北方領土をめぐり軍備増強に動き出したロシアの意図を緊急分析です。
北方領土をめぐり、強硬姿勢を強めるロシアは、4島とその周辺への軍備増強に動き出しています。伝わってくる正面装備から読み取れるロシアの意図を緊急分析しました。
2010年のメドベージェフ大統領の国後島訪問以降、2011年になっても強硬姿勢が衰えを見せないロシア。
2月4日には、セルジュコフ国防相が北方領土入りした。
そして2月9日、メドベージェフ大統領は「クリル諸島でのわれわれのプレゼンスを強化するための、あらゆる努力をする。これは、われわれの戦略方針だ」と述べた。
国防相は、これに応える形で大統領に対し、北方領土への軍備の近代化計画を2月末までに策定する考えを明らかにした。
その計画には、これまで見られなかった、さまざまな大規模・新型の装備が見え隠れしている。
軍事評論家・岡部 いさく氏は「現段階でのキーポイントは、ミストラル級揚陸艦とイリューシン76輸送機です」と話した。
岡部氏がまず指摘した「揚陸艦ミストラル」は、兵員とその物資のほか、複数のヘリコプターなども含めた、大量の装備を一気に陸揚げできる。
ロシアは、このミストラル級揚陸艦2隻を、極東本土のウラジオストクに配備するとしている。
また、北方領土へ飛来するといわれる大型輸送機「イリューシン76」は、戦闘車両などを短時間に北方領土へ輸送することが可能となっている。
つまりロシアは、揚陸艦や大型輸送機などを使い、北方領土を短時間のうちに軍事基地化することもできるという。
すでに択捉島には、このイリューシン76が離着陸できるとみられる空港の建設が進んでいる。
さらに、岡部氏は「圧倒的な輸送力によって、北方領土に持ち込まれるものによっては、日米にとって、非常にやっかいな存在になるものもあるんです。例えば、今回取りざたされている、対空ミサイルシステムの「S-400」。このミサイルは射程200kmで、これが国後に配備されたりすると、日本の領空がロシアの対空ミサイルの射程に入ってしまうんですね。また、そのレーダーは北海道の東側半分を航空機の動きをとらえることも可能です」と話した。
さらに今回、北方領土には、多目的戦闘機「スホーイ35」が配備されるとの見方も一部にあり、岡部氏は、その行動半径を1,500kmとすると、本州のほぼすべてが収まってしまうと指摘する。
北沢防衛相は「(北方領土での軍事増強の意図は?)一般的に言えばですね、ロシアの軍事活動の活発化というのは、引き続きそういう傾向にあるのだろうというふうに思います」と述べた。
前原外相は「どのような軍備増強がされようがしまいが、誰が行こうが、日本の固有の領土であるという法的評価はまったく変わりません」と述べた。
しかし、北方領土地域の軍事分野で、ロシアが強化に乗り出すことは、どのような意味を持つのか。
岡部氏は「新しい防衛大綱で、日本が実質『南西重視』を打ち出したときに、今度は北でロシア軍が増強と。日本の安全保障の方程式にとって、また1つ、やっかいな変数が増えてしまうということになりますね」と話した。
(02/16 02:38)