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[ライフ]ニュース
【児童養護施設の現場から】(4)「負の連鎖」遮断 目標達成に進学を提言
2011.2.15 07:37
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進学先を決めるにあたって兵藤さんは当初、私立の短大を考えた。しかし、青松さんから「寮費も安く、生活レベルが同じ友人がいる学校を選んだほうがいい」とアドバイスを受け、公立短大を目標に据えた。「ここしか自分の行ける学校はない」。目標が明確になったおかげで、兵藤さんは食事とトイレ以外は受験勉強に集中。努力が実り、合格を手にした。
しかし、児童養護施設出身者の多くが、兵藤さんのように夢を持てているわけではない。たまたま兵藤さんには「頑張る力」があったが、親との関係性に疲れ、気力さえ失い、まともに就職すらできず、その日暮らしから抜け出せない子供は多い。
「かつての児童養護施設は『衣食住に困らなければいい』程度で良かった。でも今は違う。一人一人の子供が大人になって日の当たる人生を歩けるまで支援していくには、もっと手厚い職員数が必要。今は決してそういう現状ではない」。青松さんは唇をかんだ。=おわり(村島有紀、清水麻子が担当しました)
◇
大学等進学率は13%
原則として18歳未満の子供が居住する児童養護施設は、20歳になるまで「措置延長」が認められている。そのため、進学先や就職先が決まるなど自立のめどが立つまで施設で暮らすことが多い。
しかし、卒園後の進路は厳しい。厚生労働省が平成21年度末に高校を卒業した児童養護施設出身者の大学等への進学率を調べたところ、13%で、一般の高校生の54・3%を大幅に下回った。長引く不況で、就職したくてもできない問題も指摘されている。
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