物価変動を調整した実質国内総生産(GDP)は昨年10~12月期にマイナス成長だった。にもかかわらず株価は堅調で、経営者や投資家の心理はやや好転してきたようだ。
民間と政策当局に共通する期待は、米国やアジアなどの外需主導による景気持ち直しである。「米経済には力強さがみえてきた。中国やアジアはむしろ過熱気味だ」と与謝野馨経済財政担当相はいう。こうした環境を生かした景気の踊り場からの脱却を政府は狙っているのだろう。
2010年暦年では、名目GDPが中国に抜かれ、世界第3位になることが確定した。「隣国の経済発展は歓迎すべきだ」と枝野幸男官房長官は述べたが、これは負け惜しみではなく、新興国の需要に期待する本音とみるべきだろう。
中国には抜かれたものの、日本のGDPはドル表示で5.4兆ドル台。ドイツとは2兆ドル以上の開きがある。新興国の代表選手の一つ、ブラジルは2兆ドル台、ロシアは1.4兆ドル台なので、しばらくは経済規模で世界3位の座にとどまれそうだ。
そんな見通しも手伝って、新興国を中心にした外需頼みのシナリオは経営者にも政策当局者にも心地よいものになっている。だがたいした改革努力もせずに世界3位に安住するとすれば大いに危険だ。
ひとつの懸念は与謝野経財相も指摘する中国などの景気過熱だ。インフレ圧力も強まっており、引き締め政策が経済の急減速を招くようだとリーマン・ショックの際のような外需急減に見舞われる恐れをはらむ。財政・金融政策で支えられている米景気についても油断は禁物だ。
もうひとつは、グローバルな企業間競争の激化だ。高品質の製品で韓国が強力なライバルとして登場したいま、日本は経営と政策両面から対応策を考えなければならない。このままでは、人件費や税負担の違いから、企業が生産や研究開発の拠点を海外に移す流れが続くだろう。
絶え間ない規制緩和や環太平洋経済連携協定(TPP)への参加を含めて、グローバルな競争のなかで勝ち残るための体制づくりは欠かせない。企業経営者や個人の不安心理がいくぶん和らいだ今こそ、企業も政府も次の一手を打ち出したい。
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長期金利(%) | 1.305 | ±0.000 | 15日 17:49 |
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