鳥獣人物戯画:絵巻物に仕立て直しを確認 京都国立博物館

2011年2月15日 20時10分 更新:2月15日 23時33分

鳥獣人物戯画が表裏に描かれていたことを説明する京都国立博物館の若杉準治・列品管理室長=京都市東山区で2011年2月15日、望月亮一撮影
鳥獣人物戯画が表裏に描かれていたことを説明する京都国立博物館の若杉準治・列品管理室長=京都市東山区で2011年2月15日、望月亮一撮影
表裏に描かれていることがわかった鳥獣人物戯画の丙巻2枚目の人物画=高山寺提供
表裏に描かれていることがわかった鳥獣人物戯画の丙巻2枚目の人物画=高山寺提供
表裏に描かれていることがわかった鳥獣人物戯画の丙巻19枚目の動物画=高山寺提供
表裏に描かれていることがわかった鳥獣人物戯画の丙巻19枚目の動物画=高山寺提供

 最古の漫画ともいわれる京都・高山寺(京都市右京区)所蔵の国宝「鳥獣人物戯画」全4巻の一つ「丙巻」が、表に人物画、裏に動物画を描いた1枚の和紙を薄く2枚にはがし、絵巻物に仕立て直したものであることが分かった。修復していた京都国立博物館が15日発表した。丙巻は13世紀の作だが、王朝文化への関心が高まった江戸初期に鑑賞しやすいよう表装したとみられる。

 丙巻は和紙20枚をつなげたもので、前半は囲碁や将棋に興じる人物、後半は擬人化した猿やカエルが異なる筆致で描かれている。19枚目の動物画に不自然な墨跡があり、2枚目の人物画と背中合わせにしたところ、すごろく遊びをする人の烏帽子(えぼし)の位置と合致。他にも表裏一致する汚れが見つかり、墨が裏ににじんだものと分かった。

 同館は、当初は人物画10枚だった絵巻物の裏に、後から動物画を描いたと推定。若杉準治・列品管理室長は「裏表に書いた手紙をはがす例はあるが、絵画では珍しい。当初の丙巻はそれほど重視されたものではなかったため、裏側にも描いたのだろう」と話している。

 鳥獣人物戯画は甲・乙・丙・丁の4巻からなり、複数の作者が12~13世紀に描いたとみられる。ウサギやカエルが相撲や田楽踊りをする甲巻が有名で、甲巻は鳥羽僧正が作者との伝承がある。【熊谷豪、大森顕浩】

top
 

おすすめ情報

注目ブランド