きょうのコラム「時鐘」 2011年2月16日

 まだ堅いつぼみだが、どんな花が咲くのだろう。新年度の県当初予算案の姿が見えてきた。石川、富山ともに「桜」の項目があるのが面白い

石川では広坂通りのソメイヨシノを植え替え、兼六園周辺の桜をテーマにしたイベントを企画している。富山では松川べりや高岡古城公園以外にも桜の名所を育て、高齢化の進むガイド「さくら守」の充実もはかるという

明治後期、日露戦争勝利を祝って城跡に桜が植えられ「お城と桜」の名コンビが生まれた。約1世紀前のことである。そのころ高峰譲吉博士が米国ワシントンに贈った桜の里帰り計画も進んでいる。旧制四高の校門前を彩った広坂の桜は戦時中に植えられた

小学校の校庭にあった桜の木が、すっかり老木になっている光景を見ることがある。桜ほど時の流れを感じさせる花はない。桜の寿命は70〜80年とされる。行政が植林の再生に取り組むのは人間と同様、桜も世代交代期にあることを物語っている

桜の開花予想が出た。北陸は4月の3、4日ごろとあった。長い雪の季節だった。サクラ咲く、と思うだけで春が来た気分になる。偉大な力だ。