中国紙、日本“恫喝”特集 外交ルール無視!禁じ手ばかり…   

2010.09.22

 日本領海に侵入した中国漁船船長の逮捕をめぐる「尖閣問題」で、反日感情を高めている中国の大手紙が、効果的に日本を追いつめる「対抗措置」を特集で報じた。各方面の専門家らに「日本をギャフンと言わせる」ための経済政策や軍事戦略を語らせるという噴飯ものの記事で、いずれも外交ルールを無視した禁じ手ばかり。わが国も“返す刀”の対抗措置は十分にあるのだが…。

 中国大手紙「環球時報」が専門家らに聞いた日本への対抗措置は、(1)東シナ海ガス田の共同開発交渉を無期限延期もしくは中止(2)中国が円を買い進めることによる円高促進(3)レアアースやエネルギー資源の輸出制限(4)日中環境保護協力協定の停止(5)戦闘能力のある漁船の尖閣海域への定期派遣(6)尖閣海域での軍事訓練−など。もちろん、毎度おなじみの「日本製品ボイコット」も入っている。

 これに対抗する手はあるのか。別の中国紙の日本支局長は次のように言う。

 「中国にとって最大のダメージは、日本の環境技術撤退や無償資金協力(ODA)の即時中断。なかでも日本の環境技術の撤退は、深刻な環境汚染問題を抱える中国にとって最大級の痛手です。ODA中断も、中国の国民にほとんど知られていない日本の支援の大きさを知らしめる良い機会。中国と中国企業による知的財産侵害を片っ端から国際社会に訴え、『チャイナリスク』の危険性を執拗にアピールするのも効果的でしょうね」

 中国がすでに輸出規制を打ち出したレアアース、レアメタルも、代替品開発が進んでいる。中国国民が日本製品を本気でボイコットするなら、中国との領土問題を抱えるインドに製造拠点をシフトすればよいという。

 「多くの日本製品の生産拠点は中国内なので、中国が今後も強硬な態度を続ければ、結果的に自国の雇用を奪うことになる。日本企業は中国を無視して他の東南アジア諸国−ベトナムやインドネシア、タイ、ラオスなどに工場を移せばいい。観光にしても、まだ日本から中国に流れる金のほうが多く、双方の渡航自粛ムードが高まれば困るのは中国側です」(同)

 とはいえ、いまさら“目には目を”の対抗措置は大人げない。『中国をめぐる国際環境』の著書がある岡部達味・首都大名誉教授も「中国メディアの挑発を真に受けるのはむなしい」と冷ややかだ。

 「中国政府は自国民からの弱腰批判を避けるため、振り上げた拳がおろせない。日本としては、主権を堅持しつつ、中国のメンツをつぶさない引き際を考えてあげるべきでしょう」

 ちなみに、日本と同様に中国と領海問題でつばぜり合いを繰り広げている韓国では、年間5000人もの中国漁民を拘束しているという。たった1人の船長拘束による“恫喝”にオタオタする必要はないのだ。

 

注目サイト