NHKニューストップへ
※ すべての機能を利用するには、JavaScriptを有効にしてください。

飲酒で事故 同乗者に実刑判決

2月14日 16時35分 twitterでつぶやく(クリックするとNHKサイトを離れます)

3年前、埼玉県熊谷市で飲酒運転が原因で9人が死傷した事故で、運転手と一緒に車に乗っていた2人が、飲酒運転を黙認したなどとして危険運転致死傷のほう助の罪に問われた裁判員裁判で、さいたま地方裁判所は「運転手が正常な運転ができないことを認識していたと認められ、結果も重大だ」として、2人に懲役2年の実刑判決を言い渡しました。

この事故は、3年前の2月、熊谷市で、元トラック運転手の男が酒に酔った状態で乗用車を運転して反対車線の車2台と衝突し、2人が死亡、7人がけがをしたものです。運転手は危険運転致死傷の罪で、すでに懲役16年が確定しています。飲酒運転の車に一緒に乗っていた熊谷市の飲食店手伝い、大島巧被告(48)と、深谷市の無職、関口淳一被告(46)の2人が、運転手が酒を飲んで運転するのを黙認していたなどとして、危険運転致死傷のほう助の罪に問われました。裁判は、6人の裁判員が参加して先月17日から行われ、検察は懲役8年を求刑し、弁護側は「正常な運転が困難だと認識していた証拠はない」などとして無罪を主張していました。14日の判決で、さいたま地方裁判所の田村眞裁判長は「一緒に5時間ほど飲酒し、運転手が正常な運転ができないことを被告らが認識していたと認められる。その状態でドライブするのを運転手が提案したのに対し、それぞれ顔を縦に振ってうなずいたり、『そうしようか』と答えて了解した」と指摘しました。そのうえで、「運転手は、会社の先輩である2人の了解で、運転する意思をより強くしたと考えられ、犯行を容易にしたと言える。事故の結果も重大だ」と述べて、2人に懲役2年の実刑判決を言い渡しました。裁判員裁判で、飲酒運転の同乗者に危険運転致死傷のほう助の罪が認められたのは全国で初めてです。判決のあと、事故で両親を失った小沢克則さんと樹里さん夫妻が記者会見しました。この中で、小沢さんは「同乗者が実刑になったことで、父や母のように被害に遭う人が少しでも減ることを期待したい」と感想を述べました。樹里さんは「実刑ということで評価したいが、2年という量刑は、あまりに少なく、私たちの気持ちが反映されていない」と述べたうえで、「今回の裁判をきっかけに飲酒運転をさせた同乗者への罰則が厳しくなることを期待したい。飲酒を許す周りの環境を変えることが、飲酒運転をさせない環境作りにつながると思う」と話していました。一方、被告の弁護士は記者会見で、当初は証拠として採用してなかった、車内でのやり取りなど捜査段階での被告の供述調書を、裁判所が証拠として採用したことに触れ、「裁判の途中で証拠として採用したことには大きな問題がある。有罪にできそうな証拠をあとから持ってきた裁判所の対応は不公平で、判決は不当だ」と述べました。そのうえで、「飲酒運転を憎む気持ちは同じだが、あやふやな証拠で有罪にしてはならず、控訴する方向で検討したい」と話しました。