政治【主張】安保世論調査 核持ち込み論議も俎上に2011.2.15 02:41

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【主張】
安保世論調査 核持ち込み論議も俎上に

2011.2.15 02:41

 国民の8割以上が北東アジアの核兵器の現状に不安を感じ、政府内や国会での核に関する論議を求めていることが、本紙世論調査で分かった。

 昨今、北朝鮮は核実験や弾道ミサイル発射を重ね、昨年は、訪朝した米科学者にウラン濃縮施設を見せつけた。中国は、国防費の2桁の伸びを21年間も続け、日本を狙った中距離核ミサイルを配備している。

 こうした日本の周辺で深刻化する核の脅威を、国民は敏感に感じ取っているとみられる。

 核を「持たず、作らず、持ち込ませず」の非核三原則について、4割近くが見直しを求めているという調査結果にも注目したい。

 日本は昭和42年、当時の佐藤栄作首相が非核三原則を表明して以降、これを基本政策としてきた。だが、昨年、外務省の調査で、米の核積載艦船の寄港や領海通過の際に核持ち込みを認める「密約」の存在が明らかにされた。米国の核抑止力を有効に機能させ、日本を旧ソ連の核から守るための政治的な知恵だったといえる。

 民主党政権はこれを問題視するのではなく、今後の安全保障政策に役立てるべきだ。特に、三原則の中の「持ち込ませず」については、見直しに向けた論議の俎上(そじょう)に載せる必要がある。北東アジア情勢の激変を踏まえ、米軍の核をどこまで持ち込ませることが可能かを具体的に検討すべき時期だ。

 「核保有」に関する論議も必要である。平成18年、当時の麻生太郎外相が衆院外務委員会で「(核保有の是非を)一つの考え方として議論しておくのも大事だ」と問題提起したが、一部マスコミはこの議論さえも封じようとした。日本は自由な言論の国だ。いかなる議論も封殺してはならない。

 かつての国会では、活発な核論議が行われた。

 昭和31年、鳩山一郎首相は敵基地先制攻撃の可否について、「誘導弾(ミサイル)等による攻撃を防御するのに他に手段がない場合、その基地をたたくことは、自衛の範囲に含まれる」と答弁(代読)した。34年には、岸信介首相が「自衛上の小型の核兵器」の保有は違憲ではないとの政府の立場を示している。

 今は、中国や北朝鮮の核から日本をいかにして守るかが重要な課題である。核論議をタブー視することなく、与野党の活発な国会論戦を期待したい。

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