エンタメ【主張】グラミー賞4人 世界に飛び出す力示した2011.2.16 02:56

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【主張】
グラミー賞4人 世界に飛び出す力示した

2011.2.16 02:56

 米音楽界最高の栄誉とされるグラミー賞を今年は日本人演奏家が一度に4人も受賞した。政治の混乱と経済の停滞から国内に広がる閉塞(へいそく)感を吹き飛ばす快挙だ。4人の受賞を祝福するとともに社会を勇気づけるニュースとして歓迎したい。

 松本孝弘さんはロックギター、内田光子さんはクラシックのピアノ、上原ひろみさんはジャズピアノ、そして松山夕貴子さんは琴の演奏家である。音楽のジャンルはみな異なり、世代的にも30代前半から60代までと幅が広い。

 もちろん受賞は個々の演奏家の卓抜した才能と努力の結果であるにしても、受賞者のこの多様さには注目しておく必要がある。日本の社会が戦後、長い期間にわたって築き上げてきた文化力の反映というべきではないか。

 昨年の名目国内総生産(GDP)で日本は中国に抜かれ、43年ぶりに世界3位に転落した。4人の受賞が、そのニュースと同じタイミングで伝えられたことは、逆に日本人に自信を与えた。

 日本では、多くの子供たちが学校教育などを通じ、幼いころから楽器演奏に触れる機会に恵まれている。強い希望と意思で、高度な音楽教育を受けるために海外を目指す若者たちも少なくない。

 長期にわたって蓄積されてきた日本の文化力は、こうした豊かさにも支えられてきたといえる。だからこそ、伝統的な文化ジャンルだけでなく、ジャズやロック、あるいは映像分野のアニメなどで、世界が注目する才能が輩出するようになっている。

 国際音楽祭など、世界の注目度が高い文化、芸術関係の舞台における日本人の相次ぐ受賞も、そうした背景と無縁ではなかろう。

 一方で今回は、海外の大物演奏家との共演が受賞につながっている。ビジネスの観点からも、米国に次ぐマーケットとして日本の音楽市場が注目されているからでもあるだろう。

 同時に今回の受賞は、日本の演奏家に対しても、世界に飛び出すことこそが、成功をつかむ条件だということを改めて教えたのではないか。

 グラミー賞には109もの部門があるという。他の演奏家にも今後、受賞の機会が開けていくことを期待するとともに、そうした人材を輩出する社会、経済的基盤にもあわせて目を向けたい。

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