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都知事選:「築地」移転が前哨戦に 民主、対決姿勢強める

 石原慎太郎東京都知事(78)の去就が焦点となる中、定例都議会での築地市場移転を巡る攻防が、知事選の「前哨戦」として注目を集めている。知事野党ながら最大会派の民主は、移転を進めようとする知事との対決姿勢を鮮明にしており、関連予算案について否決を視野に、削減や減額といった修正を求める方針だ。「築地」は都知事選の争点の一つになる公算が大きく、知事の進退判断にも影響を与えそうだ。【石川隆宣、真野森作】

 3月11日までの会期中、11年度一般会計予算案や中央卸売市場会計予算案などが審議される。288億円余の市場会計予算案には、設計費など築地市場移転を前提にした21億円が盛り込まれている。

 「移転以外の選択肢はない」とする知事に対し、民主は「強引な移転には反対」と主張。1年前も移転関連の予算案を巡って紛糾したが、移転せずに築地で建て替えられないかを議会で検討する付帯決議をすることで、民主も賛成に転じた。

 昨春以降、議会は付帯決議に基づいて議論してきたが結論が出ず、知事は昨年10月「歯車を動かす」と予算執行に踏み切ることを宣言した。

 民主では「築地の将来は、民意を得た次の知事が決めればよい」との意見が有力。このため予算特別委で市場予算案の修正を求め、認められなければ本会議で否決する構えだ。市場は光熱費も支出できずに機能不全に陥る恐れがあるが、民主は「責任は行政にある」と強気だ。

 知事与党の自民、公明は「付帯決議で約束した議論は本来、昨夏までのはずだった。民主が再び移転関連予算案に反対するのは全く筋が通らない。築地を政争の具にしている」と批判する。

 強気の民主だが、現段階で肝心の都知事候補を決められない状況だ。「予算案に反対する重みは決して小さくない。戦いの構図が決まらない中、どこまで突っ張れるか」(民主都議)との声もある。

毎日新聞 2011年2月15日 2時30分

 

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