3月解散・総選挙 そして民主は消える
民主党政権「あっけない幕切れ」永田町は一斉に動き出した

2011年02月14日(月) 週刊現代
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 いかにもでき過ぎた話だが、現代の・仙谷秀吉・が、現実にそれに近いことをやっている以上、あながち、それもフィクションとも言えないかもしれない。

プライドだけは高いから

 ただ、ここに問題が横たわる。仙谷氏の理想は、解散・総選挙をすることなく、菅首相を辞任に追い込むことだが、首相のほうは、「引き摺り下ろされるような惨めな辞め方はしない」と宣言しているからだ。

「菅首相は、『総辞職してクビを差し出すくらいなら、いっそ解散・総選挙をする。そのために議席を減らしても構わない』という考えに傾いている。『菅はヤケを起こすと何をするか分からない』というのは、小沢氏も洩らしている懸念です」(民主党ベテラン議員)

 衆院で300議席以上を維持する現在の権力基盤を、そっくりそのまま菅政権から簒奪したい仙谷氏にとって、首相の暴発は、もっとも忌むべきシナリオだ。

「菅首相は、『内閣総辞職に終わった竹下(登元首相)ではなく、解散した宮沢(喜一・同)の道を選ぶ』と考えている。総理としてのプライドを満たすため、という理由だけで、"伝家の宝刀"を抜きかねません。その場合は、財政再建や社会保障の建て直しを看板にして、反対する人間は与野党を問わず"抵抗勢力"だとする、かつての小泉的手法を用いるつもりです」(同)

 解散・総選挙になれば、民主党は大敗を免れない。それでも、自己中心的な菅首相なら、解散を強行する・・・そんな懸念が、永田町に次第に広がっている。

 そして、民主党の混乱にいっそうの拍車をかけているのは、こうした菅首相の暴走と小沢氏の強制起訴により、党内の分裂がいよいよ深刻化しつつあることだ。

 昨年9月の代表選以来、菅首相との関係がすっかり悪化し、ところ構わず菅政権の批判を繰り返す鳩山由紀夫前首相は、最近も苦々しげにこう洩らした。

「(自分と同じ)『新党さきがけ』にいた議員は、民主党が政権を取ってからみんな大臣になったけど、菅さんだけは『さきがけ』の同志とは認めたくない。真の同志は、あの頃、勇気を振り絞って自民党を飛び出した連中のこと。菅さんは、単に自民党を批判したくて、後から入ってきた人だ。もともと中身は何もない」

 そもそも、本能寺で炎の中に消えた信長と違い、小沢氏はいまだ"健在"だ。菅首相は小沢氏の息の根を止めたいのがホンネだが、やり過ぎると党内の亀裂が表面化し、国会運営がますます至難の業になる。結局、小沢氏に対しては証人喚問をチラつかせつつも、「党員資格停止」などの処分でお茶を濁す他ない。

民主党は消滅する運命

 実際、小沢グループのベテラン議員の一人は、こう吐き捨て、菅・仙谷両氏への敵意をむき出しにした。

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