イエメンの首都サヌアで、反政府デモ隊と政府支持者が13日衝突した。同国を長年支配しているサレハ大統領は先週、一連の政治的譲歩をし、同国の野党勢力も同政権と対話に入ると述べたにもかかわらず、サヌアでは衝突が相次いでいる。
最近、チュニジアとエジプトで反政府デモが頻発し、両国の長期政権が崩壊したのを受けて、他のアラブ諸国指導者たちは国内での騒動沈静化に躍起になっている。最近数週間で、大規模な抗議行動はヨルダン、イエメン、アルジェリア、スーダンに拡がった。
イエメンのサヌアでの13日の抗議行動は、12日早朝に起こった衝突に続く動き。また、アルジェリアの首都アルジェでは12日、さらに大規模な抗議行動がみられた。数千人のアルジェリア人はデモ禁止令に違反して中央広場に繰り出し、政治改革を要求。ブーテフリカ大統領率いる政権は治安部隊数千人を出動させ、催涙ガスでデモ隊を追い散らした。
またペルシャ湾の小さな王国バーレーンでは12日、ハマド国王が同国のすべての世帯に対し1000バーレーン・ディナール(約22万円)を与えると発表した。同国王はまた、若年の受刑者を社会復帰させる命令を下した。政治犯釈放を求める人権活動家の要求に部分的に譲歩した形だ。先週、食料補助金引き上げを発表した同国政府は13日、同国反対勢力シーア派の要求に応じてメディア規制を緩和すると約束した。同国最大のシーア派勢力の議会指導者は「人々は文字通り沸騰している。(政府に対する)侮蔑感は根強い」と述べた。
一方、パレスチナ解放機構(PLO)は、延び延びにされている自治政府の議長選挙と評議会(議会)選を9月までに実施する方針を明らかにした。エジプトとチュニジアの反乱を受けて、当局が大衆の民主的要求に譲歩したとみられる。
サヌアでのデモは、同国在住のエジプト人の小集団の集会で始まった。これらエジプト人たちは、ムバラク大統領退陣の報道直後の11日夜、街頭に繰り出した。しかしその後、デモに参加する人々の数は膨れ上がり、12日早朝には1000人以上のイエメン人が集まった。一部ではサレハ大統領退陣を要求する人もいたという。その後、デモ隊はエジプト大使館に向けて行進したが、治安部隊が介入し、これを阻止した。
13日には、多くの学生を含む数千人のデモ隊がサレハ大統領宮殿に向けて行進しようとしたが、治安部隊に阻止された。また政府支持者らが棒を振りかざしてデモ隊を威嚇し、衝突したという。逮捕者が出たかどうかは不明。