更新 2009年10月10日

世界の健康のバイブルマクガバンレポート

マクガバンレポート1 マクガバンレポート」2

アメリカ上院「マクガバンレポート」1



 療費を抑えることが急務                      

その当時アメリカでは心臓病の死亡率が一位で、癌は二位でしたが、心臓病だけでもアメリカの経済はパンクしかねないと言われる程医療費が増大していたのであります(1977年には1180億ドル―約25兆円)が、そんな財政的危機を何とか打開しようということで、医療改革が進められたのであります。

そして、その一環として上院に「国民栄養問題アメリカ上院特別委員会」を設置し、全世界からよりすぐりの医学・栄養学者を結集して「食事(栄養)と健康・慢性疾患の関係」についての世界的規模の調査・研究が7年間の歳月と数千万ドルの国費を投入して行なわれ、5000ページに及ぶ膨大な報告がなされているのでありますが、それを「上院レポート」又は委員長の名前をとって「マクガバンレポート」とも呼んでいます。


 マクガバン氏の力説                          

アメリカがこのような膨大な調査に取り組んだ目的は経済危機を何とかしようとしてのことでありますが、調査会の委員長であるマクガバン氏によりますと、「どれほど巨額の医療費を注ぎこんでも、それで国民が少しでも健康になれればいい。しかし事態は全く逆で、このまま推移すれば、アメリカの国そのものが病気のために破産してしまうだろう」といった悲痛なまでの深刻な事態があったわけであります。

解決策は「食源病」にある                     

そして、その『上院レポート』は「心臓病をはじめとする諸々の慢性病は、肉食中心の誤った食生活がもたらした《食原病》であり、薬では治らない」と決め付け、更に「われわれはこの事実を率直に認めて、すぐさま食事の内容を改善する必要がある」として、7項目の食事改善の指針を打ち出していますが、その内容を要約しますと、高カロリー、高脂肪の食品つまり肉、乳製品、卵といった動物性食品を減らし、できるだけ精製しない穀物や野菜、果物を多く摂るようにと勧告しています。


また、この『上院レポート』を補足する形で発表されたのが『食物・栄養とガン』に関する特別委員会の中間報告ですが、そのレポートで特に注目されるのは、「タンパク質(肉)の摂取量が増えると乳ガン、子宮内膜ガン、前立腺ガン、結腸・直腸ガン、膵ガン、胃ガンなどの発生率が高まる恐れがある」として「これまでの西洋ふうな食事では脂肪とタンパク摂取量との相関関係は非常に高い」と述べています。

 「理想食」とは?                             

そして最も理想的な食事は元禄時代以前の日本人の食事であることが明記されているのでありますが、元禄時代以前の食事と言いますと結局は精白しない殻類を主食とした季節の野菜や海草や小さな魚介類といった内容であります。

このレポートが発表された時、アメリカ国内は勿論、全世界にショックをもって受けとめられたのでありますが、こんな背景もありまして欧米では《日本食=健康食》といったイメージが広がり、現在では一つのブームといいますか、潮流にもなってきているのであります。


 

アメリカ上院「マクガバンレポート」2
  療費を抑えることが急務            
 アメリカ上院栄養問題特別委員会は、1977年に5000ページにもおよぶ膨大
 なレポートを発表しました。その背景はマクガバン委員長の言葉をかりれば以下 のようなものでした。「ガン、心臓病を始め多くの病気が増えている。そして進歩し たとされるアメリカの医学を活用し、しかも巨額な医療費が注ぎ込まれているのに 、アメリカ国民は病気ばかり増えてますます不健康になるばかりだ。
 この原因を解明し根本的な対策を立てないことにはアメリカは病気で滅んでしまう 。」外国からも多くの専門家を呼び、世界中から膨大な資料を集めて2年間にわ  たって審議調査された結果、重要な結論が出されました。
 それは、ガン、心臓病などの病気は現代の間違った食生活が原因になって起こる 食源病である。
 この間違った食生活を改める事でこれらの病気を予防する以外に先進国が健康 になる方法はない。
 このような結論からの成り行きとして栄養問題特別委員会はアメリカ国民に食事 改善目標を示しました。

 アフリカの実例                      
 イギリス政府から派遣されて、ウガンダなど当時のイギリス属領諸国政府の顧問 医師を30年にわたって務めたトロウエル博士は、先進国ではごく普通の病気に  なっている30余の現代病が1930年〜60年の間のアフリカにはほとんどなかっ たと、栄養問題特別委員会に資料を提出し、証言しました。
 博士はその理由としてアフリカの黒人たちの食生活が先進国の食生活とは内容  が違っていたからだとも詳しく証言しました。

 食事改善目標                      
 昭和30年代のガンも心臓病もめずらしかったころの日本の食事、1930〜60年 のアフリカの食事と先進国の様々な食事を比較検討し、栄養問題特別委員会は 次のような「食事改善目標」をアメリカ国民に示しました。
 @でんぷん質を現在のカロリーの46%から55〜60%に引き上げなさい。
 A脂肪分は現在のカロリーの約40%から30%に減らしなさい。
 B動物脂肪も植物脂肪も減らすが、それは前者がカロリーの10%、後者が20  %になるようにして一対二の割合にしなさい。
 Cコレステロールを1日300mgに減らしなさい。
 D砂糖消費は40%減らしてカロリーの15%までにしなさい。
 E塩の摂取も50〜85%減らし1日3gにしなさい。

 1日30品                         
 1983年に農務省長官の諮問機関として創設された食事ガイドライン委員会は、 マクガバン委員会以後の新しい研究を踏まえるとともに食事改善目標をより実行 しやすい形にするという補完作業を続けています。
 食事ガイド・ライン委員会は指針の1つに、食べる食品の種類を多くという項目も 加えてこう述べています。
 「人間の生存および健康維持のためには40種類以上の栄養素が必要である。つ まりいろいろな種類のビタミン、ミネラル、アミノ酸、必須脂肪酸などがそれである 。またエネルギー源としての炭水化物、脂肪、タンパク質も必要である。これらの 栄養素はバランスのとれた食事によってとられるものであり、そのためにはいろ  いろな種類の食品を食べる必要がある。」
 いわゆる食品の6軍のバランスをとりつつ多種類にすることです。