大邱地下鉄放火:遺骨を無断改葬、誰が何のために!?(下)
市立墓地などに埋葬された遺骨30柱、「安全テーマパーク」内に改葬
しかし、同会の委員長が名指しした遺族は、まったく違う証言をした。委員長が自分だけ非難を免れるため、うそをついているという。この遺族は「わたしをはじめ、安全テーマパークに遺骨を改葬するよう主張した一部の遺族と(犠牲者対策委員会)委員長は、2009年10月26日の夜12時ごろ、寺院や市立墓地に埋葬していた一部の遺骨を(安全)テーマパークの庭に埋めた。委員長と一部の遺族が一緒になり、見張りをしたり、穴を掘ったりして、遺骨を移した。自分一人でやったことではない」と話した。
これが事実だとすれば、安全テーマパークに遺骨を改葬した理由は何なのか。犠牲者対策委員会と対立関係にある地下鉄放火事件のもう一つの遺族団体「2・18遺族会」側は「犠牲者対策委員会の委員長は以前から、遺族に対し『テーマパークに遺骨を埋め、聖地のような役割を持たせよう』と主張していた」と話した。だが、商店繁栄会などが反対するなど、障害に直面したため、ひそかに改葬を実行したというわけだ。
2・18遺族会の関係者は「犠牲者対策委員会の委員長は、集まった基金などの中から500万ウォン(約37万円)の月給を受け取っている。地位を守るため、犠牲者を利用しており、そのために遺骨の改葬をたくらんだという疑惑がある」と語った。地下鉄放火事件の直後に集まった国民からの募金や政府の支援金の使途をめぐり、遺族団体が骨肉の争いを繰り広げている、という話もある。
大邱東部警察署は、遺骨の改葬の際に現場にいた遺族らを呼び、誰が改葬を主導したのか突き止めようとしたが、ほとんどの遺族は事情聴取に応じず、捜査は難航を極めているという。
今回の捜査が終結し、改葬を主導した人物が検挙されれば、区役所は「改葬命令」を下すことができる。同命令を下せば、遺族らは安全テーマパークの構内に埋葬した遺骨を、最初に埋葬した場所に戻さなければならない。地下鉄放火事件の犠牲者に関する業務を担当する大邱市建設防災局の関係者は「事件発生から早くも8年がたつが、いまだに事件に関する部署が存在しているほど、解決が難しい問題が多い。間もなく行われる追悼集会も、二つの遺族団体が別々に行うことになっており、苦々しい思いだ」と話した。
大邱=尹柱憲(ユン・ジュホン)記者