「病院で治療中にハッチが息を引き取った」と妻から突然、電話があった。ハッチは飼い猫。この1週間、体調を崩して24時間態勢で面倒を見ていたため、覚悟はしていたが、すっと力が抜けた。
彼は8年前、自宅のフェンスを乗り越えて庭に入ってきた。「みなしごハッチ」から名前を付けた。それ以前からいる猫と相性が合わず、前庭に犬小屋を置いて飼っていた。
私が帰宅すると、いち早く出迎え、散歩にも付き合ってくれた。最初に病院で治療した時、私の手をがぶりとかんだ。指から血が流れたが、彼も本当に痛かったのだろう。「ごめんねハッチ。苦しい思いをさせて」(山本)
毎日新聞 2011年2月15日 地方版