武蔵村山市第一中学校立替工事における官製談合疑惑について その2
4 情報提供および取材結果
(1) 接待疑惑に関わる情報提供
このブログを見た読者の方からと思われるのですが、私の元に、匿名FAXによる情報が相次ぎ提供されました。
それらのFAXに記載された事実は、ある政党の地方議員らに対しA建設が度重なる接待を行い、工事の受注につなげたことを示唆していました。
A建設が第一中学校建替え工事を受注するために接待をしていたとなると贈収賄の疑いがあり次のような法律に触れる可能性があります。
(収賄、受託収賄及び事前収賄)
刑法 第197条 公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、5年以下の懲役に処する。この場合において、請託を受けたときは、7年以下の懲役に処する。
(贈賄)
第198条 第197条から第197条の4までに規定する賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、3年以下の懲役又は250万円以下の罰金に処する。
(2) 接待疑惑に関する取材結果
ある政党の議員に対する接待が行われたことを示唆する匿名FAXは、A建設の同業他社や党外議員と対立する者によって、ねたみや追い落としを目的として意図的に送られてきた可能性も否定できません。
しかし、もし、この匿名FAXの内容が真実であるなら、国民の血税が違法な手段・目的の下、使われてしまった可能性が出てきてしまいます。
そこで、私は、公益に関する重大な問題を含んでいることから、匿名FAXの内容を兼掌するため、A建設関係者を探り当て、独自に取材を行いました。
その結果、私の取材に応じてくれた方(A建設の元部長、匿名FAXで談合の主役と名指しされた元社員等)は、匿名FAXにてA建設が、ある政党地方議員らにゴルフ接待をしていたということは間違いないと回答しました。
しかも、私が取材した元社員は、第一中学校の入札が行われた前の年、現実に、地方議員を接待した経験があり、退職後のことではあるものの、第一中学校の件でも同じように接待が行われても全然不思議ではないと話していました。
さらに、その方は、匿名FAXには指摘はないものの、女性がいるクラブでの接待までも行っていた話していました。
また。別の社員の方の話によると、A建設では民間担当と官公庁担当とが出席する営業会議が月2回程度行われていたとのことでしたが、その営業会議の席上、A建設では従来入札資格の与えられていない工事について、入札どころか、受注されることを前提とした報告がなされていたことがあり、入札すらできないはずなのに、なぜ受注できるのかとすごい違和感を感じたことがあったそうです。
(3) 議員の力
さて、ある政党の議員に対して接待をしたことがどれだけ市の行う入札に効果があるのでしょうか。
もちろん、市の行う入札ですから、入札を担当する市の職員を接待するのが、一番、わかりやすい方法で、効果も一番あると思います。
しかし、いくらなんでも、市の担当職員を建設業者自身が接待することはできません。あまりに目立ちすぎます。
では、ある政党の議員を接待することにより、どんな見返りが期待できるのでしょうか?言うなれば、どの程度、議員が介入できるのかという点について検討します。
まず、今回の入札ですが、入札参加資格は経営事項審査での点数が1100点以上、実績工事6億円というものでした。入札参加資格は武蔵村山市指名選定委員会で決定されます。指名選定委員会は副市長を筆頭に市の部長がメンバーとなっています。今回の入札の時点では副市長が空席であったため総務部長が委員長となっていました。指名選定委員会の議事録及び委員会資料によりますと、従前の入札と比較して、入札参加資格が決められたようでした。
従前の入札参加資格と比較してみましょう。
概算額 経審点数 施工実績
温泉健康施設 6億6千3百万円 1100〜1400 5億円
第一中学校立替工事 9億8千万円 1100〜 6億円
市民総合センター 13億円 1300〜1400 7億円
このように従前の入札参加資格と比較すると、第一中学校立替工事は概算で総額約10億円、建築工事部分は約9億円です。建築工事の入札参加資格は経営事項審査の点数で1200点になるのが自然と思われます。また、従前との比較以外にも、小中一貫校の体育館建設では、予定価格7億5千800万円と第一中学校立替工事より低い予算にも関わらず、1500点以上とされました。不思議な事に、今回の入札参加資格は1100点と、なぜか低く設定されています。
どうしてなのでしょうか?
