TV「マクロスF(フロンティア)」主題歌 (OP1)
トライアングラー
作詞:Gabriela Robin
作曲:菅野よう子
オリジナル編曲:菅野よう子
オリジナル歌手:坂本真綾
(macrosf0.zip)ダウン休止中
MIDIデータ公開:2008年8月3日
■曲・データについて
ご存知「マクロスF」の初代主題歌です。
当サイトで扱うだろうと多くの方が予想されていたかと思いますが・・・お待たせ致しました。
まさに恋の三角関係を思わせる曲タイトルですが、サントラ付属のライナーノーツによると
マクロスFの世界でオンエアされた”初代マクロスの輝・ミンメイ・未沙の三角関係を描いた
トレンディTVドラマ「トライアングラー」の主題歌”との事で、厳密にはマクロスFの
主題歌ではありません(苦笑)
歌手はサカモトマーヤで、ゼントラーディー女優との事。デカイんだろうか(笑)
ともあれ”菅野よう子プロデュース”の坂本真綾が帰ってきた!、と言うところで当初から
話題だったこの曲。期待に応える出来になってますよね。CD売り上げもオリコン週間で
初出3位だったのは記憶に新しい所です。
作詞は謎の人(笑)Gabriela Robinさん。古くから菅野曲に詞を提供していますが、看板曲なOPを
担当するのは初じゃなかったかなぁ・・・。
作曲・編曲はもちろん菅野さんです。サビの繰り返しで転調する所や、曲展開が結構複雑
(A(冒頭サビ)→B→C→D→E→A(サビ)・・・)など普通の歌モノっぽくないのですが、
それでもキャッチーで覚えやすいのはさすがと言いますか・・・。
なにより詞、曲ともにいい意味での”俗さ・軽薄さ”と言うのがよく出ていて、あぁマクロス
シリーズにふさわしいなぁと。でも菅野さんが担当した「マクロスプラス」の印象が強い人は
その音楽性の違いに驚くかも知れませんね。近作の「創聖のアクエリオン」から入った人は
別段違和感はないはずですが(笑)
しかし沢山ある挿入歌も劇伴も全てご自身で手がけられていて、物凄い仕事量・・・。
データですが、元々はMySoundでのコラボ用に作成したものを、単一の音源で再生出来る
MIDIデータにコンバートしたものです。割とオーバースペック気味に作ってあるので
Microsoft GS wavetable SW Synthでは発音数不足による音切れや、鳴音の誤動作が
起きる場合があります。ご了承下さい。
菅野曲では長年定番だったシンセやフレーズ物波形は今回かなり控えめで一般的な楽器だけに
編成が抑えられているので、採譜自体はそんなに難しくなったです。が、発音数不足が
問題になってしまって・・・何しろギターが4本いますから(^^;
加えて、ちゃんとしたストリングス編成やコーラスの重厚さの魅力などは相変わらずで、
結局はかなり苦しめられています(汗) 聴いた感じのトータルの印象は残念ながらちょっと
厳しい出来になってしまいましたね。
そうそう、私はやってないのですが、KORGのM1等に搭載されていた”カンッ!”と言う硬い
スネアを使って再生すると、原曲に似て結構いいかもしれません。最近はKORGのソフトシンセ
にも入っていたりするはずなので、お持ちで興味ある方はどうぞ。
■元作品うんちく
ご存知マクロスシリーズの最新作ですね。「超時空要塞マクロス」がオンエアされた1982年から
数えて25周年を記念して企画された作品との事で(よってコピーライト表記は2007年です)。
上で書いた音楽面での充実度もさることながら、週間ペースとは思えない3DCGの
質も素晴らしく、トータルで非常にハイクオリティな作品になっています。
そりゃBDもDVDも売れますよ(笑)
初代「マクロス」から50年後、最も近いエピソードである「マクロス7」から14年後の
西暦2059年、地球から新天地を目指し銀河に散らばっていった宇宙移民船団の一つ
”マクロスフロンティア”が謎の巨大異星生命体バジュラに襲撃される事から始まる物語。
