と惚けた。かと思うと、その後は起訴状を見て、
「ずいぶん、あっさりした書き方だなあ。なんか、形式犯みたいな書き方だ」
と、あたかも「罪が軽すぎる」と言いたげに、不満を洩らしたりした。
ただし表向き仙谷氏は、小沢問題についても「自分はもう関係ない」と素知らぬ顔をしている。邪魔な王を排除する汚れ仕事は、菅首相や岡田克也幹事長に丸投げし、その隙に自分は、せっせと党内権力の基盤作りに励んでいる。
「やっているのは、まず"岡田潰し"。岡田氏が小沢問題に汲々としている隙に、どんどん幹事長の権限を侵食している。仙谷氏の意向で、党本部の幹部職員も配置換えになり、小沢氏に近く、幹事長室の取りまとめ役だった職員は異動させられ、代わりに仙谷氏子飼いの職員が送り込まれました」(民主党幹部職員の一人)
仙谷氏は、「公共政策プラットフォーム」(通称プラトン)という、かつて自身が代表理事をしていた民主党のシンクタンク的組織も復活させようとしている。この「プラトン」は、仙谷氏が中核になり6年前に発足しながら、小沢氏が党代表になった際、予算を取り上げられて機能停止に陥っていた経緯がある。仙谷氏は小沢氏が失脚したのをいいことに、ちゃっかり自分直属の政策研究機関として復活させるつもりなのだ。
「政府にはすでに、同じような機能を持つ国家戦略室があります。加えて菅首相は、党綱領を策定するための『党改革検討本部』の設置を指示し、岡田さんが本部長になって人選も終えている。仙谷さんの『プラトン』復活は、完全にこれらとバッティングしますが、一切、お構いなしですね」(別の民主党中堅代議士)
さらに仙谷氏は、最近「代表代行補佐」なる職を新設し、古川元久前官房副長官、長島昭久前防衛政務官、吉良州司前外務政務官ら、自分の子飼い議員5人の起用を画策。要するに「私兵」の強化だが、あまりに露骨すぎて小沢グループに攻撃の口実を与えるとして撤回。古川氏のみを起用することになった。
いずれにせよ、仙谷氏は菅政権の崩壊を見越し、すっかり「政権乗っ取り」の方向へ動き出している。
「選挙敗戦の責任は全部、菅首相と岡田幹事長に取らせる。二人を引き摺り下ろしたら、"前原誠司代表"の元、自分が幹事長になって党を壟断する。何のことはない。まるで小沢氏がかつてやって来たような手口ですが、それが仙谷氏のメイン・シナリオでしょう」(全国紙民主党担当記者)
本能寺の変において、覇王・信長(小沢氏)を裏切った光秀(菅首相)を斃し、ライバルの柴田勝家(岡田氏)をも打ち破って最高権力者にのし上がったのは、羽柴秀吉である。ちなみに秀吉が勝家を自刃に追い込んだ際、手元に引き取ったのが、NHKの大河ドラマでも描かれている「茶々」「初」「江」の三姉妹だ。
仙谷氏の立場は、当時の秀吉と似ている。謎が多いとされる本能寺の変で、実は秀吉こそが・黒幕・だったという説もある。秀吉は、光秀の暴発を事前に知りえて準備したからこそ、変に際して即座に行動を起こすことができたという---。
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