廃道LOVE
放送予定
熱中スタジアム
[BS2]
2011年2月11日(金)
午後10:00〜午後10:59
[BShi]
2011年2月10日(木)
午後7:00〜午後7:59
[再放送]
[BS2]
2011年2月14日(月)
午後8:00〜午後8:59
[BShi]
2011年2月16日(水)
午前0:00〜午前0:59
熱中人
[BS2]
2011年2月12日(土)
午前7:30〜午前7:45
[BShi]
2011年2月22日(火)
午後7:45〜午後8:00
[再放送]
[BS2]
2011年2月12日(土)
午後6:40〜午後6:55
廃道LOVE・石井あつこさん


廃道は切ない


これはこれは、お嬢様。こんな山の中で一
体何をなさっているの?
「廃道歩きはやめられない。」
何ですか、廃道歩きって?
廃道とは、もう人が通らなくなった道のこ
と。5年前に偶然この渋〜いトンネルに出
会ったのが熱中のきっかけ。以来、暇さえ
あれば車を飛ばして廃道めぐり。

これまでに全国50ヵ所以上の廃道を歩きました。お嬢様によれば、人に捨てられ
た道は切ない。胸がキュンとなるんだそうです。
なんだか本気で恋しちゃってるお嬢様の廃道LOVE。はじまりはじまり!

まずはお嬢さまのご自宅。今日も今日とて恋人探し。
好きな男もいるにはいたけれど、最近の恋は廃道専門。


地形図から探す


彼女お茶しない?なんて、廃道から声がか
かるわけもないので、いつもお嬢様からア
プローチ。まずは地形図でお相手探し。
いろんな地図記号の間に、廃道の王子様が
眠ってるんだって。試しに1人、寝た子を
起こしてしんぜましょう。明治の地形図で
は、太い実線になっていたこの道路、今の
地図ではか細い点線に…。

廃道の王子様は、こういうところに隠れていらっしゃる。
「いいですね、これはちょっと楽しそうな道ですね!」
お嬢様の心を捕らえたのは、群馬県沼田市白沢町の峠道。実はここ、ただの廃道
じゃない。お好きな人にはたまらない、レアなお宝つきなんだとか。
お嬢様、普段は会社で事務のお仕事。廃道デートは土日の楽しみ!
群馬県沼田市まで車で3時間。まず訪れたのは、地元のお役所でした。


明治の隧道(ずいどう)


「数坂峠について調べてる女性の方がお見
えなんですけど…。」(役所の人)
「数坂峠の8、9合目ぐらいかね、トンネ
ルを掘ったんですよね。」(男性1)
「明治26年かな」(男性2)
明治のトンネル!?お好きな人にはたまら
ないお宝って、ひょっとして…?
しかしお嬢様冷静に、

「隧道(トンネル)を掘るってことは、車輪が付いたものが通るっていうのを前提
にしていると思うので…。村誌の記載に、“26年に造り始めて、27年に8割方
できたけれど、何らかの理由で崩れてしまい、開通には至らなかった”という記載
が残っていまして。」
「実質的には始めただけで、その隧道は完成してない。」(男性2)
「今も形は残っているんですけど…。」(男性1)


馬車が通っていた証拠


本格的なトンネル工事まで行われた栄光の
廃道。ガードレールの奥が入り口なんだそ
うです。では幻のトンネルを目指していざ
出発!
「本当に、どんなところでも宝物を探して
いる気分ですね。」
おっとこれは!
かつてここが道として使われていた証。

これ、馬頭観音ですよね。坂道から滑り落ちて犠牲になったお馬さんを供養する石
碑。ここを荷運びの馬車が通っていた証拠でございます。
数坂峠まではどこまでもきつい登り坂。と思ったらお嬢様、どうなされた?
「ウソでしょ?ここ下りるの!?」(スタッフ)
谷底に何か気になるものを見つけた様子。しばらく進むと…なるほど、何か緑色の
ものが。これ、よ〜く見ると人が切り出した石ですねぇ。


幻の数坂隧道、発見!


