EU:「欧州版IMF」、13年6月稼働を正式決定

2010年12月17日 10時45分 更新:12月17日 15時31分

 【ブリュッセル福島良典】欧州連合(EU、加盟27カ国)は16日、ブリュッセルで2日間の日程で開いた首脳会議で、財政危機に陥ったユーロ導入国を支援するための欧州版の国際通貨基金(IMF)を創設し、13年6月に稼働させることを正式に決めた。また、ギリシャ危機で設置した現行支援基金の増額などの追加措置も検討する用意を表明し、ユーロ防衛に全力を尽くす姿勢を強調した。

 欧州版IMFの正式名称は「欧州安定メカニズム」。加盟国の財政危機がユーロの安定を脅かしかねない場合、各国が財政悪化国に融資を提供する。これにより、EUは財政危機に対応する常設制度を備える。

 欧州版IMFの融資には「厳格な条件」が付けられ、運用はIMFの慣例に準拠する。ただ規模や財政悪化国の国債を持つ民間投資家に損失負担を求める条件などは決まっておらず、ユーロ圏財務相会合が来年3月までに詳細を詰める。

 EUは今年5月、ギリシャ危機克服のため、IMFと合わせて総額最大7500億ユーロ(約83兆円)のユーロ防衛基金を3年間の時限措置として設置した。現行基金は13年6月で期限が切れるため、欧州版IMFがユーロ圏の「セーフティーネット」の役割を引き継ぐ。

 首脳会議はユーロ防衛基金の将来的な増額も視野に「ユーロ圏全体の安定を確保するために必要なあらゆる措置を取る用意がある」との声明をまとめた。EUは「現時点では増額の必要はない」としているが、既にアイルランド支援に基金を適用しており、IMFなどは、スペインやポルトガルが支援要請する場合に備え、増額を促している。

 昨年12月に発効したEUの基本条約「リスボン条約」はユーロ導入国の救済を認めていないため、首脳会議では欧州版IMFを創設できるよう、ユーロ圏の運営を定めた条項を修正することで合意した。加盟国は承認手続きを進め、修正は13年1月1日までに発効する予定。

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