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埼玉の飲酒運転死亡事故 同乗者に実刑 裁判員裁判判決

2011年2月14日13時22分

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写真:判決を前に、思いを語る遺族の小沢克則さん(左)と妻の樹里さん=14日午前10時40分、さいたま市のさいたま地裁、遠藤啓生撮影拡大判決を前に、思いを語る遺族の小沢克則さん(左)と妻の樹里さん=14日午前10時40分、さいたま市のさいたま地裁、遠藤啓生撮影

 泥酔した運転者の車が計9人を死傷させた交通事故で、危険運転致死傷の幇助(ほうじょ)の罪に問われた同乗者2人に対する裁判員裁判の判決が14日、さいたま地裁であり、田村真裁判長は大島巧被告(48)、関口淳一被告(46)の2人にそれぞれ懲役2年の実刑判決(ともに求刑懲役8年)を言い渡した。弁護側は控訴する方針。

 さいたま地検によると、同罪に問われた飲酒運転の同乗者の裁判員裁判は全国初だった。飲酒運転を許さない機運が高まるなか、同乗者に対する判断が注目されていた。

 判決は、飲酒していて2軒目に訪れた飲食店の開店を車内で待っている際に、両被告はすでに泥酔状態だった運転者から「一回りしましょうか」と提案され、正常な運転が困難と認識していたのに発進を了解し、走行中も運転を黙認したと認定。こうした行為が危険運転を助長したとした。

 また、田村裁判長は実刑判決について「事故の結果の重大性を最も重視した」と述べた。

 事故は、2008年2月17日夜、埼玉県熊谷市内で、玉川清受刑者(35)=危険運転致死傷罪で懲役16年が確定=の乗用車が時速100〜120キロで走り、中央線を越えて対向車2台と衝突。対向車の夫婦2人が死亡し、玉川受刑者と両被告を含む7人が重軽傷を負った。玉川受刑者は昼から夕方にかけて、ビール1杯と焼酎のウーロン茶割りを7杯ほど飲んでいた。

 両被告は当初、道路交通法違反(飲酒運転同乗)容疑で書類送検されたが、被害者の遺族が刑がより重い危険運転致死傷罪の共犯として、さいたま地検に告訴。地検は「両被告は、正常な運転は困難と知りながら運転を了解し、走行中も黙認した」として同幇助の罪で在宅起訴した。

 裁判で検察側は、玉川受刑者の会社の先輩だった両被告は運転を簡単にやめさせることができたはずで、危険運転を助長したのは明らかだ、と主張。玉川受刑者の裁判で証言した関口被告が「一緒に酒を飲んだ玉川受刑者からドライブに誘われ、大島被告と2人で賛同したと思う」と述べたことなどを根拠に挙げた。

 一方、被告・弁護側は「2人とも、玉川受刑者が運転が危険なほど酔っていたとは知らなかった」と反論。玉川受刑者は事故前にも飲酒運転を繰り返していたとして、「たとえ了解したとしても、それだけで2被告が玉川受刑者の危険運転を助長したとは言えない」と無罪を主張していた。

 事故をめぐっては、玉川受刑者に酒を提供した飲食店経営者(47)も、道路交通法違反(酒類提供)の罪に問われ、懲役2年執行猶予5年が確定した。(牧内昇平)

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