いかにもでき過ぎた話だが、現代の・仙谷秀吉・が、現実にそれに近いことをやっている以上、あながち、それもフィクションとも言えないかもしれない。
プライドだけは高いから
ただ、ここに問題が横たわる。仙谷氏の理想は、解散・総選挙をすることなく、菅首相を辞任に追い込むことだが、首相のほうは、「引き摺り下ろされるような惨めな辞め方はしない」と宣言しているからだ。
「菅首相は、『総辞職してクビを差し出すくらいなら、いっそ解散・総選挙をする。そのために議席を減らしても構わない』という考えに傾いている。『菅はヤケを起こすと何をするか分からない』というのは、小沢氏も洩らしている懸念です」(民主党ベテラン議員)
衆院で300議席以上を維持する現在の権力基盤を、そっくりそのまま菅政権から簒奪したい仙谷氏にとって、首相の暴発は、もっとも忌むべきシナリオだ。
「菅首相は、『内閣総辞職に終わった竹下(登元首相)ではなく、解散した宮沢(喜一・同)の道を選ぶ』と考えている。総理としてのプライドを満たすため、という理由だけで、"伝家の宝刀"を抜きかねません。その場合は、財政再建や社会保障の建て直しを看板にして、反対する人間は与野党を問わず"抵抗勢力"だとする、かつての小泉的手法を用いるつもりです」(同)
解散・総選挙になれば、民主党は大敗を免れない。それでも、自己中心的な菅首相なら、解散を強行する・・・そんな懸念が、永田町に次第に広がっている。
そして、民主党の混乱にいっそうの拍車をかけているのは、こうした菅首相の暴走と小沢氏の強制起訴により、党内の分裂がいよいよ深刻化しつつあることだ。
昨年9月の代表選以来、菅首相との関係がすっかり悪化し、ところ構わず菅政権の批判を繰り返す鳩山由紀夫前首相は、最近も苦々しげにこう洩らした。
「(自分と同じ)『新党さきがけ』にいた議員は、民主党が政権を取ってからみんな大臣になったけど、菅さんだけは『さきがけ』の同志とは認めたくない。真の同志は、あの頃、勇気を振り絞って自民党を飛び出した連中のこと。菅さんは、単に自民党を批判したくて、後から入ってきた人だ。もともと中身は何もない」
そもそも、本能寺で炎の中に消えた信長と違い、小沢氏はいまだ"健在"だ。菅首相は小沢氏の息の根を止めたいのがホンネだが、やり過ぎると党内の亀裂が表面化し、国会運営がますます至難の業になる。結局、小沢氏に対しては証人喚問をチラつかせつつも、「党員資格停止」などの処分でお茶を濁す他ない。
民主党は消滅する運命
実際、小沢グループのベテラン議員の一人は、こう吐き捨て、菅・仙谷両氏への敵意をむき出しにした。
- 3月解散・総選挙 そして民主は消える 民主党政権「あっけない幕切れ」永田町は一斉に動き出した (2011.02.14)
- 小沢「強制起訴」で急浮上した「菅は3月でクビ!」 (2011.02.11)
- 小沢に管に仙谷「そんなに嫌いなら、別れたら」 (2011.02.07)
- 愛知県知事選 名古屋市長選 民主「歴史的惨敗」か (2011.02.05)
- 与謝野入閣を仕組んだ海江田経産相の「計算」 (2011.02.03)
-
World Biz Newsイスラム食品市場を狙って 中国とマレーシアがタッグ (2011.02.14)
-
-
高橋洋一「ニュースの深層」非正規社員の雇い止めも飛び出した「再国有化」日本郵政「営業赤字」転落の実態 (2011.02.14)
-
北京のランダム・ウォーカー胡錦涛国家主席に正月休みを返上させた「北京砂漠」の水不足 (2011.02.14)
-
永田町ディープスロート 3月解散・総選挙 そして民主は消える 民主党政権「あっけない幕切れ」永田町は一斉に動き出した (2011.02.14)