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特別展 ワイドビューの幕末絵師 貞秀
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  2010年(平成22)12月11日(土)〜2011年(平成23)2月13日(日) (51日間)
 午前10時から午後5時まで(入館は午後4時30分まで)
 金曜日は午後7時まで開館 (入館は午後6時30分まで)

  ※休館日:月曜日  ※ただし、1月10日(月)は開館
       年末年始(12月29日(水)〜1月3日(月))、1月11日(火)

    会場の神戸市立博物館の所在・交通


 幕末浮世絵の巨匠・五雲亭貞秀(ごうんていさだひで)は、天保年間(1830-44) から武者絵などの描き手として頭角をあらわします。歌川国芳に私淑し、西洋製版画を多く所持していた貞秀は、濃密で写実的な作風で評判となりました。
 国芳亡き後、貞秀は浮世絵界を代表する絵師に躍り出ます。特に彼が得意としたのは、3枚以上の木版画を連続させて構成する横長大画面の作品で、しかもその題材のレパートリーは、従来の浮世絵師の枠組みを越えるものでした。その代表的な題材が、ペリー来航を経て、急きょ建設された国際都市「横浜」です。外国人住居が軒を並べる街角、行き交う人々や船舶の様子、はるか上空から街全体を見渡す鳥瞰図、外国人たちの生活に密着した風俗図などを、貞秀は膨大な数のワイドビューの錦絵として描いていきます。
 貞秀によるワイドビューの作品としては、日本各地の風景を超広角に描いた多くの鳥瞰図が想起されます。なかには現在の神戸市域を描く作品もあります。さらに「橋本玉蘭斎」の名で、江戸図・国絵図・世界地図なども多く手がけ、地図製作者としても活躍しました。
 激動の幕末期を圧倒的な表現力と博識で駆け抜けた浮世絵師・貞秀。表情豊かな人物画からダイナミックな鳥瞰図まで、そのワイドレンジな活動の全般を紹介します。本展覧会では貞秀による錦絵約130 点の他に、その影響を受けたと思われる「大正の広重」吉田初三郎の鳥瞰図も併せて紹介いたします。

★展覧会内容★

本展覧会の出品目録
※期間中作品の展示替えの予定はありません。

1.絵師貞秀

 歌川国貞の門下として絵師の道を歩み始めた貞秀。しかし実際の彼の作風は、歌川国芳の奇矯(ききょう)な表現から感化されたものも少なくありません。そのレパートリーは、武者絵から風景画、異国人風俗図や時事的画題まで、多岐にわたります。
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五雲亭貞秀《宇治川先陣争図 》
文久元年(1861)
源義仲と源範頼(のりより)・義経の軍勢が衝突した、宇治川の戦い。佐々木高綱と梶原景季(かげすえ)の「宇治川の先陣争い」の場面です。雨のように降り注ぐ矢の中を、画面から飛び出すかのように佐々木高綱が奮戦する様子が描かれています。この絵が出版された文久元年(1861)に歌川国芳は亡くなりますが、その最盛期の武者絵にも劣らぬ迫力が伝わってきます。

2.横浜誕生

 世界の主要都市の中でも、その誕生と急成長のありさまが、克明なイメージとして記録されたところは多くありません。安政6年(1859)に開港した横浜は、この街の魅力にとりつかれた貞秀によるワイドビューの錦絵によって、草創期の様子を多角的・立体的に理解することができます。
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五雲亭貞秀《再改横浜風景》(外国人居留地を描く左半分)
 文久元年(1861)
 貞秀は万延元年(1860)前後に、横浜の街をあらゆる角度・高度から見下ろす鳥瞰図をたて続けに描いています。現在の山下公園の沖合上空から、外国人居留地を間近に描くのと同時に、その東側に連なる日本人町や、堀を隔てて接する横浜村の様子まで克明に描いています。空飛ぶ魚眼レンズというべき視点が見渡す、ワイドビュー鳥瞰図の白眉です。

3.港につどう人々

 横浜に対する貞秀のワイドビューは、鳥瞰図として都市全体を見渡すマクロなものばかりではなく、ここに暮らす人々の活動を人間の目線で描くミクロな視野も兼ね備えていました。写実的で躍動感あふれる人物表現が、草創期横浜の活気を今に伝えます。
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五雲亭貞秀《横浜商館真図》 
文久元年(1861)
 西洋人の親子と日本人女性が羽根つきを楽しんでいます。正月の初商いの風景でしょうか。後方では日本人と中国人が身振り手振りで交渉したり、西洋人の男性が生糸の在庫を確かめていたり、横浜のとある商館の喧騒が伝わってきそうです。画面の上方には、日本語と、オランダ語・英語を対照した単語表が掲げられています。

4.富士山と地図

 貞秀は富士山が好きで、登山し頂上に立ちます。眼下に広がる眺望は、貞秀にワイド画面の風景画を描くヒントを与えました。貞秀は地理学や地図学に造詣も深く、多くの作品を残しています。貞秀の描いた富士山の図と、世界図や日本図、北海道図などを紹介します。
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五雲亭貞秀《箱根山富士見平御遊覧諸所遠景之図》
文久元年(1861)
 “天下の険”箱根山の峠を越え、駿河湾へと下る途中に富士眺望の名所「富士見平」があります。そこから眺めた富士山と雄大に広がる裾野、三島から由井にかけての東海道、田子の浦など望む駿河湾沿岸一帯の風景が、見事にまとめ描かれています。

5.街道を翔ぶ 日本各地を描く

 貞秀は江戸を発し、東海道を西へ、伊勢や京・大坂をめぐります。さらには中国・四国、そして九州の長崎までの大旅行をして、各地の名所・風景を克明にスケッチしました。貞秀作品の中に、幕末日本の風景が見事に描き残されているのです。
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五雲亭貞秀《肥前長崎丸山廓中之風景 肥前崎陽玉浦風景之図》(部分、左3枚)
 文久2年(1862)
 長崎の丸山遊郭「花月楼」から長崎の街と出島、長崎湾を一望に見下ろした図。江戸の吉原にも引けをとらない丸山の賑わいと、坂の多い長崎の地形の特色がよく伝わってきます。長崎は、江戸住まいの貞秀が旅した最南端の地です。

6.旅行ブームと初三郎鳥瞰図

 貞秀は地図の正確さと情報にくわえて、絵の美しさでその場所を判りやすく描いています。これは「大正の広重」こと吉田初三郎(1884〜1955)にも通じます。大正から昭和の時代、日本全土を鉄道網がおおい旅行ブームがおこり、それに応えて初三郎は数多くの名所案内図を作成します。初三郎の鳥瞰図は科学的な地図とはいえませんが、見る人には不思議とその場所の特徴が伝わり人気を博しました。貞秀を引き継ぐ初三郎鳥瞰図を紹介します。
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吉田初三郎《大神戸市を中心とせる名所鳥瞰図絵(神戸三ノ宮部分)》
 昭和5年(1930)
 昭和5年の観艦式と海港博覧会にあわせて発行された神戸鳥瞰図。翌年に貫通する鉄道高架線が神戸発展のシンボルとして描かれています。東亜ホテルや神戸タワー、大倉山の伊藤博文銅像など、その時の神戸市街地が精密に記録されています。




【主 催】
  神戸市立博物館、日本経済新聞社

【後 援】
  NHK神戸放送局

【協 賛】
  伊藤文化財団

同時開催の展示

  企画展 江戸時代の日本図・中国図

  ギャラリー 生誕110年 別車博資展(1月16日まで)
  ギャラリー 生誕110年 春村ただを展 1月18日(火)〜3月6日(日)

★入館料(常設展示・同時開催企画展等も合わせてご覧いただけます。)


当日券 団体券(30名以上)
一 般 500 円 400 円
高校・大学生 350円 250円
小・中学生 200円 100円

※神戸市および隣接6市1町、淡路3市、鳴門市、徳島市の小・中学生はのびのびパスポート提示で無料
※65歳以上は市すこやかカード(老人福祉手帳)提示で半額。障害のある人は身体障害者手帳・療育手帳などの提示で無料。

★関連イベント★

1.学芸員による展覧会解説会

日 時:12月11日(土)・1月22日(土)・2月5日(土)
    それぞれ午後2時から
参加費:無料 【ただし、入館券が必要】

2.インフォメーションスタッフによる作品解説

会期中の毎日、午前11時と午後1時より約20分
※聴講無料(ただし、本展観覧券が必要です。)

3.こうべ歴史たんけん隊

★★内容など、詳しくはこちらをご覧ください。
神戸市内の歴史的な場所をバスで探検します。
日 時:1月29日(土)午前10時〜午後4時
対 象:小学4年生〜中学生(30名)とその保護者
    保護者はオリエンテーションに参加できますが、バスツアーには随行できません。
参加費:無料 【ただし、保護者は入館券が必要】
応募方法:往復はがきに、参加希望のこどもの氏名・学校名・学年・保護者氏名・住所・
電話番号・返信用住所宛名(「様」と記入してください)を記入の上、神戸市立博
物館「こうべ歴史たんけん隊」係までお送りください。1枚のはがきで3名まで
申込み可。
締 切:1月15日(土)

4.親子で楽しむ 古地図ワークショップ

日 時:12月18日(土)・1月8日(土)・1月22日(土)・2月12日(土)
    いずれも午後2時から
対 象:中学生以下のこどもとその保護者(各回15名)
参加費:無料 【ただし、入館券が必要】
参加方法:当日、先着順


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