は今のところ更新の目処が立っていないため削除させてもらいました。



このSSは「逆シャアのアムロとシャアがマブラヴの世界へとやってきてしまったら」ということで書かれてます。
独自解釈や独自設定に、科学知識とか皆無なのでトンデモな技術や理論がでるでしょうが、生暖かい目で見てくれるようにお願いします。
そして、過去とのしがらみが無くなったシャアがはっちゃけたキャラになることと思われます。
同様に性格が改変されるキャラも出てくると思いますので注意してください。

また、MSは出てきませんが、ニュータイプ能力+経験でシャアとアムロは武ちゃんよりも強い設定になっています。
が、戦局を覆すほどの無双はできません。

最後に、霞は作者の嫁。



[26055] プロローグ
Name: ウサ耳娘◆4441b99c ID:b23d1c5f
Date: 2011/02/16 18:10
ロンドベルによって爆破されたアクシズがデブリを撒き散らしながら分断されるさまをアムロは見つめていた。

「フフフ……フハハハハハ」

「なにを笑っているんだっ」

νガンダムの手に持ったサザビーの脱出ポットからお肌のふれあい通信で、シャアの嘲笑とも取れる笑い声が聞こえ、アムロは声を荒げた。

「私の勝ちだな。
今計算してみたが、アクシズの後部は地球の引力に引かれて落ちる。
貴様らの頑張りすぎだっ」

「巫山戯るなっ
たかが石ころ一つ、ガンダムで押し出してやるっ」

「馬鹿なことは止めろっ」

「やって見なければわからん。」

「正気かっ」

「貴様ほど急ぎすぎもしなければ、人類に絶望もしちゃいないっ」

アムロはシャア言いようにカッとなり、脱出ポットをアクシズへと押し付け、νガンダムでアクシズを支えようとバーニアを噴出させた。

「うわぁっ
アクシズの落下は始まっているんだぞっ」

「νガンダムは伊達じゃないっ!」

レッドゾーンを無視してバーニアを噴出させるアムロだが、アクシズの落下は止まらない。
冷静に考えれば、アムロ自身ガンダム一機で半壊したとはいえ巨大な質量であるアクシズの軌道を変えられるとは思わないが、だからといって手をこまねいて見ているわけにはいかない。
地球連邦軍や地球連邦政府に対するシャアの憤りもわかるアムロだが、人類が宇宙に住み始めてまだ一世紀もたっていない状態で、人が理想的に変われるとも思っていない。
そして、ブライトの家族やフラウ一家、セイラやカイ、そしてカラバ時代からの仲間。アムロはもっと身近な人々のために地球を守りたいと思っている。
だからこそ、理性は無理だといっていても、やらねばならないのである。

そのアムロのさまを感じて、GMⅢが、そして敵であるギラ・ドーガまでもが、同じようにアクシズに取り付きバーニアを噴出し始めた。
しかしνガンダムに劣る性能の機体は落下の摩擦熱に耐えられず、オーバーヒートを起こし自爆していく。

「もういいんだ……皆やめろーっ」

「結局、遅かれ早けれこんな悲しみだけが広がって……地球を押しつぶすのだ。
ならば人類は、自分の手で自分を裁いて自然に対し、地球に対して贖罪しなければならん。
アムロ……なんでこれがわからん。」

「離れろっ
ガンダムの力は……っ」

シャアの述懐もアムロは気にする余裕がなかった。
しかし、そのとき光の粒子がνガンダムから噴出し、アクシズに取り付いていたモビルスーツを跳ね飛ばし始めた。

「こ、これは……サイコフレームの共振。
人の意思が集中しすぎてオーバーロードしているのか?
……なのに、恐怖は感じない。
むしろ暖かくて……安心を感じるとは。」

シャアの感じたとおり、意志の力に共振したサイコフレームがアムロの助けたいという強い思いを受け、奇跡を起こした。
サイコフレームの輝きは光の道を作り、アクシズを地球の軌道から離脱させたのだ。

時に宇宙世紀0093年3月12日
「第二次ネオ・ジオン抗争」「シャアの反乱」と呼ばれる戦乱は、ネオ・ジオン総帥シャア・アズナブル大佐と地球連邦軍外郭新興部隊ロンド・ベル、モビルスーツ隊隊長アムロ・レイ大尉のMIA認定によって終結された。









