教育

文字サイズ変更

妊娠:日本の知識、最低水準 「子ども欲しい」も低く

 日本人の妊娠に対する知識が、国際的にみて低い水準であることが、英カーディフ大などの調査で分かった。「子どもが欲しい」という欲求が低い傾向も明らかになった。調査責任者のジャッキー・ボイバン教授は「知識不足や育児への負担感が、日本の出生率の低さにつながっている可能性がある」と分析している。

 調査は、同大が製薬会社メルクセローノと共同で、欧米、中国など計18カ国の男女1万人(平均年齢31.8歳)を対象にインターネットで実施。日本人は481人が協力した。妊娠や不妊に関する国際調査では最大規模という。

 妊娠に関する知識を〇×で答える質問(13問)の正答率は、日本人女性が35.8%と、最下位のトルコに次ぐ18カ国中17位。男性も37.4%でトルコ、中国に次いで低かった。

 「健康的な生活を送っていれば妊娠できる」という考えが誤りだと正しく答えられた日本人は28.7%で、英国(90.7%)やオーストラリア(89.3%)の3分の1程度にとどまり、喫煙や性感染症への感染、女性の肥満や加齢が妊娠・生殖能力を低下させることなどへの認識も低かった。

 生殖に関する意識を各国で比較したところ、日本人は「子どもを持ちたい」という欲求や必要性が際立って低く、育児への負担感を強く感じている傾向が出た。特に女性の負担感が男性を大きく上回った。

 不妊女性の意識に詳しい森明子・聖路加看護大教授(母性看護・助産学)は「日本では生殖の仕組みや、女性の加齢に伴う体の変化について、学校でほとんど教えていない。それらの知識は、自分の健康を守り人生を設計していくうえで不可欠。性教育のカリキュラムをしっかり組み、それを担う人材も育成すべきだ」と指摘する。【須田桃子】

◆妊娠に関する知識の国別順位◆

順位 男性       女性  

1 デンマーク   ニュージーランド

2 ポルトガル   オーストラリア

3 オーストラリア 英国     

4 英国      ポルトガル  

5 ドイツ     デンマーク  

6 カナダ     カナダ    

7 スペイン    米国     

8 米国      フランス   

9 フランス    スペイン   

10 メキシコ    ドイツ    

11 ニュージーランド メキシコ   

12 ブラジル    イタリア   

13 イタリア    ブラジル   

14 インド     ロシア    

15 ロシア     インド    

16 日本      中国     

17 中国      日本     

18 トルコ     トルコ    

※研究チームのデータに基づき作成

毎日新聞 2011年2月14日 21時33分(最終更新 2月14日 23時23分)

 

PR

おすすめ情報

注目ブランド

毎日jp共同企画