1992年に千葉県東金市で産声を上げ、経営情報学部と人文学部(現在の国際人文学部)の2学部でスタートした城西国際大学(JIU)は、いまや7学部8学科そして大学院や留学生別科などを擁する総合大学へと飛躍しました。2011年には、開学20周年という大きな節目を迎えることになります。
同時にこの新しいステージでは、国際的に環境保全やエネルギー・資源、食糧さらには地域間対立や格差など、さまざまな問題をはらんだ激動の様相を強めているだけに、若者が世界を舞台としていかに生き抜き、かつ行動し、活躍し、貢献していくという真の人材づくりに、大学が英知を結集していく必要があります。
なぜならその取り組みを着実に結実させ、成果を生み出すことこそが、過酷な市場争奪戦を繰り広げる世界の中でわが国の存在感を高め、対外交渉力を持つ知的パワーを創出する源泉となるからです。
JIUの建学の精神は「学問による人間形成」です。この理念は、JIUを運営する学校法人城西大学を創立した故 水田三喜男先生が、1965年に世に問うた政治家であり、教育者としての声でした。
私は1961年に旧大蔵省(現在の財務省)に入省し、その後1980年に衆議院議員となり、そして政界を引退して2010年4月に城西国際大学学長に就任しました。その大蔵省入省当時に大蔵大臣の職にあったのが水田先生でした。すでに蔵相として幾度となく再任を重ねてこられ、戦後日本を復興させてきた経済・財政通の重鎮で、世界を舞台に行動する大政治家でした。
水田先生の真の世界観、分析・交渉・決断力を発揮されたのが1971年の円の切り上げ、いわゆる米ワシントンで行われたスミソニアン会議でした。私は当時ニューヨーク領事としての在米勤務で、世界の主要な財務相を前に繰り広げられた先生の不退転の決意を目の当たりにし、感動とともに強烈な刺激を受けました。
今日の国際社会は、先生が活躍した時代を大きく超越して、より地球規模でかつ混迷の度合いを深めています。JIUはこのような文明の岐路に立つ世界的な変革期の中で、本学が築き上げてきた知のネットワークや多様な文化を共有しあうコミュニケーション力を最大限に活用して、新時代をけん引する人材育成に全力を挙げて取り組んでまいります。
その際、私はJIUがローカルかつインターナショナルな総合大学であるとの視点から、地元に根を確かに下ろし、また視野は世界に開くという姿勢で、学生たちと真正面から向き合っていきたいと思います。