クーポンサイトを通じて何人か集まれば割安で商品やサービスが手に入る、そんなサービスが最近日本でもかなり知名度が高まっているようですが、なんとなくいい加減な感じがしていてこれまで一度だけしか利用していません。どこやらのおせち料理の件でちょっとしたトラブルになったようですが、トラブルは、要するにサービスの内容や執行までのプロセスが完全に業者まかせになっており、極端に言えばいい加減なことが簡単に起こり、あるいは簡単に起こせてしまう仕組みから生じている、といっても過言ではないでしょう。 まあトラブルへの対処は迅速だったようで、返金やらお詫びやらかなり手厚くやったようで、その辺は評価されるのではないかと思いますが、いまだにどうも出ている内容は、ものによってはかなり眉唾?に近いものも混じっているようで、利用者の側の自衛がまだ必要な段階のように思えます。 先日見つけた実例は、あえて具体的なサービス内容はひかえますが、ともかく60%以上割引という触れ込みで申し込みを募っていたのですが、その企業のサイトに直接アクセスしてみたら、なんとそれは普段の値段(というか恒常的なサービス価格)でしかなくて、定価などまったく意味のない値段でした。つまり集まらなくてもその会社に直接行けばクーポンサイト上の割引価格あるいはそれ以下の価格でサービスが受けられる、ということが判明したのです。 こうした実例がいろいろ出ているということは、クーポンサイトの管理側で参加企業のサービス内容などへのきちんとした調査が行われていないことを示しており、もちろん彼らとしては場を提供しているだけだという言い訳は成り立つものの、ほとんど詐欺まがいの案件が簡単に掲載されてしまうというリスクは残ると思います。今後の発展のためには、多少コストはかかっても、クーポンサイト管理側がきちんとした調査を行うこと、言い換えると「信用」を勝ち得る仕組みを作ること、が重要になってくるだろうと思います。ヤフーオークションなどでもおそらく最初は同様のリスクがあったはずですが、評価制度や入札方式の整備などを通じてかなり取引には安心感が出ています。そうしたものも参考になるのではないかと思いました。 ところで、上記のネタと関係があるのかどうかわかりませんが、グルーポンという会社は優先株で9.5億ドルの資金調達を計画している(http://vcexperts.com/vce/news/buzz/archive_view.asp?id=996)のですが、12月31日付のFTによれば5億ドルの資金調達できているいるようです。そしてこのうち3.44億ドルが「グルーポンの9人のボードメンバーおよび関係者」から株を買い取ることに使われるようです。つまり、優先株でせっかく調達した5億ドルのうち3.5億ドルが自社株買いに使われ実質1.5億ドルの資本調達にしかならないということです。まあそれだけの資金調達に成功するということ自体たいしたもんといわざるを得ないのですが、なぜこの時期にわざわざ創業者が株を売るのか、ちょっと不透明感が残るディールになりそうな予感がします。 実はこの辺の問題点については、すでにMarket Hackの広瀬さんが詳しく書いておられて、もうまったく端から端までそのとおりだろうとしかいいようがないのでリンクをはっておきます。 http://markethack.net/archives/51672972.html http://markethack.net/archives/51671981.html ともあれ、今のままでは信用というレベルに達するにはなかなかややこしいだろうなぁとおもうのです。 ところで、グルーポンなどのビジネスモデルに欠かせない要素として「評判の伝播」があります。グルーポンなどはもともと資金力の関係で表舞台に出づらかった小さな(ローカルの)食べ物屋さんやサービス業を「クチコミ」で広げることがキモで、そのためにフェイスブックなどのSNSなどとの連携が欠かせないわけです。 アメリカで起こっているのはまさにこうしたグループすなわちグルーポンとフェイスブックがほとんど同時に投資対象として盛り上がっている、ということで、ストーリーとしてはなかなかよく出来ていると思います。が、フェイスブックのほうはまたこちらも多少ややこしいことになっているようで、GSがSPV経由で行う出資がSECが株式公開ルール(株主が500人以上になると非公開企業でも一定の開示を迫られる)の潜脱ではないかとして調査に入る始末。 http://jp.wsj.com/Finance-Markets/Finance/node_166234/?nid=NLM20110104 http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920017&sid=avo_r3gz0J_k 今日のFTにはGSのディールがきっかけでフェイスブックの企業評価としては500億ドルにもなってしまい、タイムワーナーやヤフーを超えてしまう、という記事も出ています。つまりGSとロシアの投資家が合わせて5億ドルを入れるその評価額を全体に敷衍すれば企業価値が500億ドルになってしまう、というもので、ここでさらに問題なのはGSがおそらくIPOの引き受け幹事をやるということでしょう。つまりこれは自らの行動が「大きな案件」への道筋を作ることになる。記事によればこのロシアの投資家がやはりグルーポンの投資にも絡んでいるとのことで、この辺はひとつの大きなストーリーが文字通り「創られつつある」ことを感じざるを得ないと思います。なお、言うまでもないことですが、このロシアの投資家の背後にはGSのOBが多く絡んでいるようです。 スタートアップ企業にはつき物とはいえ、ルールやモラルといった関係ではアメリカのIPO市場は相当ごたごたしている印象がありますね。あ、これもすでに広瀬さんが書いておられます。(http://markethack.net/archives/51673361.html) というわけで最後はほとんど他人様の内容をなぞってしまいましたがなにとぞお許しを。 |
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おせち料理「見本と違う」トラブル
飲食店経営会社「外食文化研究会」が、インターネットの共同購入サイトで注文を受け発送したおせち料理「バードカフェ謹製おせち」500セットが、見本と違っていたり、料理が腐敗していたりしたなど、購入者とトラブルになっていたことが2日、明らかになりました。同社はホームページで「広告掲載した内容と比べボリュームが足りなかった」と謝罪。購入者には代金を全額返金し、水口憲治社長が引責辞任するとしています。 ***♪おかしなおせち♪ ...続きを見る |
歌は世につれ世は歌につれ・・・みたいな。 2011/01/04 21:14 |
地方ってそんなに貧しいのか? A
Tweet 前回に引き続き。地方と都市部の格差について数字で見ていきたい。(前回記事 ) ...続きを見る |
ロンドンで怠惰な生活を送りながら日本を思... 2011/01/05 05:25 |
内 容 | ニックネーム/日時 |
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>クーポンサイト管理側がきちんとした調査を行うこと |
774 2011/01/04 22:57 |
774さんどうもです。そのようなケースもあるようですねぇ。グルーポンなどもともと営業が光通信・・・ |
厭債害債 2011/01/05 00:30 |
はじめまして。田舎の小売店ですが当社にもグルーポンで営業に来ましたが実際にそういう定価を2倍にしてという話はありました。また借りに注文きても捌けないから40人までと当社で営業に言ったところ最低300からでお願いします。やればなんとかなりますよ、という話でした。うちでは既存のお客様に迷惑をかけてしまうということで断りました。 |
小売店 2011/01/19 13:28 |
小売店さんコメントありがとうございます。やはりというか、かなり強引さが目立つ例があるのですね。 |
厭債害債 2011/01/21 00:08 |
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