【ソウル16日聯合ニュース】韓国の人権状況が2008年以降、事実上後退したという趣旨の報告書が国連に提出される見通しだ。
外交通商部と市民団体が16日までに明らかにしたところによると、国連の言論表現自由の権利の促進・保護に関する特別報告官のフランク・ラルー氏が、「すべての人権と発展権を含めた市民・政治・経済・文化的権利の増進と保護」と題した韓国実態調査報告書を今月初めに韓国政府に伝えた。
法務部、文化体育観光部、放送通信委員会、警察庁などの政府機関が報告書内容の事実関係を検討している。
言論表現自由の権利の促進・保護に関する特別報告者が韓国の人権状況と関連し報告書を作成し、勧告を行ったのは1995年以来16年ぶり。ラルー氏は昨年5月6〜17日に法務部、文化体育観光部、放送通信委員会、警察庁、国家人権委員会など16の政府機関を訪問したほか、国内の人権団体関係者や人権侵害を受けた被害者らと会い、実態調査を行った。
聯合ニュースが入手した29ページにわたる報告書は、韓国の表現の自由の領域について「ここ数年間、特に2008年の米国産牛肉輸入反対のキャンドル集会以降に縮小している」と診断した。2008年以降、政府の立場と一致しない見解を表明した個人を国際法に合致しない国内法に基づき措置が取られる例が増えた点を挙げ、個人の意思・表現自由権の制約が強まっていることに懸念を示した。
また名誉毀損(きそん)、インターネット上の意思と表現の自由、集会の自由、公務員の意思・表現の自由権などの8分野で、韓国の人権状況に対する懸念表明、または改善勧告を行った。
報告書は6月に国連人権理事会に提出される予定だ。国内の人権団体は、同報告書が国際社会における韓国の人権状況を評価する際の重要な判断根拠になるとみている。