「これはおそらく隧道に組み込まれるはず
だった石じゃないかなって思います。」
さすがお嬢様、幻のトンネルの手がかりを
めざとく発見。さらに歩くこと30分ばか
り。「あそこに!」
お嬢様が確信に満ちて指差すその先に…。
「やっばいですね!数坂隧道、めちゃめ
ちゃカッコよくないですか?

これに会いたかったんですよ。」
明治26年、工事を始めたものの、完成することなく放棄された数坂隧道。
今は通る者もいない廃道の奥に眠っていました。
「明治27年9月…、月までは形が残ってますね。これ、キーストーン。
この辺は自然な感じだな、ここも一緒かなと思っていたら、こういうカットで。
あーもう、かわいいですね!」


抱きしめたい


「中は埋まっちゃって、山がどんと落ち込
んじゃって跡形もないですね。この往事の
姿をとどめて踏ん張ってたんですよ、ここ
で。崩れないよって。抱きしめられないけ
ど、抱きしめたい気持ちです。」
明治の文明開化の余韻が残るモダンな作り
の王子様。眠りについて百有余年、本日こ
こにお嬢様によって起こされました。

さて、東京に戻ったお嬢様。この日はばっちりキメて、行く手は国土地理院。次の
お相手探しですな。廃道探しに必要なのは、昔の地形図。今の地形図と見比べてい
るうちに、1日終わってしまうこともしょっちゅう。
「今の地形図は、道どころかオールガケみたいになってるところが…。」
次のお相手は福島県会津若松近くの旧国道252号線。
昭和40年代まで現役の国道でした。


消えゆく国道


険しいガケから落石がひどく、地元の人が
何度も補強工事をしてきました。昭和46
年、駒啼瀬(こまなかせ)峠を貫通するトン
ネルが開通。そちらが新しい国道になり、
旧道はだんだんと忘れられていったという
わけです。
そんな話を聞いたら、お嬢様じっとしてら
れません。

王子様がまだ道であるうちに、一目会っておきたいわ!なんて思っちゃうわけでご
ざいます。
では、消えゆく国道探検へ出発!
「あーなんかもう、たまんないですよね。ここが国道だったんですよ。」
この道、今は危険なので人が1人歩くにも特別な許可が必要。かつては車がたくさ
ん通った国道だったなんて、信じられませんねぇ。


通行止めの標識


歩き始めていきなり出会ったのは、苦難の
歴史。
「通行止めの標識ですね。これ結構レアな
んですよ。道ってそもそも通るためにある
のに、そこに通行止めの標識立てたら道
じゃないじゃん!ってなるので、あんまり
通行止めの標識ってないんですけど。」
う〜ん、道ってなんなんだろう。

「ガードレールも出てきましたね。ガードレールがあるってことは、やはりしっか
り使われてた道だなっていうのを感じますよね。」
この道、車走ってたんですね。
「ああ、いいですねぇ。スゴイいい!」
もう人が立ち入ることができない、かつての国道の悲しくも美しいお姿。
この断がいの道で、王子様が戦い続けた相手も見ることができました。


愛してるよ!!


「落石多いよ。―うん、そうだねって感じ
しませんか。」
王子様、よく頑張った!
「ここが川井新道という名の国道で、ここ
に道を作った人がいるんです。それを守っ
た人がいるんですよ。その事実を知ってい
るだけで、ここのありがたみっていうのが
すごくわかりますよね。」

道は人が作ったもの。お嬢様が愛してやまないのは、つまり、その道に込められた
人の営みなのでございます。
「国道の証っていうのを1つ1つ見つけていくということが本当に楽しくて。
この道は廃道っていってもまだ死んでないんだなって、本当にそう思いますね。
もう全身全霊を込めて、愛してるよって言いたいです!」
愛しちゃってください!
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プロフィール
廃道LOVE
石井あつこさん
石井あつこさん
廃道を心から愛し、地形図から探し出して廃道歩きを楽しむ。
全国50ヵ所以上の廃道を歩いた。