Side:白銀武

「う~……」

目が覚める。
なにか悲しい、いや、悲しいという言葉で表せないほどの喪失感を感じながら、ゆっくりと目を開ける。
すると目の前に……赤毛の男が寝ていた。

「はい?
って誰だっ!?」

思わず大声をあげてしまい、起き上がろうとすると「ぐへぇ」というカエルが潰れたような声が反対側から聞こえてきた。
恐る恐るそちらを向くと……金髪の男が寝ていて、眼を覚まそうとしていた。

「なんだなんだなんだ!?
なんで純夏でも冥夜でもなくておっさん二人と川の字になって寝てたんだ?
って冥夜?!はっ……純夏!」

あまりの状況に混乱しているけど、わけのわからない状況に置かれたのは初めてじゃない。ないはずだ。
思わず呼んでしまった少女たちの名前で若干の冷静さを取り戻して、現状を確かめるためにカーテンを開けて窓の外を見る。

「は……ははは。なんだよ、また戻ってきちまったのかよ。
夕呼先生……こんなの聞いてないですよ?」

窓の外に見えるのは、撃震が突っ込んで倒壊した純夏の家と瓦礫の町。

「誰だ、私の腹を足蹴にする奴は。」

「うるさいなぁ……スクランブルじゃないなら、もう少し寝かせてくれ。」

自分以外の声に現実に引き戻される。
ダメだな。焦って視野が狭くなるのは全然変わっちゃいない。
あの世界で生きていきたいって望みは叶わなかったけど、また戻ってこれたんだ。
ひょっとして純夏、お前なのか?俺があんまり情けなくて未練たらしいから、もう一度だけ、この世界へ戻してくれたのか?
だとしたら……いや、そうじゃなくたって、今度こそ幸せにするよ。嫌だって言ってもしてやる!白銀武と鑑純夏は二人で一人の人間なんだから。
そして神宮寺軍曹に伊隅大尉、柏木、速瀬中尉、涼宮中尉、冥夜たち207Bの皆。誰一人欠けさせないでBETAをやっつけて、皆で笑って暮らせる世界にするからな。
そのための知識も経験も覚悟もある。だけど、もっとしっかりと現状を理解して、最良の未来を引き寄せられなくちゃダメだ。
そのためにも、まずはいちいち動揺する癖を直さなくちゃな。
さし当たっては、この現状を解決するか。

「む……ここはどこだ?」

「あの、いきなりですいませんが、貴方たちは誰ですか?」

眼を覚ました金髪男性に声をかける。
この人もこの状況に戸惑っているみたいだけど、わからないことを考えるのは時間の浪費にしかならない。まずはわかりそうなことから解決していかないと。

「何故アムロがここに!?
……いや、すまない、少年。少々取り乱してしまった。
私は……クワトロ・バジーナという。」

名前を言う時に間があったのは記憶の混乱か?いや、とっさに偽名を名乗ったのか?現状がわからない状態だからかもしれないけど、この人は自分の素性がばれると不都合でもあるのか?
少し見ただけだけど、無駄のない動きから軍人だというのはわかる。そしてどう見ても外国人の容姿……まさかっ、アメリカ人か?だとしたら第五計画の潜伏員!?
いやいや。待て、俺。外人だからってアメリカ人とは限らないし、まして第五計画派かどうかなんてわからないじゃないか。
でも警戒は必要だ。迂闊なことを話さないように注意しないとな。

「ところで少年。私からも質問したいのだが。
重力を感じるということは、ここは地球なのだろうが、どの辺りなのだろうか?」

「えーと。日本の横浜ですが。」

「ニホン?ああ、ジャパンのことか。
しかし、あの状況で大気圏突破したとは、よくも無事でいられたものだ。
ああ、すまない。我々を介抱してくれたのは君か?礼を言う。」

「いえ、そんな。俺も……
あの、お二人は軌道降下兵団所属でいられるのですか?」

っと、危ない危ない。二人の素性がはっきりするまでは余計な情報を流さないように注意しないと。

「?いや、違うが。
時に、アクシズはどうなったのかはわかるかな?」

「え?アクシズ?」

「む?」

んんー?なんだか話がかみ合っていない気がするんだが、俺の気のせいなのか?

「少年。つかぬ事を聞くが、今は何年の何日だ?」

「ええと、2001年10月22日、です。……たぶん。」

俺の基点となる日はその日のはずだから間違ってないと思うけど、やっぱり話がかみ合ってないよな?
でも、この部屋にいたってことは、ひょっとしてこの人たちも……いや、そんな、まさかな?

