後継者問題:金正哲氏、ロックコンサート鑑賞

 北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記の次男、正哲(ジョンチョル)氏(30)が10日間以上にわたりシンガポールに滞在し、人気ロック歌手エリック・クラプトンのコンサートや豪華なショッピングなどを楽しんだことが15日までに分かった。金総書記の誕生日(16日)直前のことだ。このため、正哲氏も異母兄の長男、正男(ジョンナム)氏と同様、後継者争いで敗れた後、海外を放浪する身分となったのではないかとの観測が出ている。

 対北朝鮮消息筋によると、正哲氏は今月初め、夫人とみられる女性と随行員、オーケストラ団員など数十人を引き連れシンガポール入りし、高級ホテル「パン・パシフィック・シンガポール」の1泊60万ウォン(約4万5000円)のスイートルームに滞在した。正哲氏は耳にピアスをしており、シンガポールの観光地であるユニバーサル・スタジオやアンダーウォーター・ワールドを訪れ、高価なダイヤモンドも購入した。シンガポールで金総書記へのプレゼントを購入したのではないかとの説もある。14日にはインドア・スタジアムで開かれたエリック・クラプトンのコンサートを1人35万ウォン(約2万6000円)のVIP席で観覧し、エリック・クラプトンの顔が描かれたTシャツなどの記念品を大量に買い込んだ。正哲氏は同日、シンガポールを発ち、北京経由で平壌行きの飛行機に乗ったという。

 同消息筋は「北朝鮮は最近、資本主義の影響を防ぐため、住民に対する統制を強化しており、全世界に食糧支援を求めている。こうした状況で、金正日ロイヤルファミリーが豪華な海外旅行を楽しむさまは、北朝鮮の体制の矛盾をそのまま反映している」と指摘した。

北朝鮮の住民は飢えているのに-。独裁者の息子だからといって、ロックコンサートで熱狂してはならないということはない。しかし、その国の住民の大多数が毎日の食事にも事欠く状況で、それはあってはならないことだ。それでも飽きたらず、豪華なショッピングまで。金正日総書記の次男、正哲氏(赤い矢印)は14日、シンガポールで開かれたロック歌手、エリック・クラプトンのコンサートを訪れ熱狂した。左側の女性は夫人と推定される。本紙は対北朝鮮消息筋からこの写真を入手した。

アン・ヨンヒョン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る