2010年12月17日 7時14分 更新:12月17日 10時56分
【ロンドン笠原敏彦】スウェーデンでの性犯罪容疑で英警察に逮捕され、高等法院での上訴審で16日に保釈が正式に認められた内部告発サイト「ウィキリークス」の創設者、ジュリアン・アサンジ容疑者(39)は同日夜、拘束から10日目で釈放された。同容疑者は釈放後、米外交公電など告発情報の公開を続ける方針とともに、逮捕容疑での無実を証明する姿勢を示した。
保釈決定の判断が下された後、実際の釈放に向けて、保釈金24万ポンド(約3100万円)のうち現金20万ポンド(約2600万円)が迅速に用意できるかに焦点が移っていた。アサンジ容疑者側は映画監督やジャーナリストら支援者から資金提供を受け、保証人2人が既に準備していた4万ポンドと合わせ全額を同日午後、裁判所に納めた。
アサンジ容疑者は高等法院前に詰め掛けた数十人の報道陣を前に、保釈決定書を高々と掲げ、“勝利”を演出した。同容疑者は「私の仕事(内部告発の情報公開)を続けるとともに、身の潔白を証明したい」と訴え、今回の逮捕の「(捜査当局が持つ)証拠も暴露する」と述べた。証拠は「まだ入手していない」という。
また、BBC放送のインタビューで、拘束中もウィキリークスが米外交公電の公開を続けたことに言及し、「組織の強じん性を示した」と強調した。
アサンジ容疑者は同夜、英南東部にある支援者の邸宅に入った。保釈には、夜間の外出制限や、居場所を示す電子タグの装着、警察への毎日の出頭、パスポートの警察への預託など厳しい条件がついている。
ただ、インターネットへのアクセスや通信には制限はついておらず、内部文書暴露の活動は保釈中も支障なく続けられるとみられる。
スウェーデンへの身柄引き渡しの審理は1月11日に始まるが、曲折も予想される。