主人公・アルトとランカ&シェリルの二人のヒロインとの三角関係を軸に、数多くの艶やかな
歌と可変戦闘機VF-25メサイアによる過激な高速戦闘が彩るストーリーはまさにマクロスですよね。
魅力的な各キャラの構成・サブタイトルのモチーフやほぼ一話完結の各エピソードは初代マクロス、
劇中のテクノロジーや兵器系譜的な概念は「マクロスプラス」、移民船団の概念や
”ギャラクシーネットワーク”での音楽チャートなど芸能関係は「マクロス7」、また
マクロスのゲームに登場するメカやシリーズ前日談であるOVA「マクロスゼロ」のエピソードも
盛り込み、まさにこれまでのシリーズを包括する総決算的作品になっていますね。
シリーズを見てきた人なら分かるパロディも散りばめられていて、面白いです(笑)
しかし未知なる知的生命体との遭遇と文化(=歌)による和解がテーマなこのシリーズ、
甲虫に似た今回のバジュラはどうみても”知的”生命体ではないのに、さてどう人類と
理解しあうのか・・・コミュニケーション手段としての言語と言う物は持たず、ましてや
個体が大きな脳を持たない非知的生物である事は劇中序盤ですでに語られていましたし、
終盤まで無差別な殺戮を繰り広げる彼らとは理解しあえるとはとても思えませんでした。
が、バジュラの正体はなんと、人類やゼントラーディの(マクロス世界の)創造主である
プロトカルチャーすら恐れたと言う超時空生命体(!)
「マクロスゼロ」に登場する”鳥の人”も、単体でフォールド(ワープ)が使えるバジュラを
プロトカルチャーが神格・伝承化したものだったそうで、いやぁビックリです。
「マクロスゼロ」のヒロインの一人・マオがプロトカルチャーやバジュラの研究者(DR.マオ)
となり、また今回のヒロイン・シェリルの祖母だったとは何年越しの布石だか・・・
後付け設定にしても周到で、新敵キャラを陳腐に見せないための方策は見事ですねぇ。
ただまぁ最終的な黒幕は、バジュラのフォールド通信ネットワークを利用して銀河全域を
掌握したかったグレイスの野望だった、と言うことで決着を見ましたが、ランカの母である
ランシェやマオと共に研究していた女性がどうしてそこまでして・・・と言う気もしない
ではない(^^;
正体が分かってからは全編通してもうやりたい放題(笑) シェリルのマネジャーとして
登場した第一話では無名の端キャラにしか見えなくて、これも予想外でした。
シリーズの屋台骨であるラブコメ要素ですが、キャラの印象が音楽面やビジネスに直接
影響を与えるためか、三角関係のバランスにはかなり気を配った印象は受けますね(苦笑)
大物歌手だったシェリルはランカにその場を奪われ、ランカは恋愛感情を持っていた
アルトの心をシェリルに奪われた(と思い込む)・・・グレイスの行動など外的な原因
とは言え正直、お互いに逆恨みしてもおかしくない状況のはずなのですが、対立しないよう
キャラにマイナスイメージが付かないよう腐心した脚本でした。
そこら辺も上手くやったなぁ、と。
当のアルトは二人にそれほどの恋愛感情は持っておらず、最終話で恋のライバルとして
再出発する様子はちょっと少女漫画ぽくもあり、爽やかでした。キャラのドラマに絞った
続編が作れそうな気もしますよね。
上で書いたように全体は”シリーズ総決算”的な要素が強いのですけれど、細かい部分は
意図的に視聴者を裏切る展開が随所に。初代マクロスのロイ・フォッカーに相当する
オズマが終始死亡フラグを漂わせながらも最後まで頑張り、代わりに死んだのはマックスに
相当するミシェルだったり。主人公機がパワーアップせずVF-25Aが最後までアルトの乗機
だったり(しかも一時期旧式のVF-171EXに乗り換えたりする)で、面白いですね。
メカ面では登場機体が意外と少なめなのも特筆すべき点でしょうか。
劇場版も制作が決定し、シリーズとしてではなく作品単体でも今後の展開が楽しみな
作品となりました。オリジナルアニメ作品としては今年一番のヒットかも知れませんね。