KTX脱線事故:ナットの緩みに無連絡、人災濃厚に(上)

 11日に光明駅(京畿道光明市)で起きた韓国高速鉄道(KTX)の脱線事故は、車両の欠陥ではなく、線路のポイントを適切に修理せず、誤った調整を行ったことで発生した人災の可能性が高まった。

 KORAILの職員は修理を誤ったばかりか、修理結果を管制センターに連絡していなかった。国土海洋部(省に相当)は、保守業者とKORAILの職員、管制センターなどのミスが重なり、脱線事故が起きたと推定している。こうしたあきれたミスが重なり、あわや大惨事を招くところだった。

(1)ナットの取り付け不良

 11日午前1時半から4時半の間に線路のポイント整備を担当する業者は、光明駅のポイントのコントロールボックスで老朽化したケーブルを交換する作業を行った。国土海洋部によると、この業者は修理中にナット1個を取り付ける際、しっかりと締めていなかった。直径約7ミリのナットが事故のきっかけとなった。ナットが緩んでいたため、ポイントが作動するたびに警告信号が出た。

(2)現場職員、「直進」に設定

 管制センターからエラーが頻繁に出るという連絡を受けたKORAIL関係者は、午前7時半ごろに光明駅の現場でポイントの点検を行ったが、原因を究明できなかった。ポイントにはさまざまな装置が複雑に設置されており、短時間では原因が分からなかったという。このため、同関係者はポイント修理を後回しにし、ポイントを「直進」のみ可能に設定した。国土海洋部の関係者は「光明駅に入線する大半の列車が直進するため、問題はないと判断したようだ」と説明した。

 事故を起こしたKTX車両は、釜山から光明駅に到着後、光明駅で乗客を乗せ、再び釜山に引き返すため、ポイントを右側線路に切り替えようとした。しかし、ポイントが「直進」に設定されている状況で、右側線路に入ろうとしたため、列車が脱線したという。機関車を含む前4両は、慣性で線路上にとどまったが、5両目から後ろの6両は脱線した。同日朝にポイントが「直進」に設定されて以降、光明駅でポイントを切り替えようとしたのは、事故を起こした列車が初めてだった。

KORAIL関係者が13日、ソウル駅近くのポイントを点検して戻る様子。ポイントの操作ミスが今回の光明駅でのKTX脱線事故の原因とみられることが、国土海洋部の調べで明らかになった。/写真=李泰景(イ・テギョン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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