和歌山

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健やかわかやま:人生設計考え妊娠早めに 加齢は生殖の大敵  /和歌山

 ◇うつのみやレディースクリニック院長に聞く 高齢化で卵子の質低下

 体外受精や顕微授精など日々進化を続ける不妊治療。若者の未婚、晩婚化が進む中で、高齢での出産も可能となっている。しかし医療現場では技術が進歩しても限界はあるという。安全な妊娠や分娩(ぶんべん)のために気を付けることを、うつのみやレディースクリニック(和歌山市)の宇都宮智子院長に聞いた。

 ■高度化する治療

 若年世代のライフスタイルの多様化に伴い、晩婚化と分娩年齢の高齢化が指摘されています。それと共に不妊治療を受ける患者数も増加の一途をたどっています。

 体外受精や顕微授精といった高度な不妊治療の出現により、一昔前なら妊娠が不可能だったカップルでも赤ちゃんを授かることが可能になりました。

 ■30代後半からは

 しかし生殖医療の技術向上を持ってしても、女性の高齢化による卵子の質の低下に対する有効な治療はなく、妊娠を希望する時期にはすでに治療が困難な方も多くみられます。

 男性の精子と違い、卵子は新しく作られません。胎児の時から持っている卵子が排卵されます。排卵できずに失われる卵子が圧倒的に多いため、女性の年齢と共に徐々に減少します。

 30代後半から卵子の減少スピードが加速して、卵子の質も落ち、妊娠率も低下します。高齢妊娠の場合には子の染色体異常や妊娠高血圧症候群などの妊娠合併症の危険性が高まり、異常分娩の割合も増加します。

 安全な妊娠と分娩、子育てをするため、どうしたら不妊を避けられるか気を付けていただきたいことを挙げます。

 ■男性も禁煙節酒

 女性の場合、(1)年1回は婦人科検診(子宮頸(けい)がん・卵巣がん健診)を受ける。20~30代の子宮頸がんが増加しています。卵巣腫瘍や子宮筋腫なども分かります(2)基礎体温表を付ける。排卵の有無がチェックできます。

 男女とも気を付けるべきなのは、(1)たばこをやめる。喫煙は卵巣の寿命を縮め、異常精子が増加します(2)飲酒はほどほどに。過度になると卵巣の寿命を縮め、精子の運動率が低下します(3)適正体重を保つ。太り過ぎ、やせ過ぎは排卵障害につながります。生活習慣病による男性性機能障害も問題です(4)避妊にはコンドームを使う。将来の不妊原因となる性感染症を予防できます(5)加齢は生殖の大敵ということを意識する。パートナーと子どもも含めた人生設計を考え、なるべく早く妊娠してください。

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 ■人物略歴

 ◇うつのみや・ともこ

 宮城県出身。97年県立医大卒。県立医大勤務、2児の出産を経て10年11月に開業。日本生殖医学会認定生殖医療専門医。不妊治療が専門。

毎日新聞 2011年2月11日 地方版

 
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