市からは、なぜ、第一中学校立替工事だけ点数が低く設定されたのか、その合理的理由は未だに開示されません。
つまり、入札参加資格の点数は、入札業者にとっては、生殺与奪に等しい重大な点数であるにもかかわらず、その点数の設定基準自体は明確に存在しないのです。すなわち、基準がない以上、有力政治家の力といった「政治力」の働く余地が大きいということなのです。
影響力のある議員を接待することの意味の一つはここにあるのです。その議員の市役所への影響力を利用して、入札参加資格を自社に有利なように変更するというのが、接待の目的の一つなのです。
なお、入札金額の詳細が書かれている、予定価格等決定調書によりますと、契約課主査、契約課長、総務部長、市長の4人がこの調書の決裁をしています。すなわち、入札前に予定価格や最低制限価格を正確に知ることが出来るのはこの4人だけでした。
有力な議員であれば、誰が決済をしているか知り得ますし、決裁権者に近づくこともできます。
ですので、有力な議員を接待し、その協力が得られれば、さらに、予定価格や最低制限価格でさえも知ることができるのです。
以上、まとめると、ある政党の議員を接待することにより、入札参加資格を自社に有利に変更することも可能ですし、予定価格や最低制限価格さえも知ることができるのです。有力議員を接待する効果は非常に高いのです。
(4) 結論
A建設の元社員が、①有力議員を接待したことがあり、第一中学校の件でも、接待が行われた可能性は高い、②入札資格さえないはずの工事を受注されることを前提に営業会議が進められ(現実に受注でき)たと話していること、③最低制限価格の99.99%相当の金額で入札できていること、④匿名FAXの内容の多くが、元社員の説明と一致していたこと(取材の結果、真実ではなかったFAXもいくつかありました。)、⑤市議会・ブログでの再三の追及にもかかわらず、合理的な理由が一切開示されなかったことなどから総合的に判断すると、今回の入札が偶然の結果であるとはおよそ考えられません。
第一中学校校舎等整備工事(建築工事)は政治家と建設業者の癒着による官製談合の疑いが非常に強いと言わざるをえないのです。
もっとも、私の市議会議員としての使命は、彼らの責任追及ではなく、市行政からの不正の撤廃・無駄の削除、行政の刷新にありますので、彼らに対する責任追及は、司法官憲にゆだねたいと思います。
そして、私は、今後とも、私の使命である武蔵村山市政の改革のため、疑惑の徹底追及を続けて、武蔵村山市民から、政治と行政の信頼回復に努めてゆきたいと考えています。
5 最後に
なお、A建設からは、東京地裁立川支部に対し、ブログの記事の抹消を求める仮処分が申し立てられました。
しかし、裁判所を巻き込んだこのやり方は適切ではないと思います。
私は、大手マスコミでもなければ、著名人でもありません。
私が発するブログ記事は、決して大きな影響力を持つものではありません。
一個人が開設しているブログに過ぎないのですから、その反論があるのであれば、私のブログに反論を出すか、みずからホームページを開設している以上、そこで反論をすればいいと思います。
私は、政治家として、表現の自由を守り、自由で公正な言論活動を、今後も行っていきたいと思います。
A建設も、反論があるのであれば、自由に反論をしていただきたいと思います。自由な言論こそが、この国の発展の基礎を支えているのです。
自由と正義、これこそが私の政治信条であり、今後も、不正が行われているおそれがあれば、おそれることなく、発言をしていく所存です。
なお、本件につきましては、警察から何度か情報提供を求められており、その際、警察としては、談合事件として捜査するつもりであると聞いています。そのため、捜査に悪影響を及ぼすおそれもあるので、実名によるブログの掲載は極力控えてほしいとのご意見をうかがっておりますので、今回、当事者の実名はあえて控えさせていただきました。
以 上
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