「2001年?……まさか、旧暦だとでも言うのか!?
アムロ!ええい、いい加減に起きんかっ、アムロ!」

あ……クワトロさんが、まだ寝てた赤毛の人を殴り飛ばした。

「くぅっ……殴って起こすことはないだろうが、シャアッ
……シャア?何故貴様が。
いや、この重力の感じ……まさか、地球か?」

アムロと言われている赤毛の人は目を覚ますとクワトロさんに掴み掛りそうになったけど、何かに気がついたのか慌てて窓へ駆け寄った。

「そんな……結局アクシズの落下を防げなかったっていうのか?」

「そうはあるまい……あのとき、暴走したサイコフレームのせいでアクシズが地球の衛星軌道から外れていくのは確認した。」

「だったら、この外の状況はどうだって言うんだっ?」

「フィフス・ルナの件があるだろう。」

「くっ……ぬけぬけとよくも言う。」

「だが問題はそこではないのだよ。
この少年の話では我々が今いる場所はジャパンだそうだ。」

「なっ?フィフス・ルナはラサに落ちたはずだろう?」

「そうだ。そして問題はまだある。
今は旧暦の2001年だということだ。」

「なにを……言っている?」

クワトロさんたちの話は何を言っているのかわからなかったけど、だからこそ、この人たち二人がこの世界の人じゃない。いや、少なくとも、この時代の人じゃないということがわかった。
それにしても、聞く立場になってわかったけど、俺も夕呼先生はもちろん皆にこんな風に思われてたんだな。そりゃ白銀語なんて言われるよなと、今更ながらに理解して、少し恥ずかしくなった。
今度はこの時代とあってない言葉を使わないようにしよう、うん。

「さて、少年。話を戻すが、君は我々がここにいる理由を理解しているように見えるが、できれば我々に話してはもらえないだろうか?」

俺がささやかな決意をしていると、クワトロさんが話しかけてきた。

「理解はしてません。ただ、貴方たちが置かれている状況は、なんとなくですがわかっていると思います。
その前に、貴方たちの事を聞きたいんですが……」

「ああ、いいだろう。」

「なにがなんだかわからないが、どうやら君に話を聞くしかなさそうだ。
俺もかまわないから、何でも聞いてくれ。」

俺の問いかけにクワトロさんが返事をして、アムロさんに目線を投げかけると、アムロさんも了承してくれた。

「ありがとうございます。おかしな質問と思うかもしれませんが、必要なことなので助かります。
まずは、貴方たちの住んでいた時代は何時ですか?」

「宇宙世紀0093年だ。」

「宇宙世紀?さっき旧暦って言ってましたけど、西暦に直すと何年になるかはわかりませんか?」

「確か……2138年になるか?」

「約140年後ですか……
それじゃあ、地球にいることに違和感を感じてみたいですけど、ひょっとして宇宙や他の星で暮らしてたりするんですか?」

「いや、地球に住む人々は無論いるが、テラフォーミング技術は未だ確立しておらず、スペースコロニーという人口建築物をラグランジュポイントに建設し、そこで生活している人々も多くいる。
コロニーに住むものをスペースノイドと呼び、地球に住むものをアースノイドと呼んでいる。
そして、私もスペースノイドだ。」

「俺は……アースノイドなのだろうな。」

なんともSFな話が飛び出してきたけど、スペースコロニーとは凄いな。
でも、アムロさんが自分をアースノイドと言ったときの雰囲気からすると、スペースノイドがエリートで、アースノイドはスペースノイドに劣等感を持っているのかな?
宇宙に住むようになってもそういうのは無くらなないのか……無くならないんだろうな。人類が滅亡の危機だっていうこの時代でも、人種による差別意識は根強いんだから。

「それじゃあ、アクシズっていうのは何ですか?地球へ落下とか物騒な話を耳に挟んだんですけど。」

「アクシズとは小惑星基地の名称だ。
それを落下させて地球に巣食う愚昧な人間どもを粛清しようとしたのがネオ・ジオン総帥シャア・アズナブル。この私だ。」

「情けない奴。
こんな少年に偽悪趣味を発揮しても仕方ないだろう。」

「言ってくれる。」

「ちょ、ちょっと、喧嘩は止めてください。」

険悪になった二人を慌てて止める。

「でも、宇宙へ住むようになっても人間同士の戦争は無くならなかったんですね。」

「人はそれほど簡単には変われぬということなのだろうな。」

「それが分かっていながら貴様は……いや、今は止めておこう。」

この二人の関係はお互いをよく知っているように見えるけど、たぶん敵同士なんだろう。
なんとなく委員長と彩峰の姿がダブって見えて、悲しい気持ちになった。

「次が最後の質問です。
BETAを知っていますか?」

「ベータ?」

「ギリシャ文字のβのことではないのだろう?
すまないが、君の言うベータが何のことだか俺にはわからない。」

「ガルバルディのことを言っているようにもみえんし、私も心当たりが無いな。」

これで確信した。この人たちは未来の、それもベータが存在していない世界からやってきたんだ。
無論、俺の住んでいた世界の未来ともいえないけど、ともかく人類が宇宙へ進出する可能性のある未来から。
そのことを二人に話すと、信じられないという顔をされた。まあ、俺自身も最初は信じられなかったしな。

「平行世界、というやつか?しかし、にわかに信じられないな。」

「そうだと思います。俺も初めは信じられませんでしたから。」

「俺も、とはどういうことだね?」

「ああ、その話の前にもう一つだけ。
お二人がここで目覚める前、元の世界にいたときに原因不明の光に被われたりしたことはありませんか?」

「まさか、サイコフレームの光のことか?」

「しかし、あれは人の意思に反応するもののはずだ。
人間を平行世界へ移動させたり、まして過去へ時間移動させる力があるはずが無い。」

「そうとも言い切れないだろう?
貴様に言われて思い出したが、俺もサイコフレームの光がアクシズを地球から引き離したのは見た。
質量を持たない光の力がそれだけのことをしたんだ。俺たち二人を別の世界へ送るくらいのことをしても不思議はないさ。」

「戯言だ。」

「言っていろ。
ところで君。話はわかったが、ここが俺たちの世界ではないという証拠はあるのかい?」

クワトロさんはまだ納得がいってないようだけど、アムロさんは一応自分の中で理解できたのか、俺に話を戻してきた。

「白銀武です。
すいません。貴方たちの身元がわからなかったので、今まで名乗らずにいました。」

「ああ、かまわない。君にも事情があるんだろう?
俺はアムロ・レイだ。」

「改めて名乗らせてもらおう。私はシャア・アズナブルだ。
先ほどは偽名ですまなかったが、君と同じ理由があったと思って許して欲しい。」

「そんな、それこそお互い様ですから。それに今度はきちんと本名を名乗ってもらえましたし。
シャアさん、アムロさん、よろしくお願いします」

今更ながら、お互い名乗りあって俺が頭を下げると、クワトロさん改めシャアさんはなんとも決まりの悪そうな顔をして、アムロさんは苦笑をしている。

「あの……何か俺、可笑しなこと言いましたか?」

「いや、そうではないのだが……」

「くくく……白銀君。確かにクワトロもシャアもこいつの名前ではあるんだけど、本名はまた別にあるんだよ。」

「ええ、三つも名前があるんですか?」

「正確には四つだ。
本名は既に捨てた名であるし、ここが平行世界、しかも過去だというのなら何の意味も成さない名だ。
そして二つ目の名も同様で、シャアという名が私を表すのにもっとも相応しい名前なので、そう呼んでもらいたい。
ええい、アムロ。何時まで笑っている。」

「はい?そういうことならわかりました。」

「くくく……すまない。貴様のそんな顔を見るのは初めてだったものだから。
んン。それで白銀君。どうして君は、ここが俺たちのいた世界じゃないと言えるんだい?」

シャアさんはまだ憮然とした表情だけど、アムロさんが話を戻したので俺も先に進めることにする。

「ああ、はい。それはここが俺の部屋だからです。」

「「ほう?」」

あ、みごとにシンクロした。
やっぱりこの二人は、委員長と彩峰に通じるものがるな……やっぱり、どうにか仲良くして欲しいな。
この世界の現状を教えれば、できないかな?

「そして、俺も平行世界からやってきたから、貴方たちの状況がわかったんです。」

その俺の言葉に驚いた顔をする二人。だけど、次の瞬間には表情を改める。
さっきから話していても思ったけど、こういう切り替えの速さは、俺よりもよほど立派な軍人なんだろうなと思わせてくれる。
この二人が俺の部屋へ移動してきたのは意味のあることのはずだし、協力してもらえれば頼もしいんだけどな。

「なるほど……それで、君の話は聞かせてもらえるのかい?」

アムロさんの問いかけに、頭を切り替えて話すことを吟味する。
無論、全てを話すという選択肢は無い。特に第四計画に関することは、必要なことなら夕呼先生が話してくれるだろうし、二人が夕呼先生と話す機会が無いならば、俺が話していい事ではないからだ。
だから、それ以外の、この世界の現状、俺の体験、そして第五計画の話はしよう。
そして、信用も信頼もされなかったとしても、納得してもらって力を貸してもらえるように話してみよう。


感想掲示板 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.00422096252441