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【私説・論説室から】

「革命」は心配無用?

2011年2月9日

 北アフリカのチュニジアに端を発し、中東全域で続く新たな民主革命のうねりが世界をゆるがしている。反政府デモの波は、東欧革命を経験しなかった旧ユーゴのセルビアにまで到達しており、強権体質が指摘されるロシアなど旧ソ連諸国の指導者も、心中穏やかではいられないだろう。

 ロシアはG8(主要国首脳会議)の一員だが「フリーダムハウス」などの評価では政治的権利の水準は独裁体制のエジプトと同レベルだ。汚職の度合いや報道の自由になると、エジプトをも下回り、世界でも最低水準である。変革が起こる潜在的条件は揃(そろ)っているようにみえる。

 しかしことはそう単純ではない。クレムリンはウクライナの「オレンジ革命」のような大衆行動がロシアに波及した場合に備え手を打ってきた。民族派青年組織を使って反政権派の街頭行動を妨害。エリツィン大統領時代に第一副首相を務めた民主派指導者ネムツォフ氏は先月、モスクワで小規模な集会を開いただけで、即拘束された。

 先月下旬の空港テロの心理的影響も大きい。政権は治安強化を口実に再来年の大統領選挙に向け、締め付けをさらに強めるだろう。長期独裁政権の終焉(しゅうえん)が確実になったエジプトとは逆にロシアでは、「強い指導者」プーチン氏を大統領に復帰させ、長期政権を求める運動が、早ければ年内中に始まる可能性もある。 (常盤伸)

 

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