＜目黒夫婦殺傷＞「韓国の娘の治療費」容疑者供述

　東京都目黒区上目黒３、無職、大原道夫さん（８７）夫妻殺傷事件で、殺人容疑などで逮捕された福島県いわき市常磐西郷町、自称無職、木村義昭容疑者（６５）が警視庁目黒署捜査本部の調べに「韓国で入院中の難病の娘にかかる費用が必要だった」と供述していることが分かった。金目当てという動機の内容が明らかになるのは初めてだが、木村容疑者の２人の娘は国内におり、捜査本部は渡航目的を調べるため、捜査員を韓国に派遣することを検討している。

　捜査本部によると、木村容疑者は２月１０日午後１時１０分に福島空港を出発する韓国・仁川行きの便を予約。昼前に自宅を車で離れたが、行動確認中の捜査員に空港近くで任意同行を求められ、逮捕された。韓国への複数回の渡航歴があったという。

　◇娘２人は国内に

　木村容疑者の家族のうち妻と次女は同居。長女は国内に嫁いでおり、供述の裏付けは取れていない。韓国に関係者がいる可能性もあるという。

　木村容疑者は昨秋に知人から「娘の入院費用が必要」と約３００万円の借金をしていた。逮捕直前にも同じ知人から借金をしたことも新たに判明したという。捜査本部は韓国への渡航費用に充てようとした可能性があるとみている。

　一方、木村容疑者の自宅近くのホームセンターで、事件に使われたのと同じナイフ（刃渡り約１２センチ）が販売されていたことも分かった。事件直前の１月上旬には店の防犯カメラに木村容疑者と似た特徴の男が映り、販売記録も残っていた。捜査本部は地元でナイフを準備したとみている。

　木村容疑者は、０３年から個人で産業廃棄物処理を仲介する仕事をしていたが、約１年前からほとんど仕事がなく、最近は年金で生活していたとみられている。【山本太一、内橋寿明、小泉大士】

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