2011年2月11日
裁判長「少年法改正を」 懲役5~10年判決異例の言及 富田林・高校生殺害
大阪府富田林市新堂の河川敷で平成21年6月、私立高校1年の大久保光貴さ=当時(15)=を木づちで殴って殺害したとして殺人罪に問われた少年(19)の裁判員裁判の判決公判が10日、大阪地裁堺支部で開かれ、飯島健太郎裁判長は「残虐で極めて凶悪」として求刑通り懲役5年以上10年以下の不定期刑を言い渡した。
一方で飯島裁判長は「少年法は狭い範囲の不定期刑しか認めておらず、刑期は十分でない。本件を機に議論が高まり、適切な改正がされるよう望まれる」と極めて異例の言及を行った。
公判では少年の責任能力が争点となった。飯島裁判長は犯行時、殺害にためらいをみせたことなどを取り上げて、「善悪を判断できないほどではなかった」と弁護側の「心神耗弱状態」との主張は退けたものの、動機の形成過程で広汎性発達障害の影響を一定程度受けたと認め、「(少年に言い渡すことのできる)無期懲役には躊躇(ちゅうちょ)せざるを得ず、有期懲役刑を選択せざるを得ない」とした。
ただし少年法では通常、有期懲役刑で最も重いものは5年以上10年以下の不定期刑となり、飯島裁判長は「5年で刑執行終了となる可能性がある点でも、10年を超えては服役させられない点でも、とても十分とはいえない」と、少年法の“不備”を指摘した。
判決などによると、少年は恋愛感情を抱いた少女を交際相手の光貴さんから「解放」しようと考え、21年6月11日夜、富田林市内の河川敷で光貴さんの頭などをバットと木づちで何度も殴り、殺害した。
被害者参加制度により、公判で意見陳述も行った光貴さんの父、巌(いわお)さん(46)は判決後、「私も量刑には満足していない。息子の死が無駄にならないよう、少年法改正を真剣に考えてほしい」と訴えた。
(2011年2月11日 07:15)
Category